まず、ホイールの裏側を触る男。 | HEN-AI C-HR 22 | ホイール設計チーム代表 宗田 浩幸 「デザインと性能が両立しているホイールは、裏側の削りに秘密があります」

ホイール

クルマの足周りを構成するパーツの中でも、ホイールは性能に直結する重要機能部品であると同時に、外観デザインのイメージを大きく左右する存在でもある。デザイン、重量、剛性、要求される性能条件はどれも厳しい。

ホイールの肉を「盗む」。
ホイールの裏側に潜む、見えないスゴ技とは。

C-HRのホイール設計においてやはり一番ネックとなったのは、デザイン部門から出てきた個性的な造形を活かしたまま、量産品に仕上げなければいけなかったことだと宗田は語る。今回デザインとして採用された、中央から外側に向かって徐々に広がって行くようなホイールディスクのデザインは、どうしても重量的には重くなりがちだという。そうした場合に実際の設計において要求されることは、見えない箇所を軽量化すること。そこにはデザインにも、さらには剛性と強度にも影響を及ぼさないという条件が付く。

剛性とは:走行時ホイールは路面からの入力、車両の横Gによって厳密にはたわみが生じる。そのたわみ難さを剛性値で表現。車両性能を確保するためには高すぎても、低すぎても良くない。車両ごとのマッチングが重要。

「われわれホイール設計の現場では少しでも軽くするためにデザインに影響しないホイールの裏側で余分な肉を削る『肉盗み』を徹底的に行います」

その一方で、デザイン重視のホイールの場合、それが理由で強度に問題が生じる場合もあるという。通常の感覚であれば、弱い箇所は厚く作れば良いということになるのだが、それでは設計の仕事をしたとは言えない。あくまでオリジナルデザインを活かしながら、ホイールの裏側形状を検討することで要求性能を満たす方法を考えることが設計者の腕の見せ所なのである。

デザイン重視のホイール。剛性に影響を及ぼさないという条件付きで、見えない箇所を軽量化することが設計者の腕の見せ所である。

通常の倍の設計解析。地道な試行錯誤で守り抜いた格好良いデザイン。

C-HRのホイール設計解析は、通常の倍程度に及んだ。検討対象となったのはデザインと剛性とのバランスである。具体的にはホイールの中央部に対して外周部のボリュームが増したことで、中央部に剛性不足の恐れが出てしまったこと。設計現場ではデザイン部門と密接なコンタクトを取りつつ、双方が最良とするポイントを見つけ出した。ホイール設計側は、軽量化と剛性を両立すべくある箇所では裏側の肉を削り(盗み)、他のある箇所には肉を盛るという作業を追求することとなった。

いくらホイール単品として目標性能を満たしていても車両との性能マッチングが重要。最後はテストドライバーの官能評価結果にもとづいて形状を決定していく。

「この場合、実験部のテストドライバーの官能評価の結果次第では、非常にシビアなレベルでの作業になります」

官能評価実験の過程で剛性不足を理由にNGが出た場合、原因と思われる箇所に肉を盛る。それは決して多い量ではない。重量的には数10グラムでのレベル、盛った厚みの量で言うと数mm程度だという。一般にバネ下荷重と呼ばれているホイールやタイヤの重量は軽ければ軽いほど良いとされるが、場合によっては重くすることがチューニングとして必要となる場合もある。これはある箇所の剛性を上げることが目的であり、物理的な理由としてはホイールのたわみが深く関係している。テストドライバーはこうした微妙な動きを感じ、設計者はそれに対して経験に裏打ちされた繊細な技術をもって応えるという深過ぎる世界。そうした作業を経て素晴らしい製品が完成するというわけである。

厚みの量で言うと数mm程度の調整。そうした作業が素晴らしい製品を作り出す世界。

装着して初めて完成。
クルマのサイドビューと噛み合う、立体感を増したホイール。

ホイール単品だけでは本当の格好良さが感じ取れない。車両に取り付けることで初めてその格好良さを体感できる。C-HRの場合は、実際には同クラスの18インチホイールの中では軽量に仕上がっているのにも関わらず、大きくどっしりとしたイメージにまとまり、ボディサイドに対して面一にできた。

そもそもホイールデザインそのものが個性的で、見る人に訴えかける要素が多いのだ。

「実車に装着して初めてデザイナーの想い、特に立体感を具体化できたという達成感がありました」

宗田はクルマを見る時には斜めから見る。ボディのデザインに対してホイールの張り出し具合はどうなのか? そこが格好良く仕上がっているかが気になるポイントだという。

もちろんC-HRにおいても、そこが最大の魅力になるように作り上げられていると宗田は考えている。他車のホイールを客観的に評価する場合も、まず斜めから見てボディとのマッチングを見るという手法は変わらない。そして可能であるなら、近づいて造形と品質を確認。つい、裏側に手を回す衝動に駆られるのは、職業病と言えるかもしれない。

「ホイールは止まっている時に車両を美しく、格好良く見せないといけない」

クルマは走るもの。ホイールはその機能を支えるもの。しかしダイナミックに動くクルマが止まった時にこそ、ホイールの存在感は際立つ。街中をゆっくり走ってきて、止まったクルマのホイールにふと目を落とすと、そこに目立たないけれども、緻密さとこだわりに満ちた美しい造形がある。C-HRはそんなところも魅力なのである。

個性的で、見る人に訴えかける要素が多いC-HRのホイール。車両に装着されて初めてその本当の良さがわかる。

その他の偏愛

  • HEN-AI C-HR 03 デザインから空気の流れを見る男。 空力性能開発チーム代表 楢崎 昭尋
  • HEN-AI C-HR 02 100枚以上のヘッドライト写真を持ち歩く男。 ヘッドライト設計チーム代表 岩村 勇介
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