CASE#3

元レーシング
ドライバー
関谷 正徳 様

レーシングドライバーが見る
MIRAIとこれからの可能性

SCROLL

日本を代表するレジェンド・ドライバーのひとり、関谷正徳さんとFCEVとの出会いは、およそ10年前にまで遡るという。

「富士スピードウェイで行われるSUPER GTにタイミングをあわせて、
燃料電池自動車の同乗イベントが行われたんです。
トヨタ自動車や他メーカーがそれぞれ開発していた車両を持ち込んで、
トヨタ自動車の車両は僕がドライバーを務めて、
助手席と後席にお客さんを乗せて走ったんです。
僕自身そのときはじめて燃料電池自動車というものを運転したのですが、
SUVのクルーガーがベースで、非常にスムーズで近い将来こういうクルマができるんだなと思い、それで興味を持ちはじめたんです」

それから数年後の2014年、世界初の量産型FCEVとなる初代MIRAIが発売された。

「もちろん初代のMIRAIにも興味はありました。
でも家の近くに水素ステーションがなかったんです。
もしそのとき近所にあれば初代を買っていたと思いますね。
そうこうしているうちに昨年、
家の近くに水素ステーションができた。
そうしたら、二代目のMIRAIがでてきたんです。
これはもう買わない理由がないだろうって、
すぐに奥さんに相談しましたよ(笑)」

・・・・・・

職業柄、1年を通して日本中のサーキットを巡っている。そこへはもちろん自家用車を自ら運転して行くことになる。静岡県に暮らす関谷さんは、東京や名古屋をはじめ、三重県の鈴鹿サーキットにも、宮城県のスポーツランドSUGOにもMIRAIで向かう。

「アナログな僕でも大丈夫なくらいナビゲーションは使いやすいもので、
全国のどこに水素ステーションがあるのか
簡単に検索
できます。
ただ、夕方には閉まってしまう水素ステーションが多く、
夜間の移動には少し気を使いますね。
でも事前に調べてちゃんと計画を立てておけば、不便を感じることもありません」

時速300km/hを優に超えるスピードで世界中のサーキットを駆け抜けてきた関谷さんにとって、公道を走行するということはどのような行為なのだろうか?

なぜかMIRAIを運転したくなる。

「正直にいうと、レースカーも含めてこれまでたくさんのクルマに乗ってきたので、
もうプライベートでクルマに乗ってどこかへ行きたいという
気持ちってほとんどなかったんです。
でもMIRAIに乗り始めて、運転したいなって思うようになってきた。
自分でも不思議なんですけどね」

・・・・・・

レーシングドライバーという職種の人たちは、運転操作やクルマの挙動に対して、人一倍鋭敏なセンサーをもっている。現役を引退しているといっても、関谷さんのそういったセンサーは今も衰え知らずだ。

「MIRAIで気に入っているのが、
加速性能とステアリングのフィーリング。
なんて表現すればいいのか、とにかく気持ちがいい。
例えばエンジンが重いと、その重さが動きに影響するため、
若干遅れて挙動が出てくる。
MIRAIにはそれがないんですね。
単にエンジンがなくてモーターだからという話ではなくて、
クルマが曲がるためには絶対に荷重が必要なんです。
MIRAIは軽すぎず、重すぎず、
荷重がちょうどいいところにある。
MIRAIにしか実現できないものなんですね。
ステアリングを切り足したときのフィーリングは、
僕の中では100点です」

周囲のレーシングドライバーやレース関係者もMIRAIには、皆、強い関心を抱いているようだ。関谷さんのMIRAIを試乗した人たちは皆一様にそのスムーズさに驚き、中には本気で購入を検討する人もいるという。

MIRAIは友人を連れて行きたくなる、美味しいレストランのようなもの。

「とにかく乗ってみてよと、勧めています。
美味しいお店って、誰かを連れて行きたくなるじゃないですか。それと同じ。
いいから一度食べてみてよって。
それが褒められればやっぱりうれしいものです。
以前の僕のように水素ステーションの問題で断念している人もいるけれど、
こればかりはすぐにどうなるものでもありませんし、
メーカーだけでなく国と一緒になってインフラ整備していかなければいけないと思います。
またMIRAIをはじめ、燃料電池自動車の車種バリエーションも増えていくことが、
そうしたインフラの普及にもつながっていくはずです。
そのために少しでも役に立てるのなら、
僕たちもその魅力を発信していかなきゃと思いますね」

・・・・・・

自動車の歴史100有余年における大変革のときを迎え、BEV、FCEVのみならず電動車のバリエーションは増えていくだろう。そしてまた、モータースポーツの世界も新たなフェーズへと移行していくことになるはずだ。

「僕の人生はチャレンジの連続で、ずっとチャレンジしてきました。
もちろん失敗もありますけど、それを恐れずにやってきました。
そもそもモータースポーツは自動車の速さを競う意味合いが強いのですが、
主催するインタープロトというシリーズでは、運転技術の競争に主眼を置いています。
要はマシンもタイヤもすべて同じ条件にして、運転技術をスポーツとしてとらえ、
モータースポーツはアスリートの世界であることを発信する挑戦です。
これまで女性のためのモータースポーツはほとんどありませんでした。

他のすべてのスポーツと同じように、女性の活躍の場を創出するためのチャレンジとして、KYOJO CUPも立ち上げました。
考えてみれば、20年ちょっと前までハイブリッドなんてなかったわけですが、
今ではレースの世界でも常識になりました。
何年後かには燃料電池自動車が
モータースポーツの世界で当たり前になることだってありえるわけです。
燃料電池自動車が環境保護に役立つだけでなく、
運転も楽しめるものだということを発信して、皆さんが少しでも喜んでくれるならば、最高の幸せだと思いますね」

自動車が、そしてモータースポーツが、孫の代まで受け継がれるサステイナブルなものでなければならないという思いのもと、水素社会の実現に向けた、自分自身が今できる取組の1つとしてMIRAIを選んだという関谷さん。こうしたMIRAIオーナーの一人ひとりの思いが、きっと未来を変えていくに違いない。

2021年6月取材

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