走りのテイスティングができる男。 | HEN-AI C-HR 05 | サスペンション設計チーム代表 志度 彰一 「C-HRは、ちょっと固いけどすっきりした仕上がりです」

サスペンション設計

C-HRの売りの1つは「我が意の走り」。そして、この「走り」にダイレクトに影響してくるのがサスペンションだ。車体をふらつかせずハンドリングを向上させる。一方で、クッションとなって乗り心地を向上させる。サスペンションは、物理的に相反する運転感覚を調整するパーツでもある。

下りのコーナーでも、不安にならない。
2mmごとの仕様変更を経て導き出した最適値。

「今回、一番苦労したのはリヤサスペンション取り付け点の調整です。トレーリングアームと呼ばれるパーツを取り付ける位置を、2mm変えては乗ってみて…を繰り返しました」

C-HRはクロスオーバーSUV。プリウスなどと比べ、車高を40mmほど上げようということになった。視界が開ける分、重心は上がり、ロールが増えることもある。

車高が上がった状態で、いかに乗り心地やハンドリングを「我が意の走り」に近づけるかが、サスペンションの課題だった。

チューニングの要となったのは、「アクティブな安心感」。

「例えば、下りのコーナー。タイヤが鳴り始めると、怖く感じることもありますが、C-HRは違います」

通常であれば不安になる状況でも、思い通りにハンドリングできる。安心感はしっかりとありながら、しかも運転が楽しい、意のままにクルマが動く感覚を追求した。

「安心感と運転する楽しさの両立には、相当厳しいサスペンションの調整が必要でした」

その一例が、冒頭の2mmごとの仕様変更だ。2mm、部品の位置を変えて、タイヤのグリップ感を調整し続けた。それは、「理想の走り」という哲学を追求し続ける苦しい行為。

「おかげで、自分でもお気に入りの運転感覚に仕上がりました!」

その乗り心地は、気の遠くなるような試行錯誤の積み重ねで出来上がっている。

設計図を見ながら、調整した部位を確認する。多くの部品が複雑に絡み合う中で徐々にジリジリと調整していくのは、多大な根気を必要とする。

流れに逆行しつつも導入した、金属製のクルマの関節

ブッシュというパーツがある。タイヤから伝わってきた振動を受け止め、サスペンションなど他のパーツに届ける、いわば「クルマの関節」とも言える部分である。

ベースになった新型プリウスでは、複数あるブッシュは全てゴム製だった。

「欧州の悪路でもアクティブに走れるクルマにするには、従来よりもダイレクトな反応をする仕上がりにする必要がありました」

そこで登場したのが、ピロボールブッシュという金属製の玉。志度は、ブッシュのうちの1つにピロボールブッシュを使用した。ゴムのようにたわまない分、ハンドリングが良くなり、車体のふらつきも減る。

「もちろん、ダイレクトな反応の代償に、乗り心地は悪くなります。しかし、そこは他のパーツと協力し、十分な乗り心地を保ったまま、思い通りの反応を得られるように調整しました」

現在、トヨタのサスペンションには、ゴムブッシュを使い乗り心地を良くする流れがあるが、その流れに逆行するにもかかわらず、志度はピロボールブッシュを採用した。

異例すぎる決断のため、関係部署の調整には苦労したという。しかし、この変更は譲れなかった。

「欧州車に負けない運転感覚を作りたかった。正直、うまくいったと思います」

サスペンションにこだわり続けた男の、自信作だ。

サスペンション中の部品。

その他の偏愛

  • HEN-AI C-HR 01 ボディで走りの質を作り込む男。 ボディ剛性評価チーム代表 天野 克彦
  • HEN-AI C-HR 04 30μmが我慢できない男。 シフトノブ設計チーム代表 野間 友貴
  • HEN-AI C-HR 03 デザインから空気の流れを見る男。 空力性能開発チーム代表 楢崎 昭尋

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