3 REASONS TO GO WITH MIRAI REASON 01

なぜ“水素”なのか

開発責任者が明かす
未来へのミッション

トヨタはMIRAIを、どう進化させたのか。なぜ水素にこだわるのか。何を見据えているのか。
初代MIRAI、そして2代目MIRAIの開発責任者である田中義和チーフエンジニアに、開発に込めた想いを聞いた。

MIRAI開発責任者

田中 義和

MIRAI開発責任者

田中 義和

2代目へと進化したMIRAI

初代とは本当に雰囲気が変わりましたね。2代目MIRAIの役割は何でしょう?

まだ多くの方にとって、水素はあまり馴染みがないと思います。でも、このMIRAIが普及していけば、水素がもっと身近なものになっていく。そのためにも、1台のクルマとして魅力的であってこそ、水素エネルギーの普及を大きく前進させる力になると考えました。水素は国のエネルギー政策上でもすごく重要なものです。ところが馴染みがないだけに、なかなか皆さんの声も上がってこない。そういう観点からも、このクルマが果たすべき役割は大きいと思っています。今回のMIRAIは単なるモデルチェンジを超えてフルスイングで開発したクルマです。何よりも、格好いいなとか、すごいなとか、あんなクルマに乗ってみたいとか、このクルマをFCEV(燃料電池自動車)の魅力や可能性を示すシンボルにしなければならないと思いました。

だからこそ、ここまで格好いいクルマをつくったんですね。

初代MIRAIでは、燃料電池車ということを前面に出していました。でも今回は、燃料電池車だから選ぼうというよりも、格好いい、走りが楽しいと感じて選んだクルマが、結果的に燃料電池車だった、そんなクルマを目指しました。もちろん環境に詳しい方、水素の重要性を理解してくださっている方もいます。でも、普及ということを考えると、そういう方に応援していただくだけでなく、やっぱり一般のお客様に本当に理屈抜きで欲しいと思っていただけるクルマにしなければいけない。その想いからつくったのが、今回のMIRAIなんです。

本気で普及を目指すという意味では、生産体制なども変えたのですか?

初代MIRAIは熟練による手作業で年3,000台が限界でした。累計販売台数も世界で1万1,000台に過ぎませんでした。でも今回の2代目MIRAIは、生産能力で言えば10倍にあたる年3万台まで対応できるようにしました。だからこそ、今回が実質的なFCEVプロジェクトのスタートとも言えるんです。

なぜ今、FCEVなのか

最近は世界中のメーカーがBEVを投入し始めています。そうした中、なぜ今、FCEVなのですか?

FCEVは、とにかく使い勝手がいいというのが一番の理由です。水素を充填するために必要な時間は約3分です。航続距離もかなり長い。そういう意味において、普通のガソリン車と同じような使い方ができるという点が一番大きいです。BEVのいいところは家庭でも手軽に充電できること。水素ステーションのような専用インフラが必要ない点は、BEVの強みです。ただ、充電の時間がどうしても長い。また、バッテリーの搭載量によって航続距離が決まってしまうということを考えると、長距離を使うクルマにはあまり向かないと思います。

でも、最近は海外メーカーも含めてどんどんBEVが進化していて、航続距離も年々延びているように感じます。BEVに期待している人も多いのでは?

BEVはとても良いクルマだと思います。でも、どうしても充電時間は必要です。いくらバッテリーが進化しても、充電という行為は変わらないんですよ。急速充電を使えば短時間で充電できますが、走行距離が必要な場合はそれでも1時間ほどかかりますし、急速充電は無理やり入り口を広げているようなものなので、電池が劣化します。また、日本で普及している急速充電規格“CHAdeMO”では、1時間あたり5万Wほどの電力を使います。CHAdeMOの充電ポートが10個あれば、それだけで50万Wです。それも1時間で大量の電気を使いますから、電力ピークという観点では偏りが起こってしまいます。ですから急速充電というのは、どうしても長距離を走らなきゃいけないときとか、急いで充電しなきゃいけないときに限って使う、いわばセーフティーネットとして扱った方がいい。

BEV、FCEV、それぞれに最適な使い方があるということでしょうか?

基本的にBEVは、普段は夜の間に充電し、日中に100kmから200kmを走り、そこで充電切れになってしまった場合に限って急速充電を使うのが、電池にもやさしい。一方で長距離を走るクルマやサイズの大きなクルマについては、チャージ時間が短くてゼロエミッションで走れるFCEVの方が向いていると僕は考えています。

水素社会の扉を開くために

先ほどの電力の話にも関係しますが、世界が脱炭素に向かう中、ますます再生可能エネルギーが注目されていますね。

火力発電を止めて再生可能エネルギーに、という話もありますよね。ただ、太陽光とか風力というのは自然のものなので、どうしても時間変動だとか季節変動があります。たとえば九州にはとても大きな太陽光ファームがありますが、仮に太陽光で10万kWhを出せるとしても、天気が悪ければ一気に発電量が落ちて安定供給ができなくなります。そうすると太陽光発電をいかに増やしても、火力発電を止めることができません。でも、太陽光や風力で作った電気で水を電気分解して水素という形に変えれば、エネルギーを運んだり、貯めておけるようになります。たとえばカナダの水力発電で余剰となった電気を、はるばると日本に輸出することはできませんが、電気分解して水素にすれば可能になります。つまり太陽光や風力などの再生可能エネルギーをより広げていく上でも、水素は重要なキーになります。

なるほど。MIRAIは、そうした将来の水素社会も見据えて生まれたということですね。

資源を持たない日本にとって、水素はすごく必要なものです。日本の未来とか、子供たちの未来に絶対必要なものだと信じています。水素は様々な問題を解決できる、ひとつの答えなんですね。水素は世の中のためになるんだけど、なかなかやる人がいないんですよ。でも、将来必ず必要になると考えるからこそ、水素が使えるクルマだからこそ、トヨタはFCEVに取り組んできました。あえてリスクテイクしてでも、将来のためにやらなきゃいけないと決めた。誰かがやるのを待つんじゃなくて、世の中のために必要なものだったら、自分たちでやろうよと。ちょっと話が大きくなってしまいますが、かつて豊田喜一郎さんがクルマづくりを始めたとき、“クルマづくりで世の中を豊かにしたい”という想いがありました。トヨタが水素に取り組むのは、それに負けないぐらいの決意だと僕は思います。

3 REASONS TO GO WITH MIRAI REASON 02 3 REASONS TO GO WITH MIRAI REASON 02

なぜ先進機能にこだわるか

MIRAIを味わう先進の
ドライビングサポート

クルマと過ごす日々の移動体験を進化させる「アドバンスト ドライブ」「アドバンスト パーク」。
MIRAIには、新たな移動の自由と喜びを提供する先進のテクノロジーも織り込まれた。

つねに最新の運転支援へ進化

Toyota Teammate

トヨタ チームメイトは、人とクルマが気持ちを通わせながらお互いを高め合い、クルマと人が仲間のように共に走るという考え方「Mobility Teammate Concept」に基づき開発された高度運転支援です。MIRAI はアドバンスト ドライブとアドバンスト パークを設定。移動の自由と喜びを、すべてのドライバーに提供します。

高性能化・小型軽量化とともに、
航続距離も伸びた新FCシステム。

Toyota
Fuel Cell System

MIRAIのパワートレーンとなる、トヨタフューエルセルシステム(TFCS*1)。動力源であるFC スタックをはじめ、システムを一新することで高出力・低燃費化を両立するとともに、高圧水素タンクの容量をアップするなど、航続距離を大幅に向上させました。

*1. TFCS:Toyota Fuel Cell System.

一充填走行距離(参考値)

1回当たり3分*2

G

850km*3

Z“Advanced Drive”
Z

810km*3

(JEVS法から計算した水素搭載量[kg]と、WLTCモード走行パターンによる燃料消費率[km/kg]とを乗算した距離)

燃料消費率(国土交通省審査値)

燃料電池車(km/kg)

G

152km/kg

Z“Advanced Drive”
Z

146km/kg

*2. 水素充填圧および外気温により、充填時間は異なります。
*3. 水素ステーションの充填能力によっては、高圧水素タンク内に充填される水素搭載量が異なり、お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて燃料消費率は異なるため、実際の距離も異なります。

●燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて燃料消費率は異なります。
●WLTC モードは、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードです。市街地モードは、信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定し、郊外モードは、信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定、高速道路モードは、高速道路等での走行を想定しています。

水素充填の方法について

  • MIRAIの水素充填方法を説明する動画です。専属のスタッフによる充填作業が短時間で完了する様子をご覧いただけます。
    ※ 本映像は21年8月時点の情報です。現在販売されている車両とは一部異なる場合がございます。

3 REASONS TO GO WITH MIRAI REASON 03

なぜそこまで魅力的か

モータージャーナリストによる
MIRAIインプレッション

いち早くMIRAIを体験したモータージャーナリストたちが感じた驚き。
そこにはFCEV(燃料電池自動車)であることを超えた、クルマの本質的な魅力がある。

MIRAI開発責任者 田中義和とモータージャーナリスト 島下泰久が語る、MIRAIの魅力。
走行フィール・乗り味・デザインのインプレッションはもちろん、水素社会への展望についてお話しします。

※ 本映像は20年12月時点の情報です。
※ 車両は発売車両とは異なる場合がございます。