EVENT REPORT

Life with CROWNs.
「あなたの人生に、あたらしいクラウンを。」
多様なライフスタイルに寄り添う、4つのクラウンに触れる。

2025.03.31

2025年3月13日(木)に、クラウン(エステート)が発売された。4つのスタイルのクラウンが揃ったこのタイミングで、東京・麻布台ヒルズアリーナにて『Life with CROWNs.』と銘打ったイベントを3月13日(木)から3月16日(日)まで開催された。その模様を報告する。

クラウンとは何か? 新しい時代のクラウンを考えた

『Life with CROWNs.』のテーマは、「あなたの人生に、あたらしいクラウンを。」というもの。4つのスタイルを用意することで、クラウンがさまざまなライフスタイルに寄り添うことと、多彩な価値観に合わせて豊かな時間を提供することを表現する催しだ。

4台のクラウンを見ていただく「EXHIBITION」、実際に試乗していただく「EXPERIENCE」、そして多くの方に集まっていただく「SPECIAL EVENT」という3つの柱でイベントを構成した。

ここでは、「SPECIAL EVENT」のなかで初日に開催された「SPECIAL OPENING SHOW」の模様からお伝えしたい。

4スタイルのクラウンが並べられたステージに登壇したのは、クラウンチーフエンジニアの清水竜太郎、クラウンチーフデザイナーの宮﨑満則、クラウン製品企画主査の本間裕二、クラウンカラーデザイナーの宍戸恵子。会場には抽選で選ばれた50名の方のほかに、多くの報道陣が駆けつけた。

4人はまず、すでに発表されている3つのクラウンを振り返った。

2022年に先頭を切って発表したクラウン(クロスオーバー)について、清水はこう語る。

「1955年に初代クラウンが登場して、今年で70年になります。長く続けるうちに、クラウンにはFRのセダンというイメージが定着していました。16代目はそういう固定観念を取り払って、新しい時代のクラウンを考えようということからスタートしました。多様化する価値観やライフスタイルに寄り添うことを念頭に生まれたのがセダンとSUVを融合するというアイデアで、ここからクラウン(クロスオーバー)が誕生しました」

セダンをリフトアップした個性的なクラウン(クロスオーバー)のデザインが生まれた背景について、宮﨑はこう述べた。

「かつてのビジネスマンは、スーツとネクタイで職場に向かいました。けれども最近はジーンズとスニーカーで仕事をする人もいるなど、時代は変化しています。もうひとつ、デザインのチームに若くて多様性のあるメンバーに入ってもらい、“セダンとは何か?”を考えました。そのときに、乗り降りがしやすくて見晴らしもいいリフトアップしたセダンは世の中に存在しないよね、という話になったんです」

本間はクラウン(クロスオーバー)を「16代目クラウンのど真ん中の象徴モデル」と語る

王道の4ドアセダンであるクラウンについて、「開発の最初期には計画にありませんでした」と清水は振り返った。

「豊田(章男)会長からセダンも作ってみないか、というアドバイスをいただきました。確かに、70年の歴史を支えたのはセダンです。ただしこれまでのクラウンは、伝統を継承しつつ革新に挑んできたわけで、このクラウンについてもスタイリッシュであると同時にビジネスシーンでも活躍する、“ニューフォーマル”という新しい価値観を打ち出しました。クラウンのこだわりは伸びやかで堂々としたたたずまいと、ショーファーニーズを満たすくつろぎの空間です」

新生クラウンシリーズの多様性は、4つのスタイルを揃えていることだけでなく、パワートレインにも表れている。たとえばクラウンのパワートレインには、FCEVの設定がある。このことについて、清水はこう説明した。

「カーボンニュートラルを実現するために、トヨタはマルチパスウェイという考え方で挑んでいますが、クラウンも同じです。クラウンのFCEVは、走行中にC02を排出しないどころか空気を清浄する“マイナス・エミッション”のクルマで、しかも水素タンクを積むためにボディ剛性を引き上げているのでハンドリングもいい。クラウンがFCEVを採用することは、水素社会を本気で牽引するというメッセージを、個人や官公庁に伝えることにもつながるはずです」

クラウン(スポーツ)について、本間は「見ても乗っても走っても“ワォ!”と言ってもらえるクルマを目指しました」と語る。

「いままでのクラウンは男性のイメージが強いクルマでしたが、クラウン(スポーツ)は女性が颯爽と走り出すシーンもイメージしました。パフォーマンスとしては、『硬いだけがスポーツではない』、ということを表現できたと思います。年齢も性別も関係なく、毎日をエネルギッシュに生きている方に刺激を与えるクルマになれると嬉しく思います」

カラーデザインを担当した宍戸は、クラウン(スポーツ)のカラーについて次のように解説した。

「乗り込んだ瞬間にワクワクするようなインテリアにしたいと思いました。これが、運転席と助手席をアシンメトリーな配色にするというアイデアにつながります。ボディカラーもアッシュやマスタードなど、クラウン(スポーツ)ならではの個性的なものを用意しています」

クラウンが幅広いお客様の選択肢に入っていることがうれしい

新たに発売ラインナップに加わったクラウン(エステート)について、本間は「コンセプトは“大人のアクティブキャビン”でした」と明かしたうえで、最後にこう続けた。

「仕事も遊びも一所懸命なユーザーの方をイメージしながら、上質、洗練、余裕の3つをキーワードに開発しました。すべての16代目クラウンに通じるのが“全席特等席”というコンセプトですが、クラウン(エステート)ではその考えを荷室にまで広げています。後席を倒すと全長2メートルの完全フルフラットな空間が出現しますが、お客様には様々な使い方を想像いただきながら、大切なものを置いたり、旅先でのくつろぎ空間として活用いただいたりするなど、アクティブライフを思い切り楽しんでいただけると嬉しいです。」

宮﨑は、デザインのなかでも「特にフロントグリルに注目してください」と呼びかけた。

「こうして4台を並べるとよくわかりますが、クラウン(エステート)のグリルが最もカジュアルにお感じになると思います。このスタイルらしい洒落っ気を表現したつもりです」

宍戸は、クラウン(エステート)のRSグレード専用色として採用した「グレイッシュブルー」という内装色に言及した。ちなみにこのインテリアカラーは、クラウンシリーズで唯一このモデルだけに採用されるものだ。

「このクルマの使用シーンを想像すると、サーフィンやトレッキングなど、ワクワクする場所で感じる早朝の凛とした澄んだ空気や、ひんやりとした緊張感のある空気感が思い浮かび、この色のイメージが湧きました。アクティブで洗練された配色になっていると思います」

最後に開発責任者の清水が、16代目クラウンの発表からここまでの手応えを語った。

「驚いたのは、輸入車からの乗り換えが従来の約2倍に増えたことです。20代から40代のオーナーの方が2倍ほどに増え、平均年齢が約10歳も若返っています。クラウンが幅広いお客様の選択肢に入っていることを、開発者としてうれしく思います」

続いて、クラウン専門店「THE CROWN」で限定販売されるクラウン(エステート)の「THE LIMITED-MATTE METAL」もお披露目され、参加したみなさんの注目を集めた。

会場には車両だけでなく、衣食住の新しいライフスタイルを提案する日本のブランドとのコラボレーションによる展示も行われた。

「衣」は、最高品質の素材で仕立てたモダンなデイリーウェアを発表する「POSELEGANT」。「食」は新しいお茶の楽しみを創造する「櫻井焙茶研究所」。「住」は新しい盆栽の世界観を創出する「TOUFU TOKYO」。それぞれのブランドのブースにも多くの人が集まった。

また会場の4台のクラウンの背景には、様々な年代、職業の人たちとクラウンのポートレートが展示され、多様化するライフスタイルに合わせて自分のクラウンを選択できることを印象付けた。

海外のクルマ好きの友人からも、クラウンは好評です

「SPECIAL OPENING SHOW」に続いて、前出のトヨタの2名に2人のスペシャルゲストを加えた「SPECIAL TALK SHOW」が行われた。ゲストは、ラジオパーソナリティやモータースポーツの実況中継で活躍するサッシャさんと、バレーボール女子日本代表でキャプテンを務めた古賀紗理那さん。サッシャさんは、クラウン(エステート)以外の3モデルに試乗した経験があり、古賀さんはクラウン(スポーツ)を購入、まもなく納車される予定だという。

まず3つのスタイルのクラウンの印象について、サッシャさんにうかがう。

「新しいクラウンは海外のクルマ好きの友人からも好評で、彼らは“sexy”という言葉で表現しますね。乗り比べてみると、クラウン(スポーツ)は理想のコーナリングのラインが見えてくるようなクルマでした。クラウンは乗り心地が最高で、道路の継ぎ目や段差がわからないくらい。クラウン(クロスオーバー)は、この2台の“いいとこ取り”をしている感じで、とてもバランスがいいと感じました。」

この発言に対して清水は、「おっしゃるように、クラウン(クロスオーバー)が4台の中心に位置していることは間違いありません」と大きくうなずいた。

続いて、古賀さんにクラウン(スポーツ)の購入に至った経緯をうかがう。

「主人(註:バレーボール男子日本代表の西田有志選手)が大のクルマ好きで、世界中のクルマからいくつかの候補に絞ったんですね。ある時、知り合いのクラウン(スポーツ)に乗せてもらったら安全装置が素晴らしくて、“紗理那を乗せるならコレだ!”と決めたと言っていました。クルマを見たら大胆なデザインが本当に格好よくて、夫婦で満場一致でした。アッシュとブラックのバイカラーというボディカラーは、私が気に入って決めたものです。実際にハンドルを握ってみるとすごく運転がしやすくて、二匹の愛犬とドッグランに行ったら楽しいな、と夢が広がっています」

この発言に対してデザイン担当の宮﨑は、笑顔でこう語った。

「クラウン(スポーツ)のデザインは、生産するのが難しい形でした。でも現場のみんなが、初期モデルを見てこのカッコいいクルマを絶対に作ろうと、実現に向けて試行錯誤したんです」

クラウンというモデルのDNAは、「革新と挑戦」。おふたりにとっての「革新と挑戦」はなにかという質問には、非常に興味深い答が返ってきた。まずサッシャさん。

「何度か受験して落ちているんですが、気象予報士の資格に挑戦しています。というのも、モータースポーツにとって、天候は勝敗を分けるとても重要な要素のひとつなので、レース実況としてある程度で満足するのではなく、よりよい解説ができるようにしたいと思っています。またラジオの朝番組では、ナビゲーターとして詳しい天気の情報を伝えることで、生活に欠かせないラジオにしたいのです。いま自分にとって気象予報士にチャレンジすることが、大事だと思っています」

古賀さんは、パリ五輪で日本代表のキャプテンを任されたときのチャレンジが印象に残っているという。

「キャプテンを任されたときに、チームには年上の選手もいれば若い選手もいました。世代によって感覚が異なるので、年上の選手の意見をしっかり聞くことと、若い選手が話しやすい環境を整えることが私にとっての挑戦でした。みんなが意見を言うことでさまざまなアイデアが生まれて、私個人としても成長できたと思っています」

古賀さんの発言について宮﨑は、「クラウンのデザインも、ベテランの意見も聞きながら若い人に伸び伸びとやってもらうことで現代の多様な価値観にフィットしたので、似ていますね」と納得の表情を見せた。

こうして異なるジャンルで活躍するおふたりをお招きすることで、「SPECIAL TALK SHOW」の内容は、実に多様性に富んだものになった。

この日だけでなく、『Life with CROWNs.』のイベントは、実にバラエティ豊かなものだった。

15日(土)はメンズコンテンポラリーファッションのリーディングプラットフォームである『HYPEBEAST』とともに一夜限りのスペシャルライブを開催。アーティストのDaichi Yamamoto氏と多彩なDJクルーが織りなす音楽が、参加者たちを魅了した。

16日(日)は「GQ JAPAN」「VOGUE JAPAN」のエディターと俳優の木戸大聖氏が“クルマと生きる多様なライフスタイル”に迫るスペシャルトークショーが開催された。実際に記事で4つのクラウンに触れて感じた16代目クラウンの進化と魅力について木戸氏からの視点を通して語られた。

木戸氏からは4つのクラウンそれぞれの乗り味や個性だけではなく、運転している方だけではなく同乗している方をも想った、全席を特等席として快適な室内空間の開発に込められた“利他の精神”に感銘を受けたことを語られた。

4日間で、延べ2800名以上の方が会場に足を運んでこのイベントに参加してくださった。今回のイベントを通じて、老若男女、都会派からアウトドア派まで、ドライバーからパッセンジャーまで、あらゆる方にクラウンの魅力を伝えることができたのではないだろうか。

関連記事

THE CROWN ページに戻る