ランプに新しい「赤」を持ち込んだ男。 | HEN-AI C-HR 07 | テールランプ設計チーム代表 角田 貴紀 「コンセプトモデルだろ、って言われます。量産車なのに」

テールランプ設計

テールランプとは、読んで字のごとく、クルマ後方についたランプのこと。クルマの外観に大きな影響を与える一方、ブレーキランプやウインカーなど後方車両とのコミュニケーションに利用され、ドライバーにとって、ある意味で一番目立つパーツである。

継ぎ目まで、デザインされている。
大きくせり出したテールランプ。

C-HRのテールランプは、例がないほど、大胆にせり出している。実は、この「せり出し」には多大なる労力とコストがかかっているという。

「初めて聞いた時は、”まあ途中で方針が変わるだろう”と思っていました。コストがかかりますし、何より試みとして新しすぎるためです」

このテールランプの実現が困難な理由は、大きく分けて3つある。

まず、部品がたくさん必要であること。それに伴って、部品の分割をさまざまな要求される性能に適合させることが難しいこと。そして最後に、空力など他のチームとの連携が複雑になることだ。

樹脂で複雑な形を作るには、たくさんの部品が必要だ。そしてそれには、大変なコストがかかる。このテールランプには、通常の2倍もの金型が専用で用意されており、その額は数千万円にものぼる。

さらに、これらの部品をつなげる際には、注意が必要だ。テールランプは光が通るパーツ。部品に隙間があればそこから光が漏れて狙い通りの場所を発光させられない。また、どうしても残ってしまう継ぎ目がテールランプのラインを崩してしまう可能性があった。

特にこの部品の分割線の設計に関して、角田は苦労したという。

「部品の分割線すらもデザインに見えるようなものにしようと思いました」

見てみると、部品の分割線がダイヤモンドシェイプを崩すことなく入っている。C-HRのテールランプは、部品の分割線まで計算されているのだ。

そして、他のチームとの連携。今回は特に、テールランプに作られた小さな突起「ボルテックスジェネレーター」に苦労が現れている。この突起は空力で車体を安定させる際に必要なもので、本来はボディのどこかにつけられるものである。しかし、C-HRではテールランプについている。大きくせり出した、格好良いテールランプを維持するには、空力的な工夫が不可欠だったのだ。位置や大きさはデザイナーとも十分に検討し最適解を導き出した。

「このような困難を乗り越えて、最後までやり切れることはそうありません。設計冥利につきるテールランプでした」

大きく立体的にせり出したテールランプ。ボディに向けてくびれていくのがはっきりとわかる。

たくさんのパーツで織り込まれた、深い赤を実現する。

テールランプで印象的なのは、その赤色だ。他車種と比べるとよりわかりやすいが、奥行きのある赤色をしている。

「この赤は、かなりの試行錯誤を繰り返して辿り着きました」

通常、テールランプの赤色は部品そのものを赤く塗って出すことが多い。しかし、C-HRのテールランプの最も外側は透明な部品で覆われている上、奥に見える赤い部品はどこか神秘的でメタリックだ。

「普通のやり方では、デザイナーの要求するこの色合いは出ないと自負しています」

一般的に塗料、もしくはメッキのみで行われる着色を、アルミ蒸着をかけた上に専用で調色した半透明の赤塗装を被せることで行ったのだ。これによって、複雑な赤を表現できるようになるとともに、テールランプ内の透明度が外側と内側で異なって陰影のあるテールランプになる。

「ここまで手間暇をかけて赤色を作ることは、そうはないですよ。何度もサンプルを作り直して色味を調整しこの見栄えを実現することができました」

C-HRのテールランプは、点灯させた時も暗い所が無くムラが感じにくいように作り込んでいる。

「テールランプは、赤色が決め手になりますから。この赤が格好良く発光した時、かなり良いものができそうだと実感できました」

普通のこだわりではたどり着けない赤色にも、ぜひ着目してほしい。

消灯時でも他の車種のテールランプと一線を画す、印象的な赤。表面の透明なパーツを意識させないことで、立体的な色になっている。

発光体の位置の違う2つのライトを同じ見栄えに近づける光の職人技。

2つに見えるテールランプだが、その実、大きく分けて4つに分かれている。トランクの開口部によって、1つのランプが2つに分断されているためだ。

「C-HRのテールランプの印象的なラインを崩さないためには、トランクを避けるわけにはいきません。さらに、トランクの収容スペースを確保するために、それぞれのランプの光源の位置が変わってしまうということが起きました」

トランク側とボディ側のランプでは、実は光源の入り方が違う。光源の違うランプをまるで1つのもののように発光させるために、角田自身も手を動かして試作を繰り返したという。

「通り抜ける距離が長ければ長いほど、光は減衰しますし、どこかで漏れたりもしている。ひとつひとつのLEDの光量を少しずつ調整して、なんとか今の水準まで持ってきました」

C-HRの背面を彩る、印象的で大胆なラインは、角田の地道な調整によって支えられている。

「渋滞の時なんかは、よく見てみてください。他のクルマとはぜんぜん違う表情をしていると思います」

大きくコの字に走る光のライン。印象的なラインは、渋滞で他の車種と並んだ時にきっと目立つことだろう。

その他の偏愛

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