#02

観光地×動く電源

地域活性において重要なテーマである観光産業。
動く電源によって、観光地に新しい光を。

MOVEMENT

地元の資源に光をあて、
V字回復を見せる熱海

全国の観光地から「V字回復」のお手本として注目を集めている、熱海。その本質は、もともと地域にある地元資源を活かした、熱海ならではの町づくりにあるという。取り組みの目玉となったのは、空き家をリノベーションしたゲストハウスや、地元の作家や農家に光をあてたマーケットなど、旧来の“温泉街”のイメージとは異なる施策の数々。外からの需要を呼び込むのではなく、まず「中から」元気になる。すると、人の元気が、町の活気になっていく。気が付けば、東京の若者も熱海の魅力に気づき始め、シャッター通りと化していた商店街には、新しい賑わいが生まれている。

そんな熱海で、次なる一手、
アートを活かした
取り組みが始まった

SOLUTION

電気が動くと、
観光地の魅力に、さらなる光が灯る

クルマのバッテリーから電気を
取り出す「給電」で、
アートの可能性を広げ、さらなる
観光地の活性化を支援

熱海の魅力をアートにより再発見する「ATAMI ART GRANT」で、
さらなる魅力と話題を醸成することを目的に、2名のアーティストと共に「給電」を活用した新しいアート表現に挑戦。

・電気が動くことで、今までにない場所でのアート展示を実現 ・クルマから電気を取り出すことで、動きや光などアートの可能性を拡大

ATAMI ART GRANT 2022 概要
  • 実施期間
    2022年11月3日(木)〜11月27日(日)
  • 会場
    熱海の協力施設や公共スペース
© ATAMI ART GRANT 2022, Artwork by Masahide Matsuda,《The Big Flat Now》, photo by Naoki Takehisa
© ATAMI ART GRANT 2022, Artwork by Hashel Al Lamki,《Lucy》, photo by Naoki Takehisa
© ATAMI ART GRANT 2022, Artwork by Takehito Koganezawa,《ニュー ア/New A》and Masahide Matsuda
© ATAMI ART GRANT 2022, photo by Yujiro Ichioka
© ATAMI ART GRANT 2022, photo by Yujiro Ichioka
© ATAMI ART GRANT 2022, photo by Yujiro Ichioka
© ATAMI ART GRANT 2022, photo by Yujiro Ichioka
© ATAMI ART GRANT 2022, photo by Yujiro Ichioka
共創アーティスト
  • やんツー

    1984年、神奈川県生まれ。美術家。セグウェイが作品鑑賞する空間や、機械学習システムを用いたドローイングマシンなど、今日的なテクノロジーを導入した既成の動的製品、あるいは既存の情報システムに介入し、それらを転用/誤用する形で組み合わせ作品を構築する。菅野創との共同作品が文化庁メディア芸術祭アート部門にて第15回で新人賞(2012)、同じく第21回で優秀賞(2018)を受賞。2013年、新進芸術家海外研修制度でバルセロナとベルリンに滞在。近年の主な展覧会に、「遠い誰か、ことのありか」(SCARTS、札幌、2021)、「DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京、2018)など。

    「Dreaming Car」

    トヨタの燃料電池自動車『MIRAI』が水素を基にした自身の発電エネルギーによって、制御用 PC やプロジェクタ等の機器や、車内に設置された装置、元々クルマに装備された座席を駆動させる小型インスタレーション。 クリーンな未来を夢見るクルマは、この先の希望も絶望も、悲喜こもごも様々な想いを抱えて、駐車場で眠り、夢を見続ける。無意識(=本能的)に未来へ突き進もうとする人類の進歩主義観の是非について。

  • MES

    MES(メス)は、谷川果菜絵(KANAE)と新井健(TAKERU)によるアーティストデュオ。
    2015年に結成、東京を拠点に美術制作とパーティー演出の両輪で活動している。
    レーザーを建物へ放つ<LASER WRI/LIGH-TING>シリーズなど、現代美術とクラブカルチャーの境界から社会を観測し、レーザーやサーモグラフィー、既存の環境を用いて演劇的・彫刻的アプローチのインスタレーションを制作。近年の主な作品発表の場に「惑星ザムザ」「TOKIWAファンタジア 2021」「Reborn Art Ferstival 2021夏」個展に「DISTANCE OF RESISTANCE/抵抗の距離」がある。

    「ア ミ/A-MI」

    新作「ア ミ/A-MI」は、熱海/湯浴み/AMITY/ARMY/網…をキーワードとして、熱海の自然の中に作られた庭(小屋)に設置される映像インスタレーションです。 熱海は江戸時代から現在に至るまで長らく湯治場、保養地として栄えてきました。本作では傷ついた人を癒し てきた温泉街の歴史を背景に、MESが継続的に使用してきたレーザー、サーモグラフィーなど、主に軍事技術などで発展してきたものを平和利用していく=デュアルユースを通して、和平への思索を浮かび上がらせていきます。

来場者の声
  • 20代女性

    給電車をアートにするというのが、時代の先を行っている感じがしてユニークだと思いました。

  • 30代男性

    普段いかない熱海のいろいろな場所をめぐれて、新しい発見がありました。

  • 40代男性

    町の魅力を、町の外のアーティストや企業がより魅力的に盛り上げていて、地域活性の新しい可能性を感じました。

実施結果

熱海をアートで盛り上げることを目的としたこのイベントに、昨年開催の3倍となる、のべ15万人が来場。
期間中、観光地としての熱海の活性化に貢献した。また、各種メディアにも取り上げていただき、観光地熱海の再発見にもつながった。

期間中来場者数

掲載メディア

主な掲載
<地元メディア>熱海新聞、静岡新聞 <ART・デザイン系メディア>美術手帖、ARToVILLA <一般メディア>AERA STYLE MAGAZINE、ELLE Online、Casa BRUTUS <英字メディア>The Japan News、Tokyo Weekender

主催者コメント
PROJECT ATAMI 総合ディレクター 伊藤 悠さん

「ATAMI ART GRANT」は2021年にはじめて開催し、延べ5万人ほどのお客様におこしいただいたのですが、東京から近いこともあり日帰りの方も多く、2022年度は、熱海内での滞在時間を増やしたい、そして、熱海の主要産業である観光業・宿泊業のみなさまに貢献したいという思いがあり、給電車による日没後も楽しめる新しいアート作品の共創をさせていただくことになりました。屋外で電気をつかった作品はハードルが高いのですが、給電車の力によって新しい表現が実現できたと思います。

熱海活性化NPOコメント
株式会社machimori代表取締役 市来 広一郎さん

観光地であるこの熱海も、単に経済的な再生を考えるだけでなく、いかにサステナブルな観光地になっていくか、ということにも向き合っていく必要があります。町の持続可能性を考える上でエネルギーのことは切ってもきれないこと。しかし、エネルギーは目に見えないもので感じにくいものでもあります。
こうした目に見えないものについて感じ、考えるきっかけに出会えるのがこのクルマの給電を活用した作品です。熱海という場を新たな視点から見つめるこれらのアートにより、この観光地にも新たな気づきがもたらされる、そんなことを感じました。

給電車を活用した地域活性化
アイディアをおよせください。
今後の取り組み検討の参考に
させていただきます。