DISCOVER CROWN SPIRIT PROJECT栃木トヨタ

PROJECT

ベテランエンジニアの背中を見てレストアに挑む

栃木トヨタが挑んだのは昭和37年式の初代クラウン。レストアするなら初代クラウンと決め県内で探したが、自社の販売記録に該当するお客様はいなかったそうだ。当時を知る人の話では栃木県内ではクラウンの販売数がそれ程多くなかったそうで、入手はかなり困難と分かり諦めかけたが、関係会社からの紹介で何とか車両を譲っていただけレストアをスタート出来たと責任者は話す。そしてそのレストアに挑むのは、2名のベテランエンジニアを中心に社内BPセンターのメンバー。最も年長のベテランエンジニアは、若い頃に初代クラウンを何度も修理したという経歴の持ち主で、何十年ぶりに初代クラウンに触ったが、当時先輩から叩き込まれた技やノウハウを身体が覚えていて、作業手順など考えなくても体が勝手に動いたという。後輩たちはそんな大先輩の背中を見て、初代クラウンのレストアに挑んだ。

若いエンジニア達に技術(コツ)を伝授する

レストアでよくぶち当たるのが、錆びて固着し外せなくなったネジ。無理に外そうとするとネジの頭が舐めたり、ネジが折れたりして残骸を取るのにひと苦労する。さらにテールレンズで使用されているネジの様に、旧JIS規格のネジもあり、こういったネジは折れると入手困難。“だから錆びて固着したネジを外すのは慎重に行う必要がある”とベテランエンジニアは言う。錆びたネジの外し方は「少し緩めては戻し、少し緩めては戻す」を繰り返し、ムリせず少しずつ時間をかけて外すのがコツだそうだ。今回の場合も、ネジ1本に対して約1時間ほど時間をかけている。それでも外せないネジは、サビを取りキシミをおさえ動きをよくする浸透潤滑剤を掛け、一晩寝かせて浸透させ、緩みそうであれば外す。特に今回はドアのヒンジの錆がひどく、これを繰り返し3日かけて外したそうだ。錆びて固着したネジを外すにも、これだけのノウハウやコツがある。こういった技術を若い世代のエンジニアに伝授するのもベテランエンジニアの使命だとも話してくれた。

失敗の積み重ねが技術力に

譲っていただいた初代クラウンは、下周りも殆ど錆がなく、塗装も良い状態で、穴が開いた箇所を塞ぎ、凹みや傷をパテで修復する程度で済む予定だったと言う。しかし、下地塗装を始めると、見た目で分からない程、元の塗料が劣化していたのか、溶けだしてボコボコの酷い状態に。仕方なく、修復した箇所のパテを剥し、元の塗料を全て剥して一度鉄板の状態にしてから板金をやり直し、オリジナル色に合わせ塗装し直したそうだ。古い車をレストアすると、想定外のトラブルも出てくる。そういったことも経験だとベテランエンジニアは言う。「何年経っても日々勉強」と言うが、この様な経験の積み重ねこそが、高い技術力に繋がるのだと思う。

こんなシステムが半世紀以上前にあることに驚く

リヤドアの開きが悪く、ちょっとおかしいなと原因を追求したところ、リヤドアに自動ドアのシステムがついていたことが判明。構造を詳しく調べると、エンジンからの風圧で動かす仕組みで、現在タクシーで使用している自動ドアの仕組みと同じ。“半世紀以上前から自動ドアのシステムがあったのか”と驚いたと言う。“これもトヨタの技術、クラウンの歴史を物語る財産だ”と、固着して動きが悪いパーツを代用品に交換して修理し、自動ドアを蘇らせたそうだ。多くの人の協力で蘇った初代クラウンを活用し、その伝統や歴史を気軽に知ってもらう機会にしたいと、遊び心でタクシーのアンドンを作り、幅広い層のお客様に興味を持ってもらえる工夫も凝らしている。お披露目の日もあと僅か。多くのお客様の目を引き、初代クラウンに楽しそうに触れる姿がショールームに溢れることだろう。

レストアレポート一覧へ