画像内、左から1番目のクラウン(クロスオーバー)のボディカラーは生産終了しております。

EVENT REPORT

4つのクラウン、新しいスタイルで六本木に登場

2023.10.23

10月7日(土)から8日(日)にかけて、東京港区の六本木ヒルズで開催された「CROWN STYLE PARK」というイベントで、“4つのクラウン、新しいスタイルと出会う”をテーマに、4つのスタイルのクラウンが勢ぞろいした。この機会に、クラウンというクルマが生まれた背景をいま一度振り返るとともに、6日(金)に開催された先行イベントを含めた、会場の模様をお伝えしたい。

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新しい世代の感性とともに進化したクルマづくり

クラウン(クロスオーバー)を街で見る機会が増えてきた。特徴的なスタイルが目を惹くので、ついつい注視してしまう。そこで気づくのは、ドライバーが若いことだ。実際、従来のクラウンに比べて、クラウン(クロスオーバー)は20歳代のオーナーが約2.5倍にもなっているという。

4つのスタイルのクラウンが出揃ったこのタイミングで、クラウンが生まれ変わった背景を確認しておきたい。イベント会場で開発のキーマンから話を聞いた。
まず4つのスタイルのデザインについて、新型クラウンのデザインを統括した宮崎満則は次のように語る。

「4つのモデルとも、僕が全体統括という立場でデザインを見ています。ただし、僕のテイストでは作れない部分もあって、そこは若いメンバーのセンスを取り入れています。たとえば4ドアセダンのクラウンには、僕がいままで手がけてきたテイストとは少し違うものが求められました。そこで、僕も若いデザイナーの感性に影響を受けて、新しい世界観を表現することができたと思います」

この言葉を受けて、チーフエンジニアの清水竜太郎はこう語った。

「まるで異なる4台なのに、共通する雰囲気があるというご意見をいただきました。それは宮崎が全体統括という立場で4台を監修していることが大きいと思います。もうひとつ、ハンマーヘッドというデザインのテーマを、4つのスタイルにうまく融合させていることも統一感が生まれた理由でしょう」

これまでのクラウンは、年配の男性が乗るクルマだというイメージが強かった。けれども新しいクラウンは老若男女、だれが乗っても似合うクルマになっている。
その理由は、デザインにもベテランも若手も様々な感性が関わっているからだろう。カラーデザイナーの宍戸恵子は、クラウンの内装デザインについて次のように語る。

「クラウン(スポーツ)のインテリアは、いままでにないチャレンジをしています。運転席側と助手席側でアシンメトリーなデザインと配色にすることで、乗り込んだ瞬間にドキドキするように工夫しました。クラウン(エステート)に関しては、ボディへの映り込みがきれいになるように、アッシュなどほかのクラウンにないボディカラーを採用しています。クラウンには6色のボディカラーを用意したので、フォーマルやパーソナルユースなど、好みに応じてお選びいただけます」

清水によればクラウン(クロスオーバー)のデザインはアメリカでも好評で、オーナーがスーパーの駐車場で「それどこのクルマか?」と尋ねられたというエピソードが耳に入っているという。「ただし」と、宮崎がこの話題を引き取った。

「グローバルに展開するからといって、欧米で受けるようなデザインにしたつもりはありません。たとえば浮世絵やアニメ、それに1970年代のシティポップにしても、外国で受けるために作ったものではありませんよね。同じように、われわれがいいと思うデザインだからこそ、世界共通で評価されると思っています」

クラウンらしさとはなにか?

では、この4つのクラウンに乗ってみると、どのように感じるのだろうか。たとえば、スタイルは違えど共通したクラウンらしさのようなものがあるのか。
この質問に、清水はこう答える。

「クラウンらしさの定義というものは、特にないんですね。ドアを閉めた瞬間の音とか、座った瞬間にふーっとひと息つけるシートの掛け心地とか、一連の動作で感じる上質さや落ち着きにこだわって16代にわたって開発してきました。こうした積み重ねによって、クラウンらしさのようなものが生まれたのかもしれません。だから若い方が乗ってくださるのはうれしいのですが、いままでのクラウンにお乗りだった方が乗った時に、形は変わったけれどクラウンだね、と言っていただけることも同じようにうれしいです。クラウンらしさの定義づけは難しいのですが、乗り心地と静粛性、角のない乗り味は、クラウンにとって大事だと思っています」

清水によれば、デザインと同様に、パフォーマンスの開発においても若い力が躍動したという。
クラウン(スポーツ)とクラウン(エステート)を担当した本間裕二が、開発の過程を振り返る。

「クラウン(スポーツ)に関しては、感性に響くエモーショナルなクルマにしたいと思いました。ハンドルを切ると俊敏で軽快、それでいながらタイヤの接地感が感じられて、WOW!という高揚感を味わっていただける仕上がりだと自負しています。強調したいのは、硬い足まわりだけがスポーティではないということで、しなやかさと操縦性を兼ね備えています。クラウン(エステート)については、仕事も遊びも全力投球の方が満足できるようなクルマにしたいと思いました。室内長が2メートルを超える空間なので、サーフボードもMTBも積めますし、車中泊にも対応します。様々な使い方が想像できるので、長距離、長時間を快適に移動できるクルマになっています」

クラウンらしさについて、清水はこうまとめた。

「クラウン(スポーツ)について、奥様が購入を決めたという声が耳に入り、開発陣一同、喜んでいます。クラウンらしさを保ちながら、年齢も性別も国境も関係なく、多様化の時代にふさわしいクルマを作りたいと考えているので、広く受け入れてくださるのは励みになります」

グローバルに展開する4つのスタイル

開発のバックグラウンドを紹介したところで、改めて4つのスタイルの開発テーマをご案内したい。

まずクラウン(クロスオーバー)は、セダンとSUVのクロスオーバー。セダンをリフトアップすることで、乗り降りが容易になるとともに、多少の悪路も苦にしない走破性能を得た。パワーと環境性能を両立した新しいハイブリッドシステムもあわせて、快適かつアクティブに行動範囲を広げてくれる1台だ。

クラウン(スポーツ)は、日々の暮らしに驚きと感動をもたらす新しい形のスポーツSUV。ぱんと張り出したリアフェンダーの造形や左右アシンメトリーなインテリアのデザインなどで目を楽しませ、正確なハンドリングと滑らかな乗り心地の両立でドライバーの感性を刺激する。デザインでもドライブフィールでも、日々の暮らしをワクワクしたものに変えてくれる。ハイブリッドのほかにプラグインハイブリッドもラインナップすることもトピックだ。

クラウンは、ショーファーカーとして使われることも想定したオーセンティックな4ドアセダン。ただしハンマーヘッドシャーク(サメの一種)がデザインテーマと、水平基調のモダンな造形、そしてFRらしい伸びやかさによって、新しい時代のフォーマルを表現した。ビジネスでもパーソナルユースでも、快適な乗り心地と静粛性の高さが、移動を上質なものにしてくれる。ハイブリッドのほかにFCEVを用意し、ゼロエミッションにもチャレンジしている。

クラウン(エステート)はワゴンとSUVの融合。都市で映え、自然に溶け込むエクステリアの内側には、最大で2メートルを超える室内空間が存在する。パワートレインはハイブリッドとプラグインハイブリッドの2本立てで、駆動方式は4WD。何を積んでもよし、いつ、どこに行っても安心という、自由に移動する歓びを手に入れることができる。

正式発表はクラウン(セダン)が2023年11月頃、クラウン(エステート)は2023年度内発売予定で、クラウンブランドとして世界約40カ国でグローバルに展開する。
デザイナーの宮崎満則が言うように、海外の市場に媚びるわけでなく、自分たちが考えるいいクルマにこだわったクラウンには、日本のモノづくりのよさがにじみ出ているはず。それがグローバルでどのように評価されるのか、楽しみに待ちたい。

伝統とは、挑戦と革新を続けること

4つのスタイルのクラウンが勢ぞろいするタイミングにあわせて、10月7日(土)から8日(日)の2日間、東京港区の六本木ヒルズで「CROWN STYLE PARK」というイベントが開催された。
これはクラウンを見ていただくだけでなく、4台の世界観やそれぞれのモデルが実現するライフスタイルを表現したものだ。

今回、会場を彩った4つのクラウンのスタイルインスタレーションをプロデュースした、日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO(デザイナート・トーキョー)」の代表を務める青木昭夫氏によれば、「4つのスタイルに合わせた世界観を表現するという仕事は、エキサイティングなものだった」という。
「最初はクルマとライフスタイルをどのように組み合わせると相性がいいのか、悩みました。やはりクルマがヒーローで一番見せたいものなので、それを引き立たせる空間デザインや演出を考え、ライフスタイルと融合させました。途中から、うまくマッチングできるという確信が得られて、手探りながらも楽しむことができました」

青木氏がプロデュースした展示空間は、単なる車両展示とは異なり、ファッションや趣味、住まいに至るまでクラウンの各モデルのキャラクターを知的に表現したものだった。事実、若い世代や女性などが興味深そうに見入っており、多様化を実現したクラウンにふさわしいイベント会場になっていた。

■展示コラボレーションパートナー:DESIGNART TOKYO
■展示協力:A&F COUNTRY / ALLTERRAIN / ALLTERRAIN I / O / artek / BASE CALM / BEAMS / divka / FLOS / HOSOO / Karimoku New Standard / MAGIS / MEGMIURA / Maruni / meanswhile / mona art office / OZEKI / TIME & STYLE / String Furniture / tokyobike / TOMANE / vitra

またイベントの中で、横浜と福岡にクラウン専門店「THE CROWN」がオープンすることが発表され、サプライズとなった。「THE CROWN」では販売店としての役割を果たすだけでなく、オーナー交流イベントやラウンジスペース、特別仕様車やライフスタイルコレクションが企画されるという。つまりクルマを売るだけでなく、クラウンのコミュニティとして機能していくことを目指していく。今後、愛知、東京、千葉にも展開されるという。

クラウンはクルマとしても進化したが、クラウンのあるライフスタイル、オーナーとのコミュニケーションのあり方も大きく変えるのだ。

「CROWN STYLE PARK」の6日の夜には、事前にご応募いただいたお客様、ゲストを招いた“CROWN WARMING PARTY with J-WAVE”を開催。人気DJの田中知之(FPM)氏やKIRINJIによるライブパフォーマンスに会場が沸いた。

さらに、メディアと連携した読者招待イベントも開催。7日の夜にはライフ
スタイル誌『GQ JAPAN』とコラボレートした“GQ STYLE NIGHT with CROWN”
では同誌と共同制作した映像アート作品を披露。8日の夜はビジネス誌『Forbes』主催のカルチャープレナーアワードと連携した「Forbes JAPAN CULTUREPRENEUR’S NIGHT with CROWN」では、日本から世界で活躍する文化起業家によるトークイベントを開催。
イベント期間中に開催された4つのクラウンにふさわしいバラエティに富んだプログラム企画を通して、多様な人たちが会場に集い、新しいクラウンに触れた。

期間中で延べ6000名以上を集め、なかでも初日となった7日朝には、開場前に100名以上の行列ができるほどの盛況だった。クラウンというブランドに対する関心の高さを肌で感じる2日間となった。