BEVだからできた、
理想的なSUVのフォルム

エンジンを必要としないBEVは、室内スペースを広く確保することができて、ボンネットも低く抑えることが可能です。さらに、長いホイールベースによって四隅にタイヤを配置できるといったパッケージの特徴を最大限活かすことを心掛けたことにより、私たちがトライしたかった、先進的で室内が広い快適なクルマ、スタンスが良くスポーティな走りを予感させるSUVをつくり上げることができました。
今回大きく印象が変わったフロント周りは、ハンマーヘッドのデザインテーマをより明快に表現しました。また、デザインの工夫による機能面の強化にも取り組み、たとえば空力性能を上げるために、アルミホイールやリヤスポイラー、ドアミラーなどの形状をミリ単位で調整するなど、細部にわたる改善を行ってきました。
新しくなったbZ4Xのデザインをご覧になったお客様に、「このクルマに乗って、どこか遠くまでドライブに行きたい」と、そんな風に感じて貰えたらうれしいです。

個性的なフロントフェイスに、
磨きをかけて

bZ4Xを象徴するデザインの1つであるハンマーヘッド、その存在をより際立たせようと取り組みました。これまでは3つの部材を組み合わせていたのですが、今回それを1つにまとめて大型一体化したことにより見映えがとても良くなっています。さらに、コンビネーションランプの構成や配置を見直してハンマーヘッドを取り囲んだことも存在感の向上につながりました。
ランプのデザインで特にご注目いただきたいのが、フロントフェイスを左右に貫き、両端へと回り込む1本の光のラインです。先進的でカッコいいのですが、車両の先端部分にありますから、万が一ぶつかった場合の衝突安全性ですとか、狭く限られたスペースの中に複雑な部品を収める難しさとか、解決しなければならない課題は多くて、実現は難しいのではと思ったことも正直ありました。それでも、関係する部署のみんなとワンチームで解決策を粘り強く探り、なんとか実現させることができました。さらに進化したbZ4Xのデザインを、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです。

お客様にとって
本当に居心地の良い室内空間に

BEVのインテリアに、「未来感」を求められる声も多いと思います。しかし、まずは、すべてのトヨタ車が最優先に追求してきた「本当に居心地が良いと思える空間の提供」を念頭に、bZ4Xのインテリアを一新すべく、私たちはデザインに取り組んできました。
水平基調の薄型インストルメントパネルは、低く広く見えるように表現し、質感・素材にもこだわりました。ディスプレイとコンソールは、独立したレイアウトに変更し、コンソールには、薄型のトレイ形状を採用することで、足もとスペースにさらにゆとりが広がり、これまで以上に快適性が向上しています。また、メーターまわりは、ドライバーが視線を向けた時に、パッとひと目で情報がわかるようシンプルな形状にしました。
このクルマで過ごす時間が、お客様にとって特別なものになりますように。そんな願いを込めてつくり上げた、bZ4Xの空間の心地良さをぜひ感じていただきたいです。

上質なシートで
リラックスしたひとときを

ご家族や友人と過ごされる大切な時間のために、シートの質感をさらに高めています。また、bZ4Xはトヨタにとって初の本格的なBEVですから、電気自動車としての環境への優しさ、みたいなところも織り込みたいと思いました。
まず合成皮革のシートですが、これまではいわゆる革シボ（素材を成形する際に表面に施した細かな模様のこと）という、ちょっとゴツゴツした動物の革を連想させるシボを使っていました。しかしアニマルフリーという世界的な流れもありますので、動物的ではない凄く細かくて浅いシボに変更したのです。それによって、触感がとてもなめらかになり、柔らかさも増して座り心地がさらに良くなっています。そして新しいファブリックシートには、リサイクルしたペットボトルから生み出した糸を用いることにしました。環境に配慮するだけでなく品質にもこだわり、立体感をしっかりつけることで質感も一段と高めています。
シートのパイピングに使っているウォームグレーの加飾も、上質な雰囲気を求めて新たに開発したものです。インストルメントパネル、ダイヤルシフトにも施してカラーコーディネイトしていますので、ぜひお確かめください。

常識にとらわれずに、
室内に大きなゆとりを

私はbZ4X新登場の時から内装設計に携わり、広々として開放感のある室内空間を実現するためにさまざまなトライをしました。その代表例が、グローブボックスをなくして、助手席の足もとスペースを拡大したことです。骨格やシステムの配置など、それまでのトヨタ車とはガラリと変えながら、BEVという素性の良いクルマにふさわしい快適空間を創り出すことができたと思っています。
そして今回、内装を一新したbZ4Xでも、お客様により大きな開放感を味わっていただけるようにと考えて取り組みました。空間の広がりを感じさせる水平基調のインストルメントパネルを採用したのですが、その厚みをできるだけ薄くするために、驚くほど細いエアコンのレジスター（吹き出し口）を開発したのです。風の通り道であるダクトの形状を最適化したり、風の向きを調整するレジスターフィンに工夫を施していますので、お客様に届く風の総量はこれまでと変わりなく、四季をとおして快適にお過ごしいただけます。

BEVもガソリン車も、
目指すところは同じです

操縦安定性の良さや4WDの走破性など、bZ4Xの走行性能には高い評価をいただいてきました。しかしもっといいクルマをつくるために、私たちは改善の手をゆるめることはありません。
たとえば、後席の乗り心地もその一つでした。どのような路面でも、もっと安定感のあるフラットな乗り心地を味わえるようにしたいと考えたのです。それを実現するには、車両の挙動を根本から見直す必要がありました。私はシャシー設計の担当ですが、サスペンション部品だけで乗り心地を改善することはできません。構造材の接着剤に従来より減衰効果の高いタイプを採用して、ブルブル不快な振動を抑えるなど、チーム全員で想いを一つにして徹底的な見直しを行い、フラットで快適な乗り心地を実現しました。
加速がスムーズ、ボディ剛性が高いなど、BEVにはさまざまなアドバンテージがありますが、決して特別なクルマではありません。BEVもガソリン車も目指すところは同じです。安全安心で乗り心地が良い、それがトヨタ車共通の良さであり、だからこそBEVに乗り替えてもすぐに馴染んでいただけると思います。

圧倒的な加速感、
そしてBEVならではの静粛性

BEVは重たいバッテリーを床下に敷き詰めているため、もともと重心が低く、さらにボディ剛性が高いという強みがあります。変速機が付いていませんから、加速もとてもスムーズです。そんな素性の良いbZ4Xの走りに、今回さらに磨きをかけました。モーター出力をさらにアップし、一段とパワフルかつシームレスな加速によって、ワクワクするような走りの楽しさを実現しています。
しかし、それと同時にBEVの場合、航続距離をどれだけ伸ばせるかというのも重要な課題です。「走りの楽しさ」と「エネルギー効率の良さ」、そんな相反するテーマをどうやって両立させるか、チームのみんなで目標をしっかりと定めて開発に取り組んできました。
そしてもう一つ、エンジンを載せていないBEVは静粛性に優れているのも大きな魅力です。しかもこのクルマは、わずかに発生するモーター音さえも、遮音に工夫を凝らしてできる限り聞こえないようにしています。bZ4Xの圧倒的な加速感、静かな室内、すべての席で実感できる乗り心地の良さなどを、ぜひドライブしながら試していただきたいです。

ロングドライブにゆとりを。
航続距離の延伸を目指して。

BEVに興味はあるけれど、航続距離に不安を感じるという方もいらっしゃいます。お客様に安心して乗っていただくために、もっと航続距離を伸ばしていこうと、今回チーム一丸となって取り組んできました。距離を伸ばすのにいちばん簡単な方法は、搭載するバッテリーの量を増やすことです。しかしそれではクルマが重くなってしまい電費や走りに影響しますし、販売価格も上がってしまいます。
そこで私たちは、バッテリー量の増加は最低限にとどめ、電力エネルギーの損失をできる限り減らすことによって航続距離を伸ばそうと考えました。電流を流す際にムダになっているエネルギーがないか、あらゆる部品を対象にして探し出し、そのムダをなくしていったのです。1つ1つは小さな改善でも、それを積み上げることで大幅な損失低減を実現することができました。さまざまな改善・見直しの結果、新しいbZ4Xは700㎞超^※という開発目標を設定し、安心してロングドライブをお楽しみいただけるクルマを目指してきました。

※開発目標値となるため、実際の数字と異なる場合がございます。

寒冷時を含め、
急速充電の利便性を向上

bZ4Xの充電性能において、今回の最大のトピックスは充電時間の短縮、特に寒い環境下でも急速充電に必要な時間を暖かい時と同様の約30分^※までの短縮を目指したことです。お出かけ先での充電を、さらにスムーズなものにしたい、という想いからでした。実は急速充電器から駆動用電池に入ってくる電流の量というのは、ずっと一定ではありません。最初は最大量でスタートするのですが、徐々に量が絞られていきます。その電流量の制御のしかたを最適化したことで、より多くの電流を取り入れることができるようになったのです。
また、冬場の充電対策も行っています。寒さが厳しい地域ではバッテリーが冷えきってしまい、「充電に時間が掛かってしまう」というお困りの声をいただいていました。そこで、急速充電前にバッテリーを暖めておくことができる「プレコンディショニング機能」を新たに開発しました。この機能により寒冷期の充電時間を短縮することができ、外気温が−10℃の日にも安心して充電ができますので、ぜひお役立ていただきたいです。

※表示されている駆動用電池容量約10％から約80％までのおおよその時間。150kW（350A）の急速充電器の場合。

※開発目標値となるため、実際の数字と異なる場合がございます。

トヨタ純正「普通充電器」を新開発

新生bZ4Xの登場に合わせて、トヨタ初の普通充電器（オリジナル壁掛け充電器）を新開発しました。これまで日本の家庭用充電器は3kW出力充電が主流だったのですが、bZ4Xのように電池容量の大きいBEVが今後増えていくことを考えて、より充電スピードの速い6kW出力の充電にも対応できるようにしました。
6kWならば、一晩（8時間）で約300km程度走行できる電力を充電できますので、頻繁に長距離移動されるお客様も安心していただけます。また、自宅充電をすることで、近距離走行メインであれば、外出先で充電する必要も無くなりますので、より快適なBEVライフをお過ごしいただけます。
また、多種多様な住居やクルマに自然に溶け込むデザインにもこだわりました。日本の駐車場の大きさに配慮して薄型構造（充電コネクタを横差し）としながら、優れた安全機能はもちろん、電気代の負担軽減につながる便利機能なども備えています。どうぞご期待ください。

ストレスなく充電できる環境を目指して

bZ4Xの開発においては当初から、10年間お乗りいただいた後にバッテリー容量90％^※1を維持する、という非常に高い開発目標を掲げて取り組んできました。BEVに対するお客様の懸念の中には、バッテリーの劣化や、それに伴う下取り価格のご心配などもありましたので、そのような不安を払拭し安心してお乗りいただけるように、という想いからでした。例えば、充電のしくみを考える際にも、所要時間をできるだけ短縮してお客様の利便性の向上を図るとともに、なるべくバッテリーに負荷をかけずに充電できるような工夫を施して、バッテリーの保護につとめてきました。
また現在^※2、全国の急速充電/普通充電をあわせた充電スポットはすでに25,000ヵ所を超えていることをご存知でしょうか？スマホのアプリなどを使えば、お出かけ中に最寄りの充電スポットを探すのも簡単です。さらに、トヨタの新充電サービスの準備も進めており、月額固定の基本料金が無料、ご予定に合わせた計画的な充電ができる充電予約機能などを備える予定です。初めてBEVに乗ってみようとお考えの方にも、安心していただける充電環境が整ってきていると思います。

※1 bZ4Xのバッテリー保証期間は10年20万㎞・容量70％。

※2 2025年3月時点。