災害現場での活用に
向け、支援関係者か
らも給電車の可能性
を発信へ!
「ぼうさいこくたい2023」篇
防災に関する活動を実践する団体・機関が一同に会し、最新の取り組みや知見を発信・共有する日本最大級の防災イベント「ぼうさいこくたい 2023」が9月17日・18日に開催されました。その参加団体である国際的な支援団体であるジャパン・プラットフォーム(以下JPF)が行ったセッションは多くの自治体の方やNPOの方々も視聴されております。
トヨタは、“災害時における給電車の活用に向けた取り組み“や“まさかの車中泊避難のリスクと対策“について“より早く““より広く“多くの方に伝えるために、セッションに参加させていただきました。
給電車はもしもの災害で一般家庭での給電をサポートできるだけでなく、被災地支援にあたるボランティア団体やNPO団体の支援活動にも役立てることができるのではないか。各支援団体や自治体関係者が出席したセッションでは、給電車と現在の取り組みへの可能性と期待の声が寄せられました。
- 支援団体による被災地支援の課題と現在の取り組みとは?
- 被災地域に給電車を届ける「災害時の給電車派遣訓練」
- 車中泊避難のリスクと対策に関する啓発活動
- さまざまな支援団体とともに連携し、給電車の可能性をもっと広めるために
今回で8回目の開催となる「ぼうさいこくたい」は、関東大震災から100年の節目にあたる今年のテーマとして「次の100年への備え ~過去に学び、次世代へつなぐ~ 」を打ち出し、当時の震源地であった神奈川から一人ひとりが日頃から防災に取り組むことの大切さを発信するという主旨で開催されました。
関東大震災の発生当時、東京で大きな被害が起こったことについては知られていますが、震源域の相模湾に近い神奈川県を中心に、強震、津波、土砂崩れ、火災、液状化などによる被害が各地におよび、災害救護に当たっては、現代でいうボランティアとも言うべき住民同士の助け合いや、海外を含む遠隔地からの支援が大きな役割を果たしたことは、実はあまり知られていません。
近年は災害の頻度の増加やコロナ禍の影響により、災害の支援団体では、支援に携わるマンパワーの不足などが課題となっており、従来のやり方では支援活動の限界を感じているといいます。
今後起こりうる災害に対応していくためには、こうした災害支援団体と企業との連携が重要になってきます。
従来の民間企業による災害支援は、災害発生後の寄付や物資提供などが中心でしたが、トヨタでは、“事前の備えにおける連携“という新たな形での連携を進めています。
トヨタが行ったプレゼンテーションの冒頭、停電時の電力確保の手段として、日常で目にしているクルマが実は「給電車」として使える可能性があることをお伝えしました。さらに、給電車イコール電気自動車ではなく、ハイブリッド車やPHEV、FCEV、さまざまな車種が給電車として使用でき、トヨタの給電車にはコンセントが付いていることを強調。一度に最大1500Wの電気製品が使用できる点にも触れました。
“事前の備えにおける連携“、その取り組みのひとつ目が、「災害時の給電車派遣訓練」です。
災害時に停電が発生した場合、その影響は大規模かつ長期にわたる可能性があります。また、災害の混乱の中、電気を必要としている避難所などに給電車を確実にお届けするためには、事前の訓練が欠かせません。
そこで、トヨタの販売店では、自治体との災害時の連携協定を締結しているエリアでは、災害が発生した場合は協定に基づいて、災害支援の協力を行うことになっています。平時から給電車派遣訓練を行い、もしもの災害でもスムーズに避難所に給電車を届けられるようにしておくことは重要で、支援を行う際の手順とフローも明確化しています。
“事前の備えとして“の取り組みの2つ目として、「まさかの車中泊のリスクと対策」と題し、災害時に多くの方が選択することが予想される車中泊における注意点や啓発活動について、紹介しました。
2016年に発生した熊本地震では、避難者のうち6割の方が車中泊を経験されました。アフターコロナの現在の状況では、災害が発生した場合、車中泊避難の割合もさらに増えることが予想されます。
そして、車中泊避難で最も心配なのが、エコノミークラス症候群です。地震後の避難生活で窮屈な姿勢を続けたために多くの方がエコノミークラス症候群を発症しました。また無症状で突然命に関わる場合もありますので予防対策が大切です。
そこで、エコノミークラス症候群の予防方法として、①寝る時は足を伸ばして休む、②こまめに水分を取る、③適度な運動を行う、④着圧ソックスを使用する、といった対策を紹介。特に1つ目の足を伸ばして休める姿勢をつくるために、クルマのタイプ別のシートアレンジ方法の周知を行っていることにも触れ、「車中泊避難ヘルプBOOK」 という冊子を発行し案内を行っている点も紹介しました。
ぼうさいこくたいのイベント期間中は、会場となった横浜国立大学のキャンパス内にプリウスを使った車中泊避難の啓発コーナーを設置。
防災に関わる関係者の来場も多く、展示した給電車や車中泊避難について高い関心を持って立ち寄る方の姿も見られました。
「より多くの方に車中泊避難のリスクを知ってもらうことで、救われる命がある」。その想いから、トヨタではトヨタの販売店や自治体とともに今後もこの取り組みを継続させていきたいと考えています。
プレゼンテーションの最後に、JPFの協力により実現した自治体や福祉施設でのBCP研修*1 での給電車体験の取り組みについても紹介しました。研修に参加したJPFのご担当者は「実際に給電車を使って、痰の吸引機*2 や電動トイレといった器具を動かしてみて、『本当に使えるんだね!』とか『そういえば何々さんがプリウス持ってた!』という声が寄せられました。給電車が身近なところで活用できるということが伝わったのがとても良かったと思いました」と、給電車のメリットを実感されたご様子。
これから起こるかもしれない災害に対し、トヨタが企業としてできることを実践していく上で、給電車派遣訓練や車中泊避難の啓発活動は、給電車を知っていただくための大切な機会となります。ぼうさいこくたいで行ったセッションをきっかけとして、被災地支援の現場で活躍する多くの方に “もしもの時に給電車が役立つ可能性がある“ という事をまずは知っていただくことにより、災害支援の中で活用の実現を目指していきます。
今回ご紹介してきたセッションの様子は、ぼうさいこくたいのホームページからご覧いただけます。
トヨタの給電については、こちらで詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
また、文中でご紹介した「車中泊避難ヘルプBOOK」はこちら からダウンロードいただけます。