ドライバーにとっての「安心感」を作り上げた男。 | HEN-AI C-HR 19 | シート実験チーム代表 渡辺 勝広 「座って、運転して、お尻の落ち着きが良いのが一番良いシートです」

シート

クルマに乗りこんだドライバーの身体を、優しく包み込むようにサポートするのがシート。身にまとうかのようなフィット感と優れた質感、さらに機能部品ならではの安全性が要求される重要なパーツである。

最適だったはずのクッションパッド材料から、3回の変更。
常に体に接する、シートという部品へのこだわり。

あらゆるクルマにとって、シートは乗る人の身体をサポートするという極めて重要な役割を担っている。純然たる機能部品であり、身体に常に接触しているという意味では触感や風合いさえも要求される存在である。その上で安全性や操作性においても絶対にないがしろにできない難しい構成パーツでもある。

「座面についてはクッションパッド材料を3回換え、さらに形状や加工条件なども吟味しました」

クッションパッドにはC-HR専用品を開発し、社外試乗評価に万全の態勢で臨んだはずだった。しかし、そこで想定していた性能が出ない。原因はどこにあるのかを徹底的に検証し、結局材料を3回換えることになった。さらに、形状の見直しや生産条件の最適化などにまで改修の範囲は及んだ。開発はトルコでの生産車を使って行い、材料もヨーロッパで調達したものを使っていたのだが、検証の過程で得たデータを元に日本国内でも同じ材料を調達できたことから、国内生産車でも同じ性能でのシート生産が可能となった。

C-HRのシートはTNGAプラットフォームを共用するプリウスのシートを基準にしているが、着座位置が高くなったことによって座り心地が変わってくる細部を、ひとつひとつ手直ししていった。評価基準はあくまで乗る人の感性。ただ着座しての印象だけではなく、実際に運転し、操作してどうなのか? できるだけ多くの人にコメントを貰い、それを元に自分自身の感性と照らし合わせることで最適解を見つけ出すという作業だった。もちろん、開発責任者の古場にも頻繁にチェックを依頼したという。

身体を包み込むようなシート。素材の選定と試行錯誤を繰り返し、操作しやすい着座姿勢を実現した。

冗談交じりに言われた、
「レース用シートと同じくらいサポート性能が欲しい」という言葉。
考え抜いた、ペダルと座面の角度。

座面の高さが上がったことで一番大きな問題になったのは、座面とペダルとの位置関係を全て見直さなければいけないことだったという。ホールド性を確保するのであれば、座面はやや後傾させるのが望ましい。プリウスではそれで良かったのだが、C-HRではペダルの操作がしにくい一面が出てしまった。この部分の角度設定は非常に精密な検証が必要だった。角度をつけすぎると操作性に問題が出る。かといって角度を浅くしすぎてしまうと、身体が前に動いてしまう。

「シートサポートで重要なのは、座面のホールド性能の他に、ドライバーの膝の裏の部分のサポート性能、いわゆるサイサポートです。この部分はドライバーの体格によっても最適値が変わりますので、特に小柄な女性に評価をお願いするなどして、多くの体格にマッチする座面の角度を導き出しました」

シートを設計することは、ステアリングやペダル、シフトレバーやその他のスイッチとの関係をまとめることに集約されるという。C-HRのシートデザインは、特に細部を徹底的に詰めたことで、それぞれの位置関係がとても上手くまとまったということである。

開発責任者の古場には、ドライビングポジションに対する確固とした主張があった。渡辺が個人的に古場から譲り受けたスポーツ走行用バケットシートについて、「C-HRもこのくらいのサポート性能が欲しい」と言われたことがある。もちろんこれは半分冗談だったのだが、そのひと言を通じて、古場がサポート性能という言葉について抱いているイメージの理解が、1つ深まったという。

シートバックのサイドを狭くするとサポート性能は向上するが、身体の大きな人にとってはわき腹に食いこんでしまう。評価のための試乗会では、具体的に何がどう悪いのかといった意見が出てくることはあまりなく、単に固いとか柔らかいとかのコメントが多い。重要なことは、その内容をしっかりと理解することだった。開発者としては、その時点で最適と思われるモノを提供しているという自負があるものの、相手が人間だけに、感想コメントは千差万別。それをどう理解し、次に繋げるかが焦点だった。

千差万別の声と開発責任者の古場の主張から座面の角度の最適値を見つけだした。

体も、そして心も支えるショルダーサポート。

開発責任者の古場は、ショルダーサポートに大きな役割を与えるという強い想いを持っていた。それは、ドライバーがシートに座って正しいドライビングポジションを取り、ステアリングを操作した時に肩を後ろから支えることで、正確なステアリングワークを可能にしたいという考え方だった。しかしシート開発陣は、当初その真意を理解できなかったという。

「ショルダーサポートをしっかり作り込んで欲しいと言われた時、われわれは単純に横Gがかかった時に支える機能を持たせるものだと思いました。しかし実際に古場が求めていたものは、そうした固いサポートではなく自然なしっかり感、言い換えれば安心感なのだということに気づきました」

そうして作り上げたショルダーサポートは、たとえばハードなコーナリングとは無縁の日常の街乗りであっても、ドライバーのステアリングワークに対してさりげなく安心感をもたらすものになったという。

「お客様に伝えたい。座面の確かなホールド感と共に、ショルダーサポートによってしっかりとクルマがドライバーを支えているということを。これは試乗で体感していただけるものと信じています」

C-HRのシート。最適な座面とショルダーサポートがドライバーのステアリングワークを支える。

その他の偏愛

  • HEN-AI C-HR 03 デザインから空気の流れを見る男。 空力性能開発チーム代表 楢崎 昭尋
  • HEN-AI C-HR 02 100枚以上のヘッドライト写真を持ち歩く男。 ヘッドライト設計チーム代表 岩村 勇介
  • HEN-AI C-HR 01 ボディで走りの質を作り込む男。 ボディ剛性評価チーム代表 天野 克彦

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