クルマ周りの百科事典 7.高速道路

道路交通法には「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」という罰則規定があり、高速道路上でガス欠になると違反になる（基礎点数２点、反則金9000円：普通車の場合）。さらに悪質な場合には、３カ月以下の懲役もしくは５万円以下の罰金という罰則が適用される可能性もある。これは、予知できるトラブルに関しては、違反切符を切ることがあるということ。道路交通法の遵守事項では、ガス欠に限らず冷却水やオイルの量、貨物の積載の状態などの事前チェックを義務付けていることから、高速道路上でこれらの原因でクルマが停止してしまえば、義務違反に問われる可能性もある。ただし渋滞によって過剰なガソリンを消費したなどの予測できないガス欠については、違反になることはない。

ハイウェイ情報ターミナル（HIT=Highway Information Terminal）を示すシンボルマーク。サービスエリア、パーキングエリアに路線図の描かれた大型パネルやテレビ画面で、事故・通行止め・渋滞・所要時間・車線規制・工事・気象などの情報を表示している。行き先経路案内や地域観光などの情報提供も行っている。

運転操作が単調になりがちな高速道路では、高速道路自体にも居眠りを防ぐ様々な工夫が施されている。例えば路肩の白線と舗装。規則正しく敷かれた白線は、交互に施した厚みの異なる塗装によって凸凹が付けられている。白線外側のアスファルト舗装では、進行方向に対して垂直に掘られた溝が続いている。これらは居眠りや脇見などによる車線からのはみ出しを、「ブーン」という音と振動でドライバーに知らせる役割を持っている。また長い下り坂などでは、路面に厚さ５mm程度の滑らない塗料による薄層舗装を施して路面に段差をつくり、だんだん早くなる音と振動を起こす構造がある。路面を通過する短い時間に、単調でないリズムによってドライバーの心理に訴えかけて注意を喚起するもので、高速道路ならではの居眠り防止対策だ。

サービスエリア（SA）もパーキングエリア（PA）も、道路の一部として道路管理者により開設された、駐車場やトイレなどが設けられている高速道路の休憩施設。SAは高速道路上に約50kmごとに設置されており、駐車場の他、緑地、トイレ、レストラン、売店、ガソリンスタンドなどの施設が設けられている。PAは約15kmごとに設置されたSAを小規模にした施設で、駐車場、トイレ、売店などが設けられている。近年では、SAやPAをより大規模に進化させた施設としてEXPASA（エクスパーサ）やNEOPASA（ネオパーサ）、SAやPAに接続して公園などを展開するハイウェイオアシスも登場している。

温泉があるSAは全国に多数存在する。シャワーのみ浴びられるSAもあるので、気軽にドライブの疲れを癒やすことができる。
【諏訪湖SA／中央自動車道（上り/下り）】
天然温泉と諏訪湖を望める浴室が人気。
【EXPASA足柄／東名高速道路】
上り線・下り線の両方のSAが2010年に改装。上り線「レストイン時之栖」の高濃度炭酸泉大浴場では、体全体を包んでくれる泡でリラックス。体の芯まで温まって、旅の疲れを癒やしてくれる。サウナやちょっとした休憩に便利なマッサージチェアも完備。宿泊もできる。
その他、刈谷PA【伊勢湾岸自動車道】、城端SA【東海北陸自動車道】、徳光PA 【北陸自動車道】、錦秋湖SA 【秋田自動車道】、美濃加茂SA 【東海環状自動車道】、EXPASA多賀【名神高速道路】、吉野川SA 【徳島自動車道】などでも温泉が楽しめる。

伊勢湾岸自動車道刈谷PA【刈谷ハイウェイオアシス】には、大きな観覧車や公園・温泉などがある。新東名高速道路NEOPASA駿河湾沼津（上り）は地中海の港町を、下り線は目前に迫りくる海をイメージして造られており、アパレルやセレクト雑貨、メーク用品のお店などがあり、ショッピングモールのよう。その他にも星の王子さまをテーマにした寄居 星の王子さまPA 【関越自動車道（上り）】や、人気小説「鬼平犯科帳」の世界を表現した羽生PA「鬼平江戸処」【東北自動車道（上り）】なども人気を博している。

新東名高速道路NEOPASA駿河湾沼津（上り）には、PET PARADISE ＋ OneDay Cafe（ドッグカフェ）があり、愛犬と一緒に入店して食事ができる。また、名神高速道路尾張一宮PA（下り）や北陸自動車道南条SA（上り）ではドッグランに隣接したスターバックスコーヒーのテラス席にリードフックが設置されている。ドッグランは全国の各高速道路のEXPASAやSA/PA50カ所以上に用意されている他、ペット専用水飲み場やゴミ箱など、ペットと快適な旅をするための施設が増えている。またペット専用のフードやおもちゃを販売しているSA/PAも多い。

高速道路を降りることなく利用できる宿泊施設「ハイウェイホテル」は、
・名神高速道路EXPASA多賀（下り）の「レストイン多賀」
・関門自動車道壇之浦PA（下り）の「ファミリーロッジ旅籠屋 壇之浦PA店」
・東北自動車道佐野SA（上り）^※の「ファミリーロッジ旅籠屋 佐野SA店（E-NEXCO LODGE 佐野SA店）」
・山陽自動車道宮島SA（上り）の「ファミリーロッジ旅籠屋 宮島SA店」
などがある。
さらにコインシャワーやコインランドリーが設置されているSA/PAも増えている。
※下り線からの利用も可能

プロポーズの場所にも選ばれそうな、ロマンチックなスポットが全国のSAに設置されている。東名高速道路浜名湖SAには、浜名湖に突き出した半島の場所に「幸せの鐘」のモニュメントがある。その近くのフェンスに恋人たちが一緒に南京錠をロックすると、その２人は永遠に結ばれるとか。
同様のハートロックフェンスは、松山自動車道伊予灘SA（上り）にも設けられている。
名神高速道路大津SA（上り/下り）には、上下線それぞれの屋上にある展望テラスに「恋人の聖地」のモニュメントが設置されている。大津市内にある石山寺の絵馬に願い事を書き込んで、デッキのツリーにつるすのが定番だ。
明石海峡大橋を望む絶景のハイウェイオアシスとして、大観覧車や展望台がある淡路島公園を併設する神戸淡路鳴門自動車道淡路SA。上り/下りどちらからも行ける大きな花時計の奥にある小道を進むと、真っ白な「ハートライトゲート」がある。その天井には無数の穴が開いていて、そこからハート形の光が降り注ぐ。このゲートは、明石海峡の風景を切り取る「額縁」としても機能している。

東名高速道路上郷SA（上り）のトリックアートが有名。建物の壁からパンダやゴリラが飛び出していたり、ドアを開けようとしている子供が実は壁に描いた絵だったり、ユニークなアートが特徴だ。
関越自動車道高坂SAは、上りには初代ウルトラマン、下りにはウルトラマンゼロをモチーフにした自動販売機があり、飲み物を購入すると、ウルトラマンゼロの声を聞くことができる。高坂SAは階段を使って上下線が行き来できるので、初代とゼロの両方に会うことができる。また東北自動車道安達太良SA（上り/下り）にはウルトラセブン、ウルトラマンティガの自動販売機が設置されている。ウルトラセブンの目や額のビームランプが発光したり、ウルトラマンティガの胸にあるカラータイマーが点滅したりするなど、ヒーロー好きの子供たちに大人気だ。
峠の釜めしで知られる上信越自動車道の横川SA（上り）には、実物の車両の一部を利用して、信越本線横川駅を再現したメモリアルコーナーがある。懐かしい電車の座席に座って、釜めしを食べることもできる。
松江自動車道の加茂岩倉PAは上下線どちらからでもクルマを止めたまま徒歩で、出土した銅鐸（どうたく）が国宝に認定された「加茂岩倉遺跡」へ行ける。遺跡までの距離が800mとやや遠いが、遺跡の案内施設や出土品のレプリカ、散策路も整備されていて、遺跡発掘の様子も再現されている。
高知自動車道の馬立PA（上り）には、高速道路では珍しい、水琴窟がある。神秘的な音色は、ドライブで疲れた体や心を癒やしてくれるはずだ。