東邦大学
医学部微生物・感染症学講座
教授 舘田 一博
2019年末、中国武漢市で原因不明の肺炎が報告され、2020年早々、その原因が新型コロナウイルスであることが明らかとなりました。
その後、この感染症が世界中に広がり、これまでに2億人をこえる感染者が報告されています(2021年8月末時点)。
当初、新型病原体ということもあり感染症の特徴や感染対策に関して手探りの中での対応を余儀なくされておりましたが、その後のクラスター対策班などの努力により密集・密閉・密接、いわゆる3密が重要なリスク因子であることが明らかになりました。
また、本感染症は咳・くしゃみによる飛沫感染、手指を介した接触感染に加え、会話・発声による唾液の飛散によるマイクロ飛沫感染で広がることも明らかとなっています。
このような背景のもと、政府の新型コロナ感染症対策専門家会議が中心となり、本感染症の広がりを抑えるための“新しい生活様式”が提案されています。
その基本は、①3密を避ける、②濃厚接触・マスクなしでの会話に注意、③手指衛生の徹底、になります。
さらに最近では、感染性が高まったデルタ株への置き換わりが進行する中で、上記①〜③に加えて換気、距離、時間にもいっそう注意することが求められるようになっています。
それぞれの生活の場、それぞれの環境で、新型コロナウイルス感染症を予防するためのガイドラインの設定が求められ、感染対策に対して国を挙げての活動が進行中です。
このたび、トヨタ販売店での新型コロナウイルス感染症防止のためのガイドライン作成の監修を担当させていただきました。
上記①〜③を踏まえ、換気・距離・時間にも注意して安全・安心してお客様をお迎えできるようにと用意されたガイドラインです。
“お客様を守る、社員を守る、社会を守る”という思いで本ガイドラインの監修に携わらせていただきました。
これからしばらくはウィズ・コロナの時代が続くと覚悟しておかなければいけません。
私たち一人一人が新型コロナウイルス感染症を知り、そして正しく恐れるという生活様式を身につけていくことが重要になります。
このガイドラインの徹底が新型コロナウイルス感染症の抑制に繋がることを祈念し私のご挨拶に代えさせていただきます。