深野食道

Vol.2
市販で買えない幻のきのこが食べたくて……

トヨタRAV4で八ヶ岳の麓へ!
きのこ好き垂涎のソウルフードを求めて。

(2024年12月16日に公開した雑誌Beginの記事を転載しています)

※特別な許可を取って撮影を行なっております

好きなものを求め、大自然の中をクルマで旅する「Overland」企画。山谷を越えた“深野”にある珍味が、この旅のお目当てだ。さぁRAV4に乗って、好きにまみれた大冒険を味わおう!

【TOYOTA RAV4】

1994年に登場した初代は、「街でも乗りやすいSUV」として一世を風靡。現行型の5代目よりSUVの原点に回帰し、「好きにまみれろ!」のキャッチフレーズとともにラフでタフな本格派として登場。世界販売台数も上位にランクインする。写真は長野トヨタ限定特別仕様車 RAV4 Adventure “OFFROAD Package+”(販売店での取扱いは終了) ベース車両は特別仕様車 Adventure “OFFROAD Package Ⅱ”(ハイブリッド車 E-Four) 4,503,000円※

※特別仕様価格には特別装備、架装オプション(タイヤ、ホイール、マッドフラップ、ブレーキキャリパー・リヤサス塗装、ルーフラック、クロスバー、ロッキングブラケット等)は含まれません

深野の旅人

[CHEF]Restaurant SAI 燊 シェフ 豊島雅也さん

「ブレストンコート ユカワタン」や「星のや富士」でスーシェフ、シェフを務めた後、独立。食猟師として、料理だけでなく狩猟や養蜂、農業、山菜採りも自ら行う。

[GUIDE]野食ハンター 茸本 朗さん

さまざまな動植物を捕らえて食する人気YouTuber。豊富な知識を生かし、今回も食材調達をナビゲート。近著に『野草・山菜・きのこ図鑑』(日本文芸社)。

狙うのはマニア垂涎の ハナイグチ

オフロードもものともしないタフなSUV「RAV4」に乗って山の奥地を駆け巡り、その土地で採れた食材をその場で味わう。そんなクレイジーな旅企画「深野食道」第2弾の舞台は、長野県茅野市。

大自然広がる 八ヶ岳の麓へ

訪れた標高約1000mの八ヶ岳の山麓で、狙うのは天然のきのこだ。第1弾と同じく、現地でナビゲートしてくれるのはユーチューバーの茸本さん。

大のきのこ好きで、高校生の頃から山に通い続け、今年はきのこにまつわる書籍も出している。豊島さんもまたシェフでありながら自ら山に入り、獲った食材で料理を振る舞うため、きのこの知識は豊富だ。

きのこのなかでも、今回のメインターゲットに据えたのは「ハナイグチ」。夏から秋にかけて山間部や高原地帯に生息するきのこで、北海道や東北地方、長野などでよく見られる。

地元の人の話によると愛好家は言うまでもなく、きのこに興味のない人でもハナイグチと聞けば嬉々として食べるほど人気だそう。

夏〜秋にかけて見られる菌根性きのこ。赤茶色の傘にはヌメリがあり、裏は黄色くスポンジ状になっている。独特の風味と柔らかい食感が特長で、長野では「ジコボウ」の名で親しまれる。

茸本さんもこう続ける。「味はきのこの風味が強くてワイルド。ヌメリがあり、なめこを土っぽくした感じでめちゃくちゃ美味しいです。ハナイグチ自体は珍しくないけれど、如何せんスーパーなど市場にはなかなか出回らない。食べたくても現地の道の駅でたまたま出合うか、自分で山に入って探すしかないので、そういう意味では幻のきのこですよね」。

野を越え川を越え森の中へ

ではその幻のハナイグチ、自らと〜る! とすればどのように探せばいいのだろうか。

「ハナイグチはカラマツ林に自生するので、カラマツから探しましょう」。まず基礎知識として、木の種類によってその周辺に生えるきのこはまったく異なることを覚えておこう。

ツリー状に高くのび、晩秋になると線状の葉が黄色く色づくカラマツ林を見つけたら、つぎに下草が生えていない足場がスッキリした場所を探す。

「そもそもクマザサなどが生い茂る歩きにくい場所は風通しが悪いため、きのこは生えにくい。水苔が生えるような程よい湿気を帯びていて、かつ落ち葉もたくさん落ちているような場所なら、ハナイグチが見つかる確率が高いです」

水苔の生えた湿り気のある地面がgood

いっぽう、気候条件としては最低気温15℃以下が目安で、暑すぎても寒すぎても生えない。そのためハナイグチ狩りへ行くときは、毎年変わる季節の移り変わりと標高をすり合わせながらいつ、どの辺りに生えそうか“読む”ことが重要だとか。

2024年は異常な猛暑で夏が長引き、例年より3週間ほど遅れてきたハナイグチのベストシーズン。さて、狙うポイントがだいぶ絞り込めたので、さっそく狩りをスタートしよう!

【ハナイグチを見つける3つの条件】

  • ・気温15℃以下
  • ・カラマツの近く
  • ・下草が生えていない

※特別な許可を取って撮影を行なっております

必殺ワニポーズで発見率UP!

先ほど挙げた3つの条件はヒントにはなるけれど、たくさんの落ち葉で埋もれた地面のなかから、小さなきのこを探すのはカンタンじゃない。上から見下ろすだけじゃ見えてこないし、気づかずに踏み潰してしまうこともある。

そこで茸本さん直伝の必殺技、四つん這い改め“ワニポーズ”になって、目線をきのこと同じ高さまで下げてみる。

目線を低くすると見つけやすい

すると、ひょっこり地面から顔を出すハナイグチとご対面! 褐色の傘がゼリーのようにヌメり、きれいな光沢を放っている。ちなみに傘が開いているものと、傘が開いていない幼菌とがあるが、幼菌の方がヌメリが強く、好まれるそうだ。

見つけた!

さらに森を深く入っていくと、ハタケシメジやシモフリシメジ、妖しげな色をしたムラサキシメジ(茸本さんの大好物!)など、10種類以上のきのこと遭遇する結果に。

他にもいろんなきのこが!

【ムラサキシメジ】仏では「ピエ・ブルー(青い足)」と呼ばれる高級きのこ。少し土臭さも感じるが、油を使った料理に合う。
【ノボリリュウ】天に昇る龍に見えることに由来。クセのないあっさりした味だが、生食は中毒(※)になるため、加熱処理は必須。(※のどの痛みや嘔吐などを引き起こすヒドラジン中毒となる可能性があるため、生食は厳禁です。)
【ハタケシメジ】株に集まって群生するため、見つけると大収穫の可能性も。風味がよく、しっかりした肉感を楽しめる。
【シモフリシメジ】カラフルな落ち葉のなかによく生える。クセがなく上品な味わいで、信州では松茸より旨い!? と人気とか。

予想外の大収穫に喜ぶ茸本さんに、きのこ狩りの醍醐味を聞いてみた。「頭を使う大人の宝探しですよね。闇雲に探しても見つけられない。きのこの生態を理解したうえで、季節の移ろいを敏感に感じ取りながらひたすら情報戦……。こうして自分の読みがばちっとあたったときは、最高に嬉しいですね!」

さて、ここからは豊島さんの出番。自身がそうであるように、自ら獲った命を料理して頂くのが食の本来の姿と考える豊島さんは、「食べちゃいけないきのこ以外は、とにかく入れて食べてみたい。どんな味になるかわからないけど、それも冒険でしょ」とからっと話す。

Let's cooking!

豊島さん/ジュゲムのシェルパーカー4万1800円、フリースジャケット2万8600円、インナー2万2000円(以上、ヘムトPR) その他はスタイリスト私物。茸本さん/ジュゲムのプルオーバーフリース3万3000円、インナー2万2000円(以上、ヘムトPR) その他はスタイリスト私物。

石づきや裏のひだに詰まった汚れをしっかり水で落としたら、ダッチオーブンを用意。中華の雲南きのこ鍋のような、きのこ盛り盛りスープを作るという。「きのこは種類によって旨味成分が異なるんです。10種類もかけ合わせれば、相乗効果は抜群ですよ」。

その旨味成分を引き出すトリガーとなるのは、脂。「今回は熊肉の脂を入れてワイルドさを出しますが、豚肉や鶏肉でも代用可能。香ばしさが出る長ネギや滋味にあふれるゴボウも、きのことの相性は最高です」。

最後にクロモジを入れ、木の香りをスープに染み込ませれば、山のテロワールが詰まった雲南きのこスープの出来上がりだ。

森で拾ったクロモジの爽やかな香りをプラス

蓋を開けると広がる森の香りに酔いしれながら、いざ実食! すると、一口すすった茸本さんの顔が一気に綻んでいく。「出汁の味がとにかくすごい! ジビエのベースがありながら、上から何層も旨みが重なっている感じ。ハナイグチのコリコリした食感と甘みも最高で、野趣を生かしたプロの技はすぐにでも真似したいです」

雲南きのこスープの作り方

食材(4人前)

  1. ❶天然きのこ
  2. ❷長ネギ1/2本(1cmサイズにカット)
  3. ❸ゴボウ20cm(1cmサイズにカット)
  4. ❹ニンニク1片(みじん切りに)
  5. ❺熊肉50g(1cmの棒状にカット)
  6. ❻ブイヨン500cc
  7. ❼ごま油適量
  • [1]ごま油でニンニクを黄金色になるまで炒め、長ネギ・ゴボウ・熊肉の順に入れて炒める

  • [2]1にブイヨンを入れ、ひと煮立ちしたら弱火で5分煮込む。ゴボウに火が通ればOK

  • [3]きのこの汚れをしっかり落とし、傘と柄は一緒になるように一口大に裂く

  • [4]2にきのこを入れ蓋をし、極弱火できのこに火が通ったら食べごろ♪

気分が上がる“旅道具”も

こうしてクレイジーにまみれた2人のように、RAV4に乗って好きなものに突き進めばきっと最高にオモシロイ出合いが待っているはず。

そんな旅をさらに盛り上げるのが、深野食道オリジナルグッズ。FACE氏とジェリー鵜飼氏、2人の人気イラストレーターのグラフィックを描いたユニバーサルオーバーオールの難燃エプロン、キャンプシーンに便利なトランクカーゴ、アウトドアライクにデコれるカーステッカーは絶賛販売中!

さぁ、RAV4と気分が上がる旅道具とともに、好きにまみれながら深野を駆け巡ろう。

ポップなロゴが映える人気イラストレータとのコラボ
ご購入は
こちら