100枚以上のヘッドライト写真を持ち歩く男。 | HEN-AI C-HR 03 | 空力性能開発チーム代表 楢崎 昭尋 「格好良くしたかったから、全部やりました」

空力性能開発

クルマの性能を大きく変える、空力。クルマに流れる風の力を利用して空気抵抗を削減し車両の安定感を増すというものだ。F-1で一躍有名になったその考えは、レース車両だけでなく、このC-HRにも盛り込まれている。

デザインをそのまま形に。
妥協なきリヤスポイラー。

C-HRのリヤの意匠は今までのクルマと比べても、全く違うものになった。

「デザイン通りには作れないかもしれない、とチーフエンジニア以外は感じていたと思います。上司に制作を止められるぐらいには難しい設計でした」

通常、セオリー通りに空気の流れを安定させようと思ったら、サイドスポイラーと呼ばれる部品を付けることになる。しかし、楢崎のチームはあえて今までと違う形に挑戦したという。

「今までは空気の流れを乱さないためのデザインが決まっていました。しかし、デザイナーは、従来のデザインではクルマが格好悪く見えると言った。その想いに現場の私達も共感したことが今回の挑戦につながっています」

従来どおりの、サイドスポイラーを取り付けたデザイン(左)と航空機の尾翼を意識したC−HRの新しいデザイン(右)

リヤスポイラーの設計の大変さは、シミュレーションと実験の回数にも現れている。

「実際に3Dデザインを作成して、シミュレーションで空気の流れを理想に近づけます。アタリがついたら、風洞実験で空気の流れがスムーズに流れていくか確認していくのですが、この穴が空いたリヤスポイラーを思いついてから、実際に形にするまでには半年以上の時間がかかりました。3Dデザインからシミュレーション・実験した回数は普段の2倍を超えます」

そうして今の形になったリヤスポイラーだが、最後まで「行ける!」と思った瞬間は無い、と楢崎は話す。

「設計と空力チームで、懸念点を1つずつ丁寧に潰していきながら、試験を繰り返していきました。それでも、年末の休日に時間が無いなか行った風洞実験は結果が出るか、正直不安でした」

しかし実験は大成功を収め、開発責任者の古場からもその場でOKが出る結果となった。

「リヤスポイラーに一切の妥協はないです」と、楢崎は自信を持って笑う。

滑らかに持ち上がった、リヤスポイラー。楢崎は、ウィングと呼んでほしいと語った。その言葉の通り、美しい翼のような持ち上がり。

リヤスポイラーに開いた、大きな穴。これをすると空力的難易度はぐっと上がってしまう。しかし、C-HRはそこに踏み込んだ。

0.4mmの違いに敏感に。

「シミュレーションだけじゃ空力性能は完成しません。細かいところを調整しようと思ったら風洞試験で判断するしかないんです」

風洞実験をすると、たとえ0.4mmの曲率半径の差でも大きな違いであることがはっきりと出てくる。

「あらゆるシチュエーションを想定した風洞実験を繰り返し行うことで、今のC-HRがあると言っても過言じゃありません。何回も実験した結果なので、リヤスポイラーの裏面の角の曲率半径は3.2mmではなく2.8mmでないとダメなんです」

空力チームは格好良さとデザインの両立を最後まで諦めなかった。

シミュレーションと風洞実験が肩を組んで初めて出来るそのバランスがC-HRの機能美とデザインを両立しているのだ。

「クルマの空気の流れはデザインから見ることができます。格好良いクルマは性能的にも理にかなっています。機能美があるから、クルマも綺麗に見えるんです」

楢崎はクルマの理想をそう語った。

裏面の角の曲率半径は、2.8mm。シミュレーションと風洞実験で徹底的に調べ上げた、「C-HR専用」の曲率半径である。

クルマの裏側まで、デザインする。

「空力について突き詰めていく時に、どうしてもクルマの裏側の空力も考えなくてはならなくなってきたんです」

C-HRはプリウスと同じプラットフォームで作られている。基本的に設計変更は必要ない。

「けれどC-HRはプリウスじゃない。C-HR用にちゃんと作りなおさないといけないと思いました」

と楢崎は話す。

C-HRの前タイヤ上部には三角形のパーツがある。

ここにも注目して欲しい。この三角形は泥はねを防いだり、タイヤに空気が当たらないようにしたりする役割を持っている重要なパーツだ。

それが牛乳パックのように見えて格好悪い、というデザイナーの指摘を受けて空力チームによる再設計が行われることになった。

「自分が手がけた部分が、格好悪いと言われたら悔しい。だから下のパーツは全部やり直すことにしました」

クルマの下は人の目に触れない部分ではある。だが、見えない部分のデザインも妥協しないその姿勢が、“クロスオーバーで世界一を目指す”という想いを強くあらわしている。

空気の流れをタイヤに当てない、名もなきパーツ。しかし、このパーツが走りの完成度を高めるのだ。車の裏側まで考え抜かれた空力システム。

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