VELLFIRE

Outdoor/Stay

鶴岡市立 加茂水族館

癒しの空間に潜む、胸を熱くする物語。
閉鎖の危機から“世界一”へと上り詰めた、ある水族館の軌跡。

癒しの空間に潜む、胸を熱くする物語。閉鎖の危機から“世界一”へと上り詰めた、ある水族館の軌跡。

水の中を浮遊する半透明の生物。私がクラゲと聞いてすぐに思い浮かぶのは、その程度の知識だ。だがそのクラゲを探究し続け、ついに世界一にまでなったという水族館がある。クラゲ水族館として知られる加茂水族館だ。かつては来館者減少で倒産が危ぶまれていたという水族館の逆転の物語。その成功の影に繰り返されたであろう熱き挑戦の日々が、ヴェルファイアブランドに貫かれる“道なき道を行く車”の精神に重なる。私はまるで導かれるように、山形へと車を向けた。

山形県鶴岡市。
この人口11万人ほどの東北地方の小さな都市に、世界一の水族館がある。クラゲの展示種類数世界一として知られる『鶴岡市立 加茂水族館』だ。現在は約80種ものクラゲを常設展示しているという。

80種という数字の凄さが実感できなかった。考えてみれば私は、クラゲの種類も、生態も、ほとんど何も知らないのだ。その“世界一”がどれほどの偉業なのか。とにかく訪れて見てみようと思った。

さらに調べたところによるとこの水族館は、来館者数の減少で閉館寸前まで廃れたところから、クラゲの力で業績もV字回復したという。その物語は、ブランド消滅の危機からモデルチェンジにより見事復権を果たしたヴェルファイアと符合する。探究し続ける熱意、諦めない心、仕事への誇り。『加茂水族館』を訪れてみたら、そんな熱い思いに触れられるだろうか。私は淡い期待を胸に、ハンドルを握る。

鶴岡市は国内屈指の米どころである庄内平野の南部に位置する。一面を田園に囲まれる眺めが、その雄大さを伝える。鳥海山を遠望しつつ走り抜ける平野の道は、爽快そのものだ。車はやがて海沿いの道に入る。岩に砕ける荒波と海から吹き付ける強風のなか、ヴェルファイアの力強い走りが頼もしい。
平野と海。まったく異なるドライブを十分に堪能した頃、道の先に水族館が見えてきた。

※2023年時点

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到着した『加茂水族館』は、世界一という言葉から連想していたよりも小さな施設だった。しかし平日にも関わらず、駐車場には多くの車が停まっている。決してアクセスが良いとはいえないこの場所に、これほど多くの人を惹きつけるのは、やはり他に代えがたい魅力があるのだろう。

さっそく館内を歩いてみる。入り口近くにあるのは近海の魚を展示する水槽だった。壁には手書きの説明書きが貼られている。
観光地の大規模な水族館と比べればアットホームな印象だが、どこか館内に満ちるエネルギーを感じる。大勢の見学者が醸す活気のためか、説明書きに込められる熱量のためか、それともこの先にあるクラゲゾーンへの期待のためか。私はそのエネルギーに押されるように歩みを進める。

「クラネタリウム」と題されたクラゲ展示エリアへと入った。そこは照明を落とした水槽の中にさまざまなクラゲが浮遊する幻想的な空間だった。
タコのように見えるもの、機敏に動くもの、ブラックライトの中で輝くもの。一言でクラゲといっても、その姿はさまざまだった。それぞれの水槽に、詳細な説明が添えられている。そのどれにも、じっくり読み込みたくなる不思議な情報が詰まっている。世界初、世界唯一といった言葉が、あちこちに見られた。ラボのような一角では、生まれたばかりのクラゲの様子を、顕微鏡でリアルタイムに観察できた。「クラゲドリームシアター」という大水槽には、1万匹のミズクラゲが泳いでいた。その美しい姿は、いつまでも見飽きることがなかった。

水の中、重力に反するようにゆったりと浮遊するクラゲは、ただ見ているだけでも心癒される。一方でそこに添えられる文章にはアカデミックな情報が記載され、好奇心が満たされる。穏やかな癒しのスポットであり、研究施設でもある。その二面性にすっかり引きこまれた。

館内は逆走することはできないが、何度も周回できるようになっていた。私は二周してから館内のレストランでクラゲ定食を味わい、さらにもう一周歩いてみた。歩くたびに、まるで初見のような新鮮な感動があった。

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フロントに戻ると、日に数回開催されているというバックヤードツアーのタイミングだった。申し込んでみると、案内に立ってくれたのは、館長の奥泉和也さんだった。見慣れぬ水族館の裏側を歩きながら、私は興味の赴くままに奥泉さんに問いかける。クラゲのこと、山形の海のこと、クラゲ展示をはじめたきっかけ、そしてクラゲの研究に打ち込みやがて世界一にまで到達したという成功譚。他の参加者がいなかったこともあり、質問は奥泉さん自身のことにも及んだ。

聞けば、幼い頃からの釣り好きが高じて『加茂水族館』に就職したという奥泉さん。アシカショーのスタッフとしての採用だったが当時は職員が4名しかおらず「駐車場の案内からレストランの皿洗いまでなんでもやった」という。

そんな折、年々減少する来場者への梃入れとして奥泉さんが手がけた特別展の水槽に、偶然小さなクラゲが混じり混んでいた。掬い取ってプラケースに入れて飼育し、大きくなったものを展示してみると、お客さんが大いに喜んでくれた。これが世界一のクラゲ水族館への第一歩だった。

しかしその先は簡単な道ではなかった。クラゲの展示を増やそうと海から獲ってきても、水槽の中でクラゲはすぐに弱ってしまう。奥泉さんはクラゲを体系的に学んできたわけではない。だから取れる方法はひとつ。失敗、調整、再試行の繰り返しだ。

「ポンプに吸われてしまう。ならば吸われないようにしよう。配管にぶつかってしまう。ならばぶつからないようにしよう。そうやっていろいろ突き詰めていって、やがてオリジナルの水槽ができあがりました」

奥泉さんは自ら苦心して作り上げたこのクラゲ用水槽の特許を取らず、世界中に公開した。飼育について問われれば、なんでも教えた。やがて世界との情報交換も盛んになり、クラゲの研究は大きく進んだ。いわばクラゲ業界の発展の立役者だ。そんな研究に没頭するうちに、『加茂水族館』のクラゲ飼育展示数は、アメリカの大型施設『モントレーベイ水族館』を抜いて世界一になっていた。偶然の出合いからの挑戦と失敗、そして成功の歴史。それはときに“奇跡”と呼ばれるほどの偉業だった。
それでも奥泉さんは、今も日々クラゲと向き合い、地道な研究を続ける。

「これまでの経験があるからもう失敗がないかというと、そんなことはありません。なぜなら挑戦するのは、今までに誰もできなかったことですから。未開の分野に挑戦し続けると、むしろ難易度は上がっていくのかもしれません」

そう話しながらも奥泉さんの顔は楽しそうだった。
研究を続けるモチベーションについて尋ねると「面白いから」という真っ直ぐな答えが返ってきた。その言葉に、奥泉さんの人物像が集約されているように思えた。

奥泉さんに別れを告げ、水族館を後にする。
ヴェルファイアのハンドルを握りながら、ただ水の流れに身を任せるようなクラゲと、エネルギーに満ちた奥泉さんの姿を思い出す。前例のないことに挑み続け、世界一にまで到達したクラゲ水族館。未開の地を切り開きながら、じりじりと前進する姿勢が、夕暮れの庄内平野を力強く駆けるヴェルファイアと重なった。

「何年も考え続けたことをやるよりも、今朝起きて思ったことを今日実行する方がずっと良い」

奥泉さんのそんな言葉は、今を生き、明日に悩む多くの人たちに響く格言のように思えた。

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Feature

  • 5:5分割2ポジションスペースアップシート<sup>※1</sup><sup>※2</sup>[世界初<sup>※3</sup>]

    5:5分割2ポジションスペースアップシート※1※2[世界初※3

    シート跳ね上げ位置を2カ所に。
    最大荷室幅を確保できるこれまでのニュートラルポジションだけでなく、リヤモースト(最後方)位置でもサードシートの跳ね上げを可能にしています。これにより、セカンドシートを一番後ろまで下げてリクライニングした状態でも、荷室スペースの拡大が可能です。

    ※1. 写真はExecutive Lounge。
    ※2. サードシート格納時は、中央席のヘッドレストを外して操作してください。詳しくは取扱説明書をご覧ください。
    ※3. 2023年6月現在、トヨタ自動車調べ。

  • アクセサリーコンセント(AC100V・1500W / 非常時給電システム付 / センターコンソール後部1個・ラゲージルーム右側1個)<sup>※4※5</sup>

    アクセサリーコンセント(AC100V・1500W / 非常時給電システム付 / センターコンソール後部1個・ラゲージルーム右側1個)※4※5

    停電などの非常時に電気製品が使える。
    コンセント(AC100V・1500W)をセンターコンソールボックス後部とラゲージルーム右側に設置。非常時給電システムを使用することで、災害などによる非常時に電力が必要な時、車両の走行機能を停止した状態で、AC100Vで消費電力の合計が1500W以下の電気製品を使用できます。

    ※4.ハイブリッド車に標準装備。
    ※5. 利用に関する注意事項は「ヴェルファイア機能・性能ページ」をご確認ください。
    https://toyota.jp/vellfire/ft/usability/#usabilityFeature05