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あなたはその場所に幸福を感じますか? 「笑顔の介護」 袖山卓也 Takuya Sodeyama 有限会社「笑う介護士」代表取締役

団塊世代の高齢化による本格的な介護社会の到来が目前に迫り、重要な問題となっている”老人介護“の未来。その介護に「笑い」を取り入れた独自の取り組みを実践しているのが「笑う介護士」として多方面で活躍を続ける袖山卓也さん。介護のキーワードはその名の通り「笑い」。三大介護から大きく飛躍し、毎日10時間のレクリエーションの実施、入居者のわずかな変化にも対応する日替わり介護など、日々の生活の中に「笑い」を取り込んだ介護を実践する。喜び、楽しみなど人としての当たり前の感情をもって日々を過ごして欲しいからだ。袖山さんは入居者も介護士も共に笑い合いながら連鎖的に幸福が広まってゆく環境づくりにも力を注ぎ、2005年には特別養護老人ホーム「メリーホーム大喜」(名古屋市瑞穂区)の開設に至る。その後も次々と施設開設をしながら自身の経験から生まれた介護理念と、その実践ノウハウをより多くの人に伝えようと、日々奮闘している。

袖山 卓也
異なる立場から介護を見つめる二人が語る 笑顔でつなぐ介護の未来。今、取り組むべきことは?
「生きる=生き甲斐」それが人としてあるべき姿 有限会社「笑う介護士」代表取締役 袖山卓也 Takuya Sodeyama 「笑い」を取り入れた独自の介護を行う介護士。幅広い分野での精力的な活動を通じ、自らの介護理念の浸透に努める。著書は「笑う介護士の極意」「家庭介護の鉄則」など。 + 生き甲斐づくりのために移動の自由をすべての方へ トヨタ自動車(株) フリート営業・特装部 カスタマイズ室主査 担当部長 泰松 潤 Jun Yasumatsu 1973年トヨタ自動車(株)入社。技術部門で安全関係の設計、セリカ、WiLLなどの製品企画を担当。00年より国内営業部門にて福祉車両ウェルキャブを担当、その普及に努める。
介護をとりまく現状と進むべく行方
袖山 介護保険制度の導入によって、現在の介護をとりまく状況下ではさまざまな問題が浮き彫りになってきています。介護が民間競争による収益事業へと転換されたにも関わらず、規制されたままの制度のもとで画一的な施設や設備が増えてしまっているんですよ。そのような環境で充実した理想の介護ができるでしょうか?
泰松 介護に直接携わる人たちの話を伺うたびに、同じような意見をしばしば耳にします。
袖山 それぞれ異なる個性を持ったひとりの人間と接するにはやはり、その個性を尊重することが必要です。けれど、それができている介護施設はまだまだ少ないと感じています。何とかこの現状を変えて行きたいですね。
泰松 そうした現状の打開策として、まず一人ひとりが「介護」を自分の問題として捉えることが重要ではないかと思います。当事者となってから問題視するのではなく、いつかは直面することだと自覚し、積極的に関わりを持つべきです。個人レベルの介護に対する意識が変化すれば、日本の介護は変わって行くのではないでしょうか?
袖山 確かに、国民的な意識改革は大切ですね。介護先進国であるヨーロッパ諸国に比べて日本人の介護に対する意識は低いと言わざるをえませんから。
人として「生きる」その根本的な意味とは?
袖山 介護施設の現場においても、改善すべき問題は山積みです。一般的に「食事、排泄、入浴」の三大介護をサポートできれば合格だと思われてきました。しかし、それはあくまで生命維持の介護にすぎません。そこに、付加する要素が必要です。それまで送ってきた普段通りの生活をしながら、生きることそのものが生き甲斐と言えるような毎日を過ごさせてあげたい。生き甲斐を持つことは人として当たり前のことですから。三大介護以外は無駄に思われがちですし、評価されにくいものです。けれど、そのなかにこそ、本来人間として生きている意義があるのです。私はこうした生活の中で欠かせないのが「笑い」だと考えています。笑いは楽しいこと、面白いことがあった時だけでなく、穏やかでリラックスした時にもふと表れる感情で、これは入居者だけでなく介護士にも必要です。お互いに笑い合える関係にあって本当の介護ができるのです。
泰松 なるほど、おっしゃられる通りですね。私たちは「クルマづくり」という立場から介護・福祉に携わってきましたが、そのなかで感じるのは、以前に比べ食事や排泄といった、生きるために欠かせないケア以外の部分についても、積極的に関わろうとする人が増えていることです。そこでは介護される側もする側もとても明るい顔をしており、活力に溢れています。こうした人たちに生き甲斐を提供するのは、とても意義のあることだと思いますが、その方法のひとつに「外出」があるのではないでしょうか?
介護の未来を見据えた福祉車両の発展
袖山 入居者の生き甲斐となる目的や楽しみを達成するために外出はとても有効で、施設内の行事よりも刺激が大きいのです。けれどそこには「距離」という現実的な問題が発生します。入居者のなかには自力で移動することさえ困難な人もいるのですから。その点から見て、生き甲斐の達成に加えて活動空間を広げることができる車両の必要性は以前から強く感じていました。私はデイサービスを併設していないメリーホーム大喜でも、車いす仕様のハイエースを利用していますからね。
泰松 そうした人たちの気持ちに応えるべく、私たちは施設やユーザーの元に足を運びながら、率直な声をひとつずつ拾いあげることから車両開発を進めています。その現場で個別の要望や細分化したニーズが寄せられることから、福祉車両の必要性や、さらなる発展への期待を肌で感じとっています。
袖山 理想は、日常の足として一般車と同じような感覚で気軽に使用できることですね。
泰松 ええ、できるだけ普及しやすいように私たちは、ベースになる車の構造もウェルキャブにすることを意識した設計にするなど、そこに関わる全員が一体となった取り組みを心がけています。お陰さまでウェルキャブは国内でたくさんの人に利用していただいています。これは多くの意見を得ることに繋がり、開発にも役立っていますよ。
袖山 それは心強いですね。けれど、福祉車両の機能発展だけを追求するのではなく、それがきちんと機能する世の中のシステム構築も大切ですよね。道路交通法や介護制度も介護の現状に歩み寄る必要があると感じています。
泰松 私たちも自動車と福祉の双方に関わる企業として社会の牽引役となるよう、尽力したいと思っています。そして、トヨタ自動車のウェルキャブが利用者へ利便性・安心感を提供するだけでなく、生きる意欲やモチベーションの向上といった部分での支えになることを望んでいます。
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