Philosophy of HARRIER Philosophy of HARRIER
※掲載している内容は2020年6月時点のものです。
開発チームは何を想い
4代目ハリアーを創造したのか。
開発チームが目指したのは、
SUVというカテゴリーすら超えた
抗いがたい魅力を湛えた存在。
それは孤高の存在であり続けるために
「ハリアー」を突き詰めるという挑戦でもある。
DESIGN -EXTRIOR / INTERIOR-
シンプルな構成で
ダイナミズムを生むマジック
4代目となるハリアー像を描く上でデザインチームを大いに悩ませたのが、ハリアーらしさを進化させるための造形アイデアだった。「いかにもSUVといった筋骨隆々とした見せ方ではなく、知性や品格を感じさせたい」「装飾やキャラクターラインに頼らない、研ぎ澄まされたものにしたい」といった方向性は見えても、具体的なアイデアに落とし込む作業は難航した。試行錯誤の末、一人のデザイナーが着目したのが「断面変化」だ。おおらかな立体の断面が大胆に変化していき、やがて鋭利な折れ面になるという斬新なモチーフ。そのアイデアが突破口となり、プロジェクトは一気に加速したのだ。
空間を満たす
おおらかな逞しさ
ハリアーにおいて、インテリアは外観と同じくらい重要だ。SUVにラグジュアリーセダンの高い質感を採り入れるという概念を世界に示した初代から、歴代ハリアーは常に上質な室内空間で多くのファンを魅了してきた。
この高い期待を超えるために、どんな新しいインテリアができるか?デザインチームが導き出した答えが「おおらかな逞しさ」というテーマだ。
歴代ハリアーの持つ縦基調のセンタークラスターを起点にしながら、インストルメントパネルやコンソールに、より骨太で立体的な造形を与え包まれ感や頼りがいのある逞しい骨格を生み出した。
乗馬の「鞍」の厚い革が持つ、おおらかな曲面をイメージしたセンターコンソールも、上品さと逞しさの象徴としてデザインされたものだ。
艶やかなサイドビューは、映り込む景色をダイナミックに変化させていく。
ヘッドランプやリヤコンビネーションランプは極限まで薄くシャープなデザインを与えられ、無駄な装飾に頼らない造形美へと昇華した。
丹念なダブルステッチ、パイピングオーナメントなど、上品さとクラフトマンシップを感じさせるディテール。
素材感、手触り、色調まで、すべてをさり気ない大人のセンスでコーディネイトした室内は心地よい安心感と非日常感を併せ持つ。
Developer's philosophy
生産技術の限界に挑んだ造形
極めてチャレンジングな造形ゆえに製品化する上での課題も多く、設計部門・生産部門の協力は欠かせませんでした。例えばスポーツカーにも負けない豊かな張り出しを持ったリヤフェンダーや、シャープなラインは、限界ギリギリまで何度も鉄板のプレス成形の試行錯誤を重ねた結果です。ランプ類もミリ単位で薄くし、上質な光り方ができるまで改良を重ねました。ハリアーの進化への挑戦や細かなこだわりを、このエクステリアデザインから感じていただけたら幸いです。
「発見する楽しさ」もある室内
障子のように柔らかな光を室内に導く調光パノラマルーフ、前後方録画機能付デジタルインナーミラーといった先進装備も悪目立ちすることなく、周りとの調和に心血を注ぎ、日本車らしいおもてなしの表現を追求しました。フロントドアスピーカーやカップホルダーの底面と言った普段目を引かない細部にまで注意を払い、ボーダー柄のグラフィックでさり気ない統一感を図るなど小さなところについても、ふとした瞬間に発見があるような楽しさを忍ばせています。
トヨタ自動車株式会社
デザイン部 プロジェクトチーフデザイナー
渡辺 義人
「ブレイド」「iQ」等のデザイン開発、北米赴任を経て、「プリウス」を担当。さらにドイツに赴任し「GRスープラ」のデザイン開発を推進。4代目「ハリアー」ではプロジェクトチーフデザイナーとして企画から製品化までのデザインを統括。 ※所属および内容は2020年6月時点のものです。
CRUISING
ぶれない軸が、
走りを進化させる
トヨタにおける数多くのテストドライバーの中で最高峰を意味する“トップガン”の異名を持つのが、「凄腕技能養成部」に所属する評価ドライバーである。
4代目ハリアーの重厚かつしなやかな乗り味は、トップガンによる一切の妥協を許さない評価、それを受けた念入りなチューニングの賜物だ。中でもトップガンが「絶対に譲れないポイント」としてこだわったのは、路面の起伏や横風などによる外乱が入っても常にまっすぐ、どっしり走れること。
この決してぶれない基軸の上に、走り出しから感じる上品さ、ステアリングの正確さ、しなやかな乗り心地など、感性領域の質感をつくり込んだのが、ハリアーの進化した走りである。
Developer's philosophy
データだけでは見えない「質感」へのこだわり
4代目ハリアーで特にこだわったのは「質感」という部分です。音や振動も含めた色んな要素が「がさつ」でないことはもちろんですが、何も感じないような「無機質」とも違います。こだわったのは、走り出しから4つのタイヤが接地して、それが前に転がり始めて動いていく感覚がドライバーに伝わってくること。高速道路であれば、ハンドルをまっすぐに保持しているだけで、操っている感覚やタイヤとのつながりが伝わってくること。いずれも数値や波形などのデータだけでは見えてこない領域ですが、今回はわざと「直結感」などの感覚的な言葉を使って、評価部門とエンジニア部門でひとつひとつかみ砕きながら共有していきました。こうして実現したハリアーの走りは、今までやりたかったことの集大成です。GA-Kプラットフォームを使用し、「いい素材」を使って、その良さを100%引き出すことができたと思います。
トヨタ自動車株式会社
凄腕技能養成部FDチームG
片山 智之
トヨタ車全般において運動性能の全てに関わる部分の監査(評価)を担当。さまざまな車種の開発において、監査という枠を超えてプラットフォームやコンポーネンツ全般に対しての提案も積極的に行っている。 ※所属および内容は2020年6月時点のものです。
チーフエンジニアが語るNew HARRIER
SUVという
カテゴリーを超えた、
ただ一つの存在
トヨタ自動車株式会社
ミッドサイズビークルカンパニー
MS製品企画ZDチーフエンジニア
佐伯 禎一
シャシー設計部、製品企画部、北米の研究開発部門等を経て、7代目「カムリ」、3代目「RAV4」「ヴァンガード」の製品企画を担当。「RAV4」「ハイランダー」「ハリアー」のチーフエンジニアを務める。 ※所属および内容は2020年6月時点のものです。
4代目ハリアーの開発では、SUVにまつわる道具としての機能性、スペースの広さといった従来からの物差しで測るような便利さだけではなく、お客様の琴線に触れる感性価値を重視し、その価値を追い求めてきました。数値で表す性能や分かりやすい装備などとは別の「直感で感じる何か」「言い表せない部分」をどう表現し、どう開発メンバーと共有するかは大変難しいテーマでした。
昨今のカーライクSUVのトレンドの先、さらにその先にハリアーをどう位置付けるべきか。お客様のニーズがモノからコトへ変化している今、さらに「コトの先」を考える必要があると思いました。「コトの先」とは、コトも含めた「時間」や「人」そのものではないかと考えています。「モノ」であるハリアーを手にして、それをきっかけに新しい価値観に触れ、様々なことを感じ取る「コト」へとつながっていく。その体験から、さらに自分自身がこうなりたいから少し頑張ってみよう、踏み出してみようという気持ちが生まれ、その先にあるライフスタイルを想い描く。そのように「人」や「時間」に思いを馳せるような、人生の感度を刺激するクルマになったと自負しています。
私たちは心に響くクルマを目指して一つ一つに想いを込め、「デザインも室内空間も走りも」新しい価値を練り込んで、研ぎ澄ましました。4代目ハリアーは、SUVというカテゴリーを超えたただ一つの存在です。お客様の人生がハリアーを通して豊かになり、一人でも多くの方にトヨタファンになっていただければと思います。
Simple Beautyへのこだわり
内に秘めた芯の強さや寛容さを表現したエクステリアデザインは、逞しく、エレガントです。具体的な特徴としては「流麗なクーペフォルム」「艶やかなサーフェスとランプなどのシャープな機能部品」「絞り込まれた凝縮キャビンと張り出したリヤフェンダーの対比によるスポーツカーのようなフォルム」この3点があげられます。中でも「流麗なクーペフォルム」という要素は、SUVとは思えない、まさに都会に似合う、一目見てかっこいいと感じていただけるスタイリングを生み出しています。
スタイリッシュでありながら逞しい、エモーショナルな佇まい。一目見てハリアーと分かる、切れ味鋭い、薄くシャープなグラフィックのランプや艶やかな面質。存在感の中に品を感じ、かつ堂々と見えるスタイル。デザインに限ったことではありませんが、例えば料理で言うと、素材をそのまま活かしながらどう調理するか、雑味をなくし、深みをもたせるよう「Simple Beauty」にこだわったのが今回のハリアーです。
ハリアーからはじまる新しい価値観
インテリアは豪華絢爛さの追求ではなく、上質な中にもSUVらしいエッセンスを取り入れて、クルマが主張するのではなく、どんなシーンでもお客様の心の余裕を際立たせ、落ち着く空間を目指しました。この空間に一役買うのが調光パノラマルーフです。トヨタ初採用となる、この「調光パノラマルーフ」は、調光ガラス技術に秀でたメーカーと共同開発したもので、障子のように柔らかな光を室内に届けます。
また、乗る方はもちろん周囲の方も不幸にさせたくないという思いの下に開発した前後方録画機能付デジタルインナーミラーは、周囲だけでなく運転されるお客様自身の行動を律するものにもなるはずです。
これらの機能装備に共通することですが、お客様ニーズにすぐさま応える、私たちの思いを即座に形にするという「スピード感」優先で開発してまいりました。ハリアーというクルマづくりを通じて、調光ガラスの共創など日本のモノづくりに光を当てたり、前後方録画機能付デジタルインナーミラーで社会的役割の一端を担うという私たちの思いや新しい価値観を、ぜひ皆様にも感じていただきたいのです。
進化した走りがかなえる、豊かな「時間」
走りについては、落ち着く心地よい空間を走行中も邪魔しない「静かさ」と「心地よさ」にこだわりました。目指した乗り味は“雅(みやび)”です。雅には上品・優雅・都会風という意味があります。クルマに乗り込んだ時の静けさ、動き出しの一転がり目の挙動、静かで心地よいクルージング。これらのシーンで雅を感じて頂けるよう、技術開発の匠と言われるクルマを熟知したメンバーたちとともに、同じGA-Kプラットフォームを持つRAV4の開発を経て味付けをしてきました。4代目ハリアーでは、意のままのハンドリングと操縦安定性がさらに熟成されています。熟成されて深みを増したワインのように、乗り味の進化を体感していただけると思います。
また、室内の静かさについても、パートナーやご友人とのごく自然な会話が明瞭に聞こえることを第一に考えました。何デシベルといった数字や防音材はそのための道具に過ぎず、最終的にどんな空間になったかが大切なのです。それこそが室内の時間を有意義にし、人生を豊かにしてくれるからです。移動しながら心地よさに包まれ、自分と向き合ったり、同乗者との会話を快適に楽しめる、豊かな「時間」をぜひ味わってください。