開発責任者が語る環境への想い

ハリアー開発責任者 有元 真人 2013年12月取材

ハリアー開発責任者 有元 真人

1997年の初代モデル発売以来、ハリアーは「革新」「先進」をキーワードに“高級クロスオーバーSUV”のパイオニアとして新ジャンルを開拓してきました。2003年に登場した2代目は多くの新技術・先進装備を搭載し、さらなる「革新」「先進」に加え、「高級」なクルマとしてマーケットを牽引。若年層を中心に幅広い世代に人気を博し、ハリアー独自のブランドイメージを築いてきました。

2005年には、エコとパワーを高い次元で両立させる「ハイブリッド・シナジー・ドライブ」をコンセプトとしたハイブリッドモデルをラインナップし、すぐれた環境性能と動力性能を両立。当時のコンパクトカー並みの低燃費を実現するとともに、超薄壁セラミック触媒の採用などにより低排出ガスを実現しました。

そして2013年12月、常に時代の一歩先を歩んできたハリアーがさらなる進化を遂げ、日本ジャストフィットSUVとして生まれ変わりました。
開発キーワードは「高級・進化・新規」の3点。ここで言う「進化」とは、流麗なスポーティさと車格感を併せ持つ積極的正常進化したスタイリングやラゲージの使いやすさとともに、ダウンサイジングと低燃費をはじめとする環境性能の向上が盛り込まれています。

新市場を創造した初代、ブランドの名声を高めた2代目、そして3代目ハリアーは再び時代を切り拓く存在として、クルマにこだわる人たちと若い方たちのクルマへの興味を呼び覚ます、次の時代への指標として進化しました。
そんなハリアーの設計・開発の責任者として、現場の指揮を執り続けたのは製品企画本部チーフエンジニアの有元真人。これまでにランドクルーザープラド、レクサスGX460をはじめ多くのSUVの開発を担当してきたSUV開発のスペシャリストが、ハリアーの環境性能を中心にクルマづくりを通じた社会への貢献についてその想いを語ります。

ハリアー開発責任者 有元 真人
プロフィール (2013年12月取材)

ハリアー開発責任者 有元 真人

所属
製品企画本部 チーフエンジニア
略歴
岡山県出身。1984年トヨタ自動車に入社し、第一技術部、電子技術部、技術管理部などを経てその後FC技術部に異動。 2002年には東京都の燃料電池バス、2005年には愛知万博の会場間燃料電池バスのプロジェクトリーダーとともに燃料電池システムの開発リーダーを務めるなど、幅広い技術領域に携わる。2005年から製品企画本部チーフエンジニアに就任し、ランドクルーザープラド、ハイラックスサーフ、レクサスGX460、タコマ、4Runner、ヴァンガード、RAV4など数々のSUVを歴任。トヨタにおけるSUV開発のスペシャリストの一人。

ハイブリッドが特別な存在ではなくなった時代のクルマとして進化したハリアー

ハイブリッドが特別な存在ではなくなった時代のクルマとして進化したハリアー

-環境の世紀ともいわれる21世紀において、3代目ハリアーの環境対応をどのように捉え、開発に取り組んできましたか。

今回発表した3代目ハリアーは、2代目が登場してから10年以上の歳月が過ぎています。その間、自動車を取り巻く環境は大きく変化しました。2013年12月末にはトヨタのハイブリッド車の累計販売台数が600万台を超え、ハイブリッド車はすでに特別な存在ではなくなっています。そして燃費をはじめとする環境性能がお客様のクルマ選びの大きな選択肢の一つになったことも時代の流れでしょうか。

今回のモデルはガソリン車とともにハイブリッド車を設定しており、いずれも時代の要請を受けて大きく進化しています。よりスタイリッシュになった外観、高級感と先進感が融合したインテリア、バランスの良いスポーティな走り、ダウンサイジングによる取り回しやすさと抜かりのない環境性能。それでいてお買い得な価格設定。きっとお客様の期待を超える「もっといいクルマ」に仕上がっているのではないでしょうか。

ハイブリッドが特別な存在ではなくなった時代のクルマとして進化したハリアー

ハリアーはクルマにこだわる人たちと若い方たちに選ばれ続けてきたクルマ

-ハリアーはトヨタにとってどのようなクルマでどのようなお客様から支持されてきたのでしょうか。

ハリアーは初代より、海外市場では「レクサス RX」として販売されていた高級モデルで、2009年には3代目としてフルモデルチェンジし、日本市場でもレクサスで販売されています。しかし2003年に登場した2代目は国内では2012年までトヨタブランドとして販売を継続してきました。

もともとハリアーはRXに継承されるカタチでなくなる予定だったのですが、RXに比べ安価ながら「ちょっと手を伸ばせば届く高級車」としてお客様の支持を得、根強い人気を集めていました。開発に入る前にハリアーを購入されたお客様にヒアリングした時も、「なぜこのクルマを買ったのか」という理由が明確です。「家族のためのミニバン」とか、「他車と比較して少しでも安かった」といった消極的な理由ではなく、こだわりを満たすクルマであるという声をたくさんいただきました。

中でも、「ちょっと手を伸ばせば届く高級車」というハリアーが築き上げたブランド価値は、20代、30代の若い男性ユーザーに強く響いたようです。
昨今、若い方たちのクルマ離れといわれて久しい日本の自動車市場ですが、実は2代目ハリアーの購買年齢層で最も多いのが20代で、全体の27%を占めています。30代を合わせると45%にもなり、際立って若い方の購入比率が高いクルマといえます。理由は簡単で、洗練されたデザインに高級感をまとったハリアーは助手席に乗る女性にも満足感を与え、そうした女性の存在が若い男性を購入に駆り立ててきました。 今回のガソリン車の最も売れ筋グレードを、2代目から3,500円安くして280万円としたのも、こうしたハリアーのブランド価値を継承したものです。

国内専用車として造り込んだダウンサイジング仕様は環境性能の向上に大きく貢献

-クルマもダウンサイジングが求められる時代に突入していますが、ハリアーのダウンサイジングのポイントを教えてください。

グローバルモデルとしてのRXに対し、3代目ハリアーは国内専用モデルとして開発を進めました。そのため、日本国内のお客様にとってベスト&ジャストなパッケージを熟考し、ボディーサイズをひと回り小さくしました。これはダウンサイジングありきではなく、日本の道路事情、日本人の体格、ライフスタイルなどあらゆる条件から導き出された最適なパッケージです。たとえボディーサイズは少し小さくなっても人間工学に基づいた造り込みで、室内やラゲージスペースは2代目を超える広さ、快適さを確保しています。サイズが小さくなっても存在感を弱めることなく、高級クロスオーバーSUVとしての豊かな表情はこれまでのハリアーらしさを踏襲したスタイリングで、今回、特に力を入れて取り組んだ点の一つです。

新旧ボディーサイズの比較
  全長 全幅 全高 ホイールベース
2代目 4,735mm 1,845mm 1,680mm 2,715mm
3代目 4,720mm 1,835mm 1,690mm 2,660mm

そして、この「ダウンサイジング」というキーワードは環境性能に大きな役割を果たしています。
ボディーサイズが小さくなれば車両重量も軽くなります。軽量化は燃費の他にも、資源の節約、運動性能や乗り心地の向上にもつながるので、環境の視点だけでなく、クルマを開発するうえでとても重要な取り組みです。今回のモデルはガソリン車、ハイブリッド車をあわせて全12グレードを設定していますが、うち9モデルがエコカー減税100%の対象となっています。車両本体価格だけでなく、こうした税制優遇を含めて取得しやすい条件を整えるためにもダウンサイジングによる燃費向上は必須要件でした。

進化したパワートレーンで環境性能を一段と向上

-ハリアーの具体的な環境性能について教えてください。

パワートレーンは2.0Lガソリン4気筒エンジンと2.5L4気筒エンジンハイブリッドE-Fourの2種類を設定しています。

ガソリン車は2.0Lのバルブマチック付エンジンを採用していますが、2代目が2.4Lエンジンを採用していたので、ここでも大胆なダウンサイジングを推進しています。
このエンジンは、吸気バルブリフトを連続的に変化させるバルブマチック付で、吸・排気バルブタイミングを最適制御するDual VVT-iの採用、圧縮比を高めることにより、低燃費、低排出ガスなどの環境性能を実現しています。
そして新たにSuper CVT-iを採用しました。これはドライバーの運転状況から最適な制御を選択するCVTで、スムーズさと低燃費を実現しています。2代目は4速AT仕様だったのでパワーも燃費も歴然とした違いがでています。また、信号待ちなどの一時停止時に、エンジンのアイドリングを自動的にストップする「アイドリングストップ」を標準装備しています。今回搭載したこのシステムは、蓄冷式のエアコンを採用したことで、エンジン停止時間の延長を可能にしたため、従来以上にエコで低燃費な運転ができます。ちなみに、2.0L以上の排気量のクルマに「アイドリングストップ」を搭載したのはトヨタ初の試みです。
ガソリンエンジンの4WDシステムも従来のフルタイム4WDから、RAV4、ヴァンガードで実績のある軽量・小型の電子制御カップリング方式を採用したことで低燃費に貢献しています。

ハイブリッド車は、カムリで実績のある直列4気筒アトキンソンエンジンとTHSⅡをハリアー用にパワマネージメントを最適化し、燃費向上を図りました。後輪は、E-Fourシステムを採用し、損失を低減した効率的な走行を可能としました。

こうしたパワートレーンの進化によって、ガソリン車の燃費性能は2WD車がJC08モード16.0km/L、4WD車が同14.8~15.2km/L、ハイブリッド車の燃費性能は同21.4~21.8km/Lとなっています。

Dual VVT-i:VVT-iは、可変バルブタイミング・リフト機構の呼称および技術で、DUAL VVT-iは、従来の吸気側のVVT-iに加えて排気側の制御も行うことで吸排気効率をさらに向上させています。
新旧燃費比較
  ガソリン車(2WD) ガソリン車(4WD) ハイブリッド車
2代目(10・15モード) 11.0km/L 10.6km/L 17.8km/L
3代目(JC08モード) 16.0km/L 14.8~15.2km/L 21.4~21.8km/L
  • ハイブリッドシステム
    ハイブリッドシステム

環境性能もハリアーネスの要素のひとつ

-最後にお客様のクルマ選びにおける環境仕様をどのように考えますか。

いろんなクルマの開発に携わって思うことは、お客様がこれまでの「ライフステージ」から「ライフスタイル」でクルマを選ばれることが多くなったということです。
実際クラウンに乗ってこられたお客様が、ご自身のライフスタイルで大きなクルマを必要とされないという理由でアクアに乗り換えるというケースもあります。セダンのように、個人のライフステージに合わせてクルマ選びをするという傾向が次第に薄れ、自分自身の生活に本当に必要なもの、所有したいクルマ選びをされるお客様が増えているということを開発の現場でよく感じます。
そういった意味ではハリアーは、年齢や性別の壁を越え、幅広いお客様から永く支持されてきたクルマで、幅広い「ライフスタイル」にお応えできるクルマです。

今回、3代目に生まれ変わったことによって、国内専用のボディーは取り回しもよく、フロントオーバーハングとリアオーバーハングのインバランスの妙とエッジの効いたエクステリアは見るものを一目で魅了するスタイリングとなっています。インテリアは人の手で造り込んだ本物感と現代的洗練を融合しています。
こうした二律双生は環境の側面でも伺い知ることができます。
たとえば、一見大柄に見えるボディーは各所でダウンサイジングが図られ、ガソリンエンジンは実用トルクと低燃費を追求しています。また、ボディー剛性を高めながらも軽量化に貢献する高張力鋼板の使用範囲を拡大するなど、随所で相反するような二つの性能が両立されています。

新技術を多用して革新と先進を築き、加えて高級なイメージを確立し、一目でハリアーとわかるスタイリングなどのハリアーらしさを私たちは“ハリアーネス”と呼んでいますが、二律双生した環境仕様もまた、ハリアーネスの象徴としてこれからもしっかり継承されていくと考えています。

エクストラナビゲーション

トヨタのおすすめのクルマ