ロボットが滞在する国際宇宙ステーションの中もごくわずかな重力しかありません。数字にすると10のマイナス6乗~4乗くらいの重力、地球上の100万分の1から1万分の1という値。つまり、わずかな力で動いたり、何かを動かしたりできるということです。
ロボットはおしゃべりをする時に、身振り手振りを交えてコミュニケーションをとります。無重力の状態で、その動作はどうなってしまうのか? 「無重力試験」は、それを確かめるために行われました。もしロボットの動きがこの環境に対応できていないと、自分自身の動作の反動により、その場でくるくる回ってしまう可能性がありました。試験は小型のジェット飛行機内で。上空を急上昇させ、10のマイナス2乗(地上の100分の1)の無重力の状態を1回あたり約20秒間つくり出して行われました。
なぜ、地球上で無重力の状態がつくれるのか?実はみなさん、無重力を経験したことがあるんです。ほんの一瞬だけですけど、エレベーターの中で。エレベーターが下降する瞬間に、フワッとカラダが浮き上がりますよね? そうアレです。あの感覚が無重力状態。ちなみに、今回の試験では1度の飛行で10回の無重力状態をつくりだしました。映像を見るとちょっと楽しそうに見えますが、人によっては激しい乗り物酔いをするほどの過酷な試験でした。
試験は…、無事成功!ゆっくりした動きから激しい動きまで、空中にふわふわ浮いた状態や宇宙ステーションに打ち上げる固定用の棒に取りつけた状態でテストしましたが、ロボットは地上と変わらない自然な動きを見せてくれました。
コミュニケーションにおいて音声以外の要素(身振りや手振り、表情など)もとても重要で、これによって、より親しみやすいやりとりが可能になるのです。この試験によって、ロボットが宇宙空間で、立派にコミュニケーション活動を取れることが確認できました。