STYLES

富士五湖周辺をクラウン(クロスオーバー)で駆け抜けた

2023.09.01

日本らしさが進化したカタチ、クラウン(クロスオーバー)にイラストレーターの遠山晃司が試乗

好きなクルマを見つけたら、何をしたくなるだろうか。たとえば、遠出のドライブにいく、いい景色を見に行く、自然のなかに入っていく、クルマの写真を撮ったり絵を描いたりする……。

そんなふうに、クリエーターを刺激するクルマってなんだろう?

イラストレーターとして大活躍中の遠山晃司さんがクラウン(クロスオーバー)に乗ったとき、まずやったのは、上記のことすべて。

富士五湖のひとつである河口湖に別荘をもつ遠山さんは、都心のオフィスからクラウンを走らせ、そこでひとときのクラウンのある生活を堪能することをめざした。

クラウンが遠山さんの興味をかきたてたのは、まずデザインだという。

「世にいうファストバックスタイルの輪郭がまず眼をひきますね、大胆です」

朝日が当たる富士山を背景に、クラウンのスケッチをする遠山晃司さん

最低地上高が少しリフトアップされていてややSUV的テイストを感じさせるデザインに「冒険心を刺激されますね」と遠山さん

遠山晃司さんは「Parsons School of Design, NY」を卒業し、ニューヨーク市で活躍していたが、2010年に拠点を東京へ移し、広告や雑誌を中心に、イラストレーションや写真、グラフィックデザインなど、様々な手法を用いた作品を世に送り出している

新しい時代のクラウンってなんだろう、と開発陣が考えぬいた形状は、クルマ好きの遠山さんを惹きつけたという。

「面の作り方もすごいですよね。クラウンならではの質感っていうんですか。走っているときにボディ面に移る光がどんどん変化しているのがじつに美しい」

クルマは走っているときが、もっとも美しい、というのが、ラリーやレースを子どものときから愛してきた遠山さんの持論。

「それでいて、たとえば一般道でこのクラウンが走っていて、信号待ちで僕の眼の前に止まったとするじゃないですか。そのときの面質っていうんですか、ボディ面のカーブとかが、ほんとうに絶妙で、これはすごいと思うんです」

リアウィンドウが寝かされたファストバックスタイルは欧米でとくに好まれるデザイン

CROSSOVER G“Advanced・Leather Package” システム最高出力172kW(234PS)※1とパワフルで、「E-Four」搭載、かつ22.4km/L(WLTC)※2の低燃費
※1 エンジンとモーターにより、動力性能として発揮できる出力。社内算定値。
※2 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて燃料消費率は異なります。

すぐ思い浮かぶのが、日本のクラフトマンシップ。研ぎ澄ました感覚で手がけられた漆器や磁器、あるいは刃物にまで共通するような、一見シンプルだけれど、内側からの力感すら強く感じさせる造型美に通じるものがある、という。

「クラウンに乗って、友人のところに遊びにいったら、日本で培われたセンスを今の時代に活かした造型感覚、かなり自慢できそうですよ。海外のひとにも”どうだい”って自慢してみたい」

即座にあたらしいクラウンの魅力を発見する遠山さん。なにしろクルマが大好き。イタリアや日本のクラシックカーラリー(けっこう苛酷)にいくつも参加経験をもつ遠山さん

「クルマって運転のチャンスがあれば、すぐにとびついちゃいます。とくにスタイルが好きだと、いっそうどんな走りかなって興味が出ます」

そう言うだけあって、遠山さんは「かねてから興味ありました」というクラウンのハンドルを握って意気揚々だ。

首都高から中央高速、そして富士五湖有料道路と、通い慣れた道は、適度なアップ&ダウンと、カーブもあって、力強いのか、カーブを曲がるのは得意か、などクルマの素性がうかがい知れる。

力強い2.5リッターエンジンと組み合わされたハイブリッドシステム搭載の「G」に、「筋肉質な造型から期待していた、いや、それ以上の走りのよさを感じます」と、遠山さんは寸評。

トヨタ車の大きな美点である乗り心地のよさで、 クラウンも、どんな道でも快適なドライブが楽しめる

リヤにはマルチリンクサスペンション搭載だし、後輪操舵機構(ダイナミックリアステアリング=DRS)をそなえている。ひととクルマの一体感が追求されているのだ。

言葉だけでなく、走らせているときの笑顔でもって、このクルマ好きな遠山さんが、どれだけクラウンを気に入ったか、よくわかるようだった。

現地に到着した遠山さんがやったのは、スケッチ。富士山とクラウンがともにきれいに見える好きなスポットにクルマを置き、富士山と湖(このときは精進湖)とクラウンの位置を調整したのち、スケッチにとりかかった。

トランクは独立式なので、室内の静粛性などは通常のセダン並みに高い

「富士山はモチーフとして大好きです」と言う遠山さん。ニューヨークシティの学校で美術を専攻していたときから、富士山をときどき題材に扱ってきたという。

「富士山って、眺めた経験があるひとならわかってもらえると思うんですが、最大の魅力は、刻一刻と表情が変わるところなんですよ。微妙な色合いが、一瞬ごとに変化していくんです」

それを観ていると、自分なりに表現したくなるのだそう。

今回も、クラウンと富士山を主題にしたスケッチにとりかかった遠山さん。バッグから取り出したのは、絵筆でなくて、iPad Pro。

「以前は、食わず嫌いで、デジタルのものにことごとく否定的だったんですが、友人の勧めで使ってみて、すごくいいなあと、評価を180度変えました」

遠山さんは、カメラもデジタルに切り替えるのが遅かったんですよと、照れ笑い。どちらも従来とはちがう表現ができるので、適宜使っているのだそう。

「僕がクルマの絵を描くようになったのは、子どものときからクルマが大好きだったからです。生まれ変わったらクルマになりたいって言っていたほどで(笑)。クルマを表現するとき、イラストだと、自分とクルマとの世界を具現化できるんです」

クラウンのボディデザインの特徴は、キャラクターラインをできるだけ廃して、面のカーブで質感を出すところにある。

大径タイヤと、リアエンドに向かってきれいな弧で続くルーフラインによるプロポーションも考え抜かれている。

「日本らしい品格や様式美を大切にし、SUVでもセダンでもなく、それぞれの良いところを高い次元で融合したのがクラウンなんですよね。富士山は自然の造型、クラウンは人工の造型。まったく成り立ちが異なりますが、ひとつの景色のなかでうまく合ってますよねえ」

遠山さんは感心したように言う。クルマのデザイナーの才能っていうのは、すごい、とつけ加える。

「クラウンをじっくり眺めていると(絵を描くときの)インスピレーションが湧きます」

河口湖の森のなかにあえて溶け込むように低く建てたという遠山さんの別荘とともに、自然のなかにあっても違和感を感じさせないクラウンのデザイン

遠山さんは、スケッチを終えたあと、河口湖へと走り、週末に訪れることが多いという、家族の別荘にクルマを停め、「いつもどおりに」(遠山さん)焚き火をすることにした。

「東京から河口湖へ来ると、かならずやるのが焚き火です」

遠山さんは、焚き火台を出し、そこにナタとナイフで適当な大きさに切り分けた焚きつけ材を入れ着火。そのあと、薪をくべていく。

「火を見ていると、ほんと、心が落ち着くんですよ。自然のなかで、薪が燃える匂いを嗅いで、パチパチとはぜる音を聞いていると、いっしょに来た家族もみな、いいよねーとしみじみします」

焚き火用の木を丁寧に用意するあいだも、とても気が休まります、と遠山さんは言う

クラウンは家族で乗ってもいいですよね、と遠山さん。

同乗者も”ここが自分のための席だ”と思えるよう、”全席特等席”にする空間体験を提供することをめざした、とされるだけあって、スペースも広いし、シートの出来もよい。空調の効きはおだやかで効果的。走行中のノイズは低い。

かつ、音楽の再生能力が高いので、移動中が快適。かつ、運転支援装備の数かずで、むだに気を張らないでドライブが出来るのも高得点だ。

遠山さんとクラウンを見ていると、クルマのある生活っていいものだなあと改めて感じられる。

クラウンは初代が1955年にデビューして以来、絶えず”進化”してきた。その真価がこのモデルに凝縮されている。

日本だから生まれたともいえる、伝統的な美意識を、現代のクルマにうまく取りこんだ、質感の高いデザインとともに、クラウンはいま”味わう”べきクルマなのだ。

遠山さんがクラウンに乗った思い出をイラストにしてくれた

Produced by HYPEMAKER
Photograph by Tatsuro Kimura
Text by Fumio Ogawa

この記事のクラウン
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