TOYOTA COROLLA DEVELOPER STORY

カラー

このカラーで、イメージまでも塗り替えたい。

広い視点でのグローバル市場を対象とした綿密な調査から導き出された色。それが今回のカローラの
ボデーカラーとインテリアカラーのバックグラウンドだ。ベーシックカーでありながら、他とは違う
プラスアルファの何か求めて突き進んだ色にまつわるエピソードがここにある。

人物写真
トヨタ自動車株式会社 カラーマネジメント室 レクサスカラーグループ所属
山口 麻夢
新型カローラの開発においてはグローバルモデルのカローラと、日本専用仕様のカローラ、カローラ ツーリングのエクステリア/インテリアカラーの開発を担当。
山口

日本でも、世界でも、
かっこいい色とは?

今回、日本専用仕様のカローラとカローラ ツーリングのエクステリア/インテリアのカラー開発を担当にするにあたって、チーフエンジニアからは「格好の良いものをお願いします」と言われていました。先代モデルで投入されていたスペシャルグレードである「W×B(ダブルバイビー)」のエクステリアデザインとカラーの人気が特に高かったことを踏まえて、そうした人気モデルのイメージをいかにしてキープしつつ、国内市場においてライバル車との厳しい戦いに勝つため、そしてさらに上のレベルを目指すにはどうすればいいのか? そしてそれらをどのようにお客様にわかりやすくプレゼンテーションするか? グループ内で綿密な検討を重ねながらカラーを決めて行ったというのが基本的な開発の過程です。

私どもの部署が行っているリサーチの中に「嗜好色調査」というものがあります。これはお客様の「色に対するイメージ」「クルマを選ぶ際の色の嗜好」など、色に関する様々な視点での嗜好性を調査したものです。カローラにおけるこの調査は、国内市場のみに留まらずグローバル市場全体を見据えたものとなっており、それを元に今回のカローラとカローラ ツーリングにも最適な色を設定しました。この中に新規開発したものが2色あり、いずれもグローバル市場も想定しました。

必ず自分の好きな一台が見つかるはず。

光を操り、
立体感を出す

具体的な2色の内訳は、まず青みがかったグレー色の「セレスタイトグレーメタリック」。大粒径の光輝材を許容限界まで入れることで、光の反射を効果的に演出し、ボディの立体感をより際立たせることができる色です。もう1色は「スカーレットメタリック」。ややオレンジがかった鮮やかな赤となっています。この色は単なる赤ではなく、まずベースにダーク系の赤を塗り、その上にオレンジ系の赤を重ねて載せるという工程を取っています。それによって鮮やかさの中にも深みがあるという立体感と共にアクティブなスポーティーさを感じさせる色となっています。

普通で特別なカラー、
そういった魅力を
いかにつくるか

新色としてグレー系とレッド系という系統の異なる2種類の色を開発したのは、調査の結果、想定ユーザーの色に関する嗜好には2つの方向性があったことが理由です。多くのカローラユーザーがそうであるように、日常的に使う実用品としてのクルマであれば、できれば派手な色は避けたい。しかしそうした中でも他とは違う何かが欲しいという、大多数のお客様が抱く複雑な感情を満足させるのがセレスタイトグレーメタリックの役割です。

新規開発色の「セレスタイトグレーメタリック」(カローラ)

もうひとつのスカーレットメタリックは、有彩色の中でも需要の高いレッドという色相を用い、わかりやすいスポーティさを表現する色です。そして少しオレンジを感じさせることで、奇をてらうことなく、独自の華やかなアグレッシブさを演出しています。

新規開発色の「スカーレットメタリック」(カローラ)

カローラという
ベーシックに
ひと工夫加える

さらに今回は、日本専用仕様のカローラとカローラ ツーリングの最上級グレードであるW×B(ダブルバイビー)には専用色「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」を用意しました。やや紫がかったブラックパールであり、シックな高級感のある色となっています。ダブルバイビーはホイール、ミラーカバーなどをカラーコーディネートしていることもあり、それらをダークな色調にまとめることで「特別感」を演出しています。

W×B専用色「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」(カローラ ツーリング)

ちなみに、ここに行き着くまでの色の検討総数自体は、色開発の前提が決定した段階から数えると、思い出せないレベルの数に達しています。実際の車両に塗装し、新色ではどのくらいのメタリック感が必要か、どのくらいの鮮やかさが必要か、またWxBでは次世代のイメージに合うか等、意見交換を重ね、今回のコーディネーションを開発致しました。
その中でカローラというベーシックモデルに色を通じてひと工夫加えるという意味では最高の仕事ができたと思っています。

新色2色はいずれも色を通じて生じる明暗差、すなわちコントラストがハッキリする色です。そのため、ボデーの微妙な形状を効果的に際立たせることができました。この点は特に気に入っているところです。もちろん失敗もあり、ダブルバイビーの色開発の過程で選択したものが、実際に塗ってみると皆の理想とするものにならなかったものもありました。

インテリアのカラーについては、グローバル展開を前提とした視点から、さまざまな色を各国のユーザーのニーズに合った最適の解答という形で展開できるように準備と検討を重ねました。今回の日本専用仕様は黒を基調としたもの、黒と白のコンビネーションの2つが基本となっています。
また質感という部分ではグローバルカローラを通してそれぞれの素材の質感にこだわり、特にファブリックシートの表皮材ではしっかりとした厚みを感じる織物を新規で開発し、シンプルかつ明確な内装を上質に仕上げることに寄与しています。

色で自分にとっての
かっこよさを出す

私にとってカローラは、軽くて小回りが効いて運転しやすいクルマというものでした。今回カラーを担当するにあたっては、私なりの格好良さをわかりやすく具現化し、それをお客様に提案することに力を注ぎました。ベーシックカーとしての基本はしっかり押さえつつ、奇をてらうことなく本質的な良さを追求したうえでの格好良さということです。そういう意味では、とても良いものが出来たのではないかと思っております。

カローラシリーズで
必ず好きな一台が見つかる

カローラに何かを感じていただけたお客様には、カローラというクルマを構成する3つのボデーバリエーション、グレード、色を楽しみながら購入を検討していただければと思います。そこには私が思いを込めた色の選択肢も豊富にありますので、カローラシリーズの中で必ずお好みの一台が見つかると断言できます。そんなクルマ選びの楽しさを実感できるのが新型カローラです。