2019.11.22
WRC HISTORY
WRCの歴史に「ヤリス」
の名を刻んで
ヤリスの名称は、世界ラリー選手権(WRC)に参戦し続けているワールドラリーカー「ヤリスWRC」でもお馴染みです。今回の新型車ヤリスの開発に際して、ラリーという過酷な現場から多くのフィードバックをもたらした「ヤリスWRC」とWRCについて、その歴史とともにご紹介します。
世界中の一般道をステージにして挑む
FIA 世界ラリー選手権(FIA World Rally Championship=WRC)は、公道の決められた区間を走行しタイムを競うスプリントラリーの最高峰。1973年にスタートし、40年以上にわたる長い歴史を持ち、ラリーが盛んな欧州や南米では、F1に勝るとも劣らない人気を誇っている。

WRCは、サーキットで行われるレースとは異なり、一般道に設けられたコース=スペシャルステージ(SS)を市販車ベースのマシンで走りタイムを競う。また、SSは舗装路や未舗装路、積雪路など、様々なコンディションの道で行われる。競技車両には、ドライバーとコ・ドライバーの2名が乗車し、ペアを組んで競技に臨むのもラリーならではの特徴だ。
数々の勝利でタイトルをもたらす
トヨタは、WRCには創設初年度の1973年にドイツのプライベーターを支援する形で出場し、同年早くも初優勝を達成している。その後は、マニュファクチャラー(自動車メーカー直営チーム)として参戦体制を強化。サファリラリー3連覇など数多くの勝利を飾った。

1990年、初めてWRCドライバーズ・チャンピオンシップで1位を、さらに1993年には日本メーカー初となるWRCマニュファクチャラーズタイトルを獲得。その後も華々しい活躍を見せ1999年に活動を終了するまでの間に、トヨタは3度のマニュファクチャラーズタイトルと、4度のドライバーズタイトルを獲得した。
ヤリスWRCで再びラリーの舞台に
2015年1月、トヨタは2017年に1999年以来18年ぶりにWRCに復帰することを表明。そして、トミ・マキネンをチーム代表に迎えるとともに、欧州市場の主力コンパクトカーであるヤリス(日本名:ヴィッツ)をWRカーのベース車両としたのだ。

再びWRCに参戦した理由は、多くの人たちが日常的に使う世界中の道で競われるWRCが、トヨタの「もっといいクルマづくり」を推進するために最高の舞台のひとつと判断したためだった。

そして、参戦してわずか2年目で2018年度のWRCマニュファクチャラーズ選手権タイトルを獲得。ヤリスWRCは、当代最強のラリーカーとして注目を集めることになる。
そして、新型車ヤリスへ
高いエンジン性能とインテリジェントな4WDシステム、そして磨き抜かれた空力性能によって、様々なコンディションの道を安全に速く走ることができるWRCヤリス。2017年のデビュー時から各部に改善を重ねながら進化を続けている。

そのラリーという過酷なフィールドでの経験は、今回の新型車ヤリスの開発にも活かされている。WRCの現場からのフィードバックを、ボディ剛性や足回りなどに反映。新型車ヤリスは、骨格からイチから鍛え磨き上げられたクルマなのだ。

WRCヤリスが目指してきた「世界のいかなる道でも思い通りに操れるクルマ」とは、つまりだれでも安心して思いのまま運転できること。新型車ヤリスは、確実にその想いを受け継いでいる。