ノイズのために、思考も手間も惜しまない男。 | HEN-AI C-HR 20 | ノイズ/バイブレーション対策チーム代表 亀井 一浩 「ハイブリッドのバッテリーを冷やす冷却ファンの音の低減には苦労しました」

ノイズ/バイブレーション

静かで快適な走りを楽しめることが、クルマの商品価値を高める。目指したのは走行性能と静粛性能の両立。そして、時として気持ちの良い走りの理由にもなる心地良い音の造り込みもノイズ/バイブレーション対策に含まれている。

試行錯誤を重ね作りあげた、
ハイブリッドバッテリーの冷却と騒音の両立。
その中でも忘れない、心づかい。

C-HRのノイズ/バイブレーション対策において、特に大変だったところを尋ねると、亀井は躊躇することなく「ハイブリッドバッテリーの冷却ファン」と回答した。

C-HRのハイブリッド仕様では、リヤシートの下部に大きなニッケル水素バッテリーが収められている。バッテリーは放電と充電に伴って発熱することから冷却することが必須である。冷却は空冷、つまり外部から電動ファンを通じて冷気を取り込み、それでバッテリーを冷却するというメカニズムである。問題となったのは、リヤシート下右側に設けられていた冷却ファンインテークのデザインと冷却風の取り回しだった。

「最初はコンピューターでシミュレーションモデルを作り、空気の流れを計算し、音が出にくい形状を数パターン考え、最終的には人間の感性に重点をおいて評価し、完成形となりました」

冷却ファンインテークがリヤシートの下部に位置するのは、TNGAプラットフォームを共用するプリウスから引き継がれている。C-HRにおいては、冷却機能は最大に、騒音は最小にを目的に、さらなる完成度を追求した。このシンプルな命題を追求するために、冷却装置とその周辺の設計に伴う試行錯誤は数百回に及んだという。

「細かなことですが、開口部にコインなどが入らないように、スリット形状には設計要件があります」

冷却装置の設計は、こうした吸気口の設計に加えて、ファンの性能をいかにしてロス無く発揮させるかがポイントであるという。騒音は最小に抑えたい一方、そこに気を取られていると、今度は肝心の冷却性能に不都合が生じてしまう。どこに落とし所を持ってくるか。そこはまさに感性の勝負だったというわけである。

C-HRの冷却ファンインテーク。多数のシミュレーションと人間の「感性」によって完成した。

音を小さくしなくていい。
音色を揃えれば、気になるノイズは低減できる。

クルマにとってロードノイズが気になるのは、走行路面の状況が変わった瞬間だという。特にヨーロッパなどで多い、スムーズな路面と荒れた路面が交互に現れる場合に覚える走行音への違和感は顕著であり、高めの「シャ―」という音と低めの「ゴー」という音が繰り返し車内に入り込んできてしまう。これまでは、どうにか騒音自体を小さくすることで対処してきたが限界がある。そこで、亀井は逆転の発想をする。

「ちょっとしたアイデアなんですが。全体の音圧を下げるのは難しい。しかし、高めの音と低めの音の差を小さくすることで、感じにくくすることはできるんじゃないかと考えました。それが、『ロードノイズを造り込む』という言葉の意味です」

ひとくちにロードノイズを造り込むと言っても、道は容易ではなかった。その過程において、手を付けざるを得なかったところはそれこそクルマの全域に及んだ。一般にロードノイズの原因の中で一番大きいのは、タイヤのトレッドパターンが走行中に発するノイズであると言われている。トレッドパターンを静粛性重視にすればノイズが減る一方で、グリップ性能やハンドリング性能との両立が難しくなる。今回、C-HRはハンドリング性能が最優先項目であったことから、タイヤについては静粛性の面からの提案がほとんどできなかった。そこを埋め合わせる形で、静粛性に及ぼす影響が大きいもう1つの要件であるホイールの剛性アップを、当該部署に依頼した。

さらに2WD仕様の場合、リヤサスペンション周りにロードノイズに関連するポイントがあったことから、上部のサスペンションメンバーにダイナミックダンパーを取りつけることとなった。構造としてはゴムとウエイトだけのシンプルなものではあるが、ロードノイズのコントロールにおいて有効に機能してくれたという。これもまた一般ユーザーは気づかない設計の妙であると言っていいだろう。ちなみに2WDのみとしたのは4WDの場合はリヤデファレンシャルが相応のマスを持っていることから、ダンパーに代わる役割を果たすことができたというのが理由である。

ロードノイズコントロールに関しては、この他にも、ルーフライニング内部のシーラーを工夫することで、ルーフ全体の振動を抑制することも行っている。どこをどう対策すべきかという判断は、計測データを使っての解析はもちろんだが、最終的にはエンジニアの感性が決め手だった。またドアからのロードノイズ侵入を防ぐために水抜き穴にクリップを付けた。いずれも地道な対策である。

「古典的な方法ですが、走行中にドアやピラー、ルーフなどを、注意深く触ってみるだけである程度のことはわかるんです。振動と音が同時に出ている場合などは顕著です」

どのような状態の路面でも静かな走りができるロードノイズコントロールを実現した。

穴をふさぐ。一言だけの、しかし一言では言えない努力。

「エンジン騒音の低減については穴ふさぎがポイントでした」

エンジン関係の騒音は、侵入元となるダッシュパネルの穴を丹念にふさぐことで対策したという。もちろんこれは従来から行われてきたことなのだが、C-HRではさらに徹底的に行った。特にステアリングシャフトなど、大物の貫通穴に対しては、しっかりとしたカバーを設けた。

C-HRの場合、走行性能とハンドリングに対しては、開発責任者の古場の強い思いがあった。これを受けて、騒音対策もそれらを損なうことなく、むしろドライバーがクルマを操る喜びを感じる方向に造り込みを行った。それこそが最大のこだわりであり、C-HRの美点なのだ。

エンジン関係の騒音は侵入元となるダッシュパネルの穴を丹念にふさぐことで対策をしたという。

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