「数字と感性の矛盾」に立ち向かった男。 | HEN-AI C-HR 12 | 動力・ドライバビリティ設計チーム代表 河井 智也 「スペックだけを追い求めると、気持ち良い走りは損なわれてしまうんです」

動力・ドライバビリティ設計

「我が意の走り」は、何もエンジンや重量バランスだけの話ではない。ステアリング、シート、そしてアクセル・ブレーキペダルのフィーリングが揃って初めて、「我が意」になる。ペダルフィーリングなどのドライバビリティ設計もまた、C-HRの重要なポイントだ。

優れた走りに、アクセルペダルは必要不可欠。
ドライバーと会話できるアクセルペダル。

加速タイムなどに代表されるクルマの動力性能は、車重・パワーといったスペック表の数値によって、ある程度予測ができてしまう。しかし実際のところ、そのクルマの走りに対するドライバー個々の思いやそれぞれの評価基準は、決して一通りではない。

今回、C-HRのドライバビリティ設計は、その想いからの出発となった。

「ドライバビリティとはアクセルペダルを踏んだ際の車両前後運動の応答性、コントロール性、スムーズさなどのことです。ドライバーひとりひとりが『優れた走りの性能』を感じるのはどういったことなのか? という領域にまで踏み込んで考えたのが、私なりのこだわりでした」

第一のポイントは、ドライバーの意思を正確に把握できるアクセルペダルだという。

C-HRは、社内で「APM6ペダル」と呼ばれる最新のペダル、設計思想を使っている。このペダルはその単体特性だけでなく、TNGAの思想をアクセルペダルにまで広げたものだ。従来のトヨタ車はアクセルペダル操作の容易さを「軽さ」で表現していた。しかもその「軽さ」も車により不統一であった。軽いだけでは踏み過ぎも招きやすく、狙いの加速をドライバーが一発で実現するのは難しい。逆に、単に重くしても操作しにくくなるだけである。それに対してAPM6ペダルは人間工学を駆使しドライビングポジション、踏み込みによる足首の角度変化、ストローク量と反力、足の重さまで考慮されている。軽過ぎず、重過ぎず、ドライバーが違和感を感じず、ドライバーの意図をそのまま読み取れるペダル。今後トヨタが提案して行く、計算し尽くされた「トヨタの走り」の集大成がこのC-HRのアクセルペダルには詰まっている。

「このペダルもC-HRの大きな魅力だと自負しております。従来のトヨタ車に乗っておられるお客様であれば、まったく新しいしっかりとしたアクセルペダルフィールに、新たな魅力を感じていただけるものと信じております」

アクセルペダル。踏んだ後の「戻り」も計算し尽されている。

街乗りでもワインディング路でも「我が意の走り」を。

第二のポイントがアクセルペダルで読み取ったドライバーの意思を車両の目標挙動に読み替えるロジック。20年ほど前までの車はアクセルペダルとエンジンのスロットルがワイヤーで繋がっており、駆動力を設計するという思想が入る余地がほとんどなかった。しかし近年のエンジンは電子スロットル制御となり、駆動力設計の可能性が大きく広がっている。当然トヨタでも長年の知見を元にした駆動力設計思想、何十もの評価指標を持っており、国内各地の様々な評価コースで試験は実施している。しかしながらそれだけでは拾いきれない条件も多く、最後の味付け、感性と車両挙動の最高のマッチング実現にはやはり実環境での走行確認が欠かせない。特にC-HRは一般的に応答性がデリケートなターボエンジンを搭載したということもあり、開発の各段階で欧州、米国で徹底的に走り込みを行いそのアクセル入力とエンジンサウンドも含めた車両挙動を作り込んできた。

「限られた動力性能の中で、どのように走りを設計するかが動力設計の真髄です」

仮に最速の加速のみを実現するのであれば設計は比較的簡単である。しかしあえて加速力を落とすことによりトータルでの加速の気持ち良さは向上することも多い。例えば加速時のエンジントルクの立ち上げと変速比制御。ラバーバンドフィールとして長年CVT開発者を悩ませてきた問題であるが、これもエンジン開発者、CVT開発者と何度も乗り合わせ、制御検討を行いMT車同等以上のレスポンスと加速の伸びを実現した。キーワードとなったのが「我が意の走り」という言葉。キチンと調教された馬は、乗り手の意思を自ら感じ、意のままに動いてくれる。クルマにも、同じことが言えるのではないか。

「ターボエンジン車では走り始めのスムーズな加速と40km/hからのエンジンサウンドと一体化したターボならではの力強い加速、ハイブリッド車では全領域での高応答かつスムーズな走りを是非感じていただきたい。このような表現をするとスポーティーな方向を重視したのではないかと思われるかもしれませんが、そういうことではなく、たとえば交差点をゆっくりと曲がる場面でも、アクセルをほんの少し踏み込むだけで確実に車両挙動が返ってくる、そういうコントロール性の良さを実現しています」

心地良く運転できるように調整された、足回り。

気づかれないことが理想の駆動力実現へのこだわり。

最後のポイントが、車両の目標挙動を実際に実現させるロジック。

理想的な駆動力目標が分かったとしても、それを実現できなければ意味はない。C-HRには先の例だけでなく、様々な高応答、スムーズな加減速を実現する新制御が織り込まれている。メカの集合体である自動車では、様々な応答遅れ、振動が発生することは避けられない。しかしながらC-HRは『走り』を強く意識した車に見られるギクシャクした走りとは無縁。要求駆動力設計、エンジンとCVTの巧みな協調設計により過給遅れを感じさせることもなく、低開度から高開度まで途切れることのないリニアな加速、どのような車速から踏み込みんでも確実に車が応えてくれるコンシステンシーを実現した。

「気づかないことに気づいていただきたい、って変ですが」と河井は笑う。

そしてスポーティーなイメージを持つC-HRの走りを語るのに欠かせないのがスポーツモード。ターボ車では、ステップアップシフトを等パワーに近い設定にすることにより、ノーマルモード以上の力強い走りを実現した。ハイブリッド車では、勾配や操舵により減速度を最適化するなどより気持ちの良いワインディング走行をアシストしている。

「C-HRに乗られたら是非一度はスポーツモードも楽しんでいただきたい。さらに高い次元での『我が意の走り』を楽しんでいただけると思います」

ドライブモードは手元のステアリングスイッチで切り替えが可能だ。

その他の偏愛

  • HEN-AI C-HR 03 デザインから空気の流れを見る男。 空力性能開発チーム代表 楢崎 昭尋
  • HEN-AI C-HR 02 100枚以上のヘッドライト写真を持ち歩く男。 ヘッドライト設計チーム代表 岩村 勇介
  • HEN-AI C-HR 01 ボディで走りの質を作り込む男。 ボディ剛性評価チーム代表 天野 克彦

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