ACTION CLIP

2017.11.25 TOKYO 小塚崇彦が夢中になったパラスポーツ体験
“車いすバスケ界の生きる伝説”は一流の技で魅了

Action Clip 特別篇 powered by Sportsnavi
もっとパラスポーツを身近なものに

2020東京オリンピック・パラリンピック開催が決定して、オリンピックはもちろん、パラリンピックの競技や選手を目にする機会は急増した。とはいえ、パラスポーツはどこか自分とはかけ離れたもの、という認識の人も少なくないだろう。

クラブチームでサッカーを始めたり、体育の授業でバスケットボールやバレーボールのゲームをする。そのように日常生活の中でパラスポーツに触れる体験があったら――。しかも、世界の頂点に名を連ねるトップアスリートが手の届くような距離でプレーを披露し、一緒にプレーできたら――。そうなれば、全く新しいスポーツの楽しみが、一つ増えるかもしれない。

そんな体験型イベントが実現した。2017年11月25日、トヨタ自動車が行った「IMPOSSIBLE CHALLENGE FIELD」(WOWOWが共催)だ。

トヨタ自動車は、オリンピック・パラリンピックのモビリティパートナー。「START YOUR IMPOSSIBLE」をテーマに、人々に寄り添い、あらゆる人がそれぞれの可能性にチャレンジ出来る社会づくりへのサポートを行っていく。今回は、その象徴的なイベントなのである。

実施されたのは、特に人気の高い車いすバスケットボールとボッチャ(カーリングに似たパラリンピック特有のスポーツ)。世界のトップ選手と多彩なゲストによるデモンストレーションや、一般の方が誰でも参加できる体験型のイベントが行われ、会場となった東京ミッドタウンは丸1日、パラスポーツで盛り上がった。

老若男女、誰でも楽しめるボッチャの魅力

午前中に行われたボッチャのデモンストレーションに参加したのは、16年リオデジャネイロパラリンピック銀メダリストの杉村英孝選手のほか、パラ陸上競技の鈴木朋樹選手、デフリンピック陸上競技の円盤投げで銀メダルを獲得した湯上剛輝選手、さらには元フィギュアスケート選手の小塚崇彦さん、AKB48 チーム8の岡部麟さん、山田奈々美さん、下尾みうさん。杉村選手&AKB48 チーム8メンバー、男子アスリートチームに分かれゲームを行った。

勝負を制したのは杉村選手&AKB48 チーム8メンバー。「杉村選手に助けてもらったけど、勝ててうれしいです!」と、岡部さんと山田さん。「相手の出方を考えるのが、ボッチャの面白いところ」とは下尾さん。模擬ゲームで、しっかりボッチャの魅力を体感していた。

勝負には負けたが、男子アスリートチームはスポーツ魂に火をつけられたようだ。特に小塚さんは、「これまでにも何度かボッチャの経験はありますが、今日は力が入り作戦まで考えました」という。

「ボッチャは狙った場所にボールを投げるシンプルな競技ですが、投げ方や狙う場所で展開がガラリと変わる。そこがすごく奥が深くて面白いんです。ゲームの合間に杉村選手に教わってボールの上にボールをのせる、置いてあるボールを弾くなどの練習もしました。また、杉村選手が投げる姿を真後ろから見せてもらったんです。ピンポイントで狙ったところに投げる、ブレない体の使い方をしている。どんな競技でもトップアスリートのプレーは美しい。スポーツの本質ですね。それを改めて感じました」

杉村選手も「小塚さんをはじめアスリートチームの理解力の高さにはびっくりしました」と語った。

一般参加の体験イベントには、ふらりと立ち寄ったファミリーも多数参加。親子が実際のボールを投げて得点を競うゲームでは、小さなお子様連れのご家族や車いすでお越しになったお客様など、たくさんの方が楽しまれていた。

杉村選手は「ボッチャは年齢や障害の有り無しに関係なく誰でも楽しめる。東京ミッドタウンという大勢の人が集まる中で、さまざまな人にその魅力を知ってもらえたのではないかと思います」とイベント開催の意義を強調した。

会場が沸いたレジェンドと日本の若きエースの対決

午後に行われた車いすバスケットボールに参加したのは、カナダ出身の車いすバスケットボール界レジェンドであるパトリック・アンダーソン選手と、日本の若きエース・古澤拓也選手、鳥海連志選手。アンダーソン選手は、シドニー、アテネ、ロンドンパラリンピックで金メダルを獲得し、一時は引退していたが17年に現役に復帰した車いすバスケ界のレジェンドだ。そこにシドニーパラリンピックの同競技にキャプテンとして出場した根木慎志さんも加わった。

ゲストと一緒に、一般の大学生もレジェンドから車いすの操作の仕方やボール運びについて、直接手ほどきを受ける。車いすをプッシュしてターン、ボールをバウンドさせてキャッチしてシュートするなど、体験会とは思えぬ高度な内容に、学生らも夢中に。「普通のバスケとは違う面白さがあって、楽しかった」「アンダーソン選手のプレーはやっぱりすごい!」と、汗をかきながら感想を口にした。

その後は、日本選手対アンダーソン選手の1オン1や2オン2。3ポイントシュートの10本勝負、5点先取のゲームなどを展開。アンダーソン選手のシュートが次々決まる中、鳥海選手も片方の車輪を持ち上げてシュートする「ティルティング」などを披露し、吹き抜けの3階までいっぱいになったギャラリーからは大歓声が沸き起こった。

ゲーム後、車いすに乗った7歳の男の子が近づくと、アンダーソン選手は「12歳の時に車いすバスケの選手にサインをもらって、僕は選手になった。だから、君もきっと将来は素晴らしい選手になるよ!」と、サインに応じた。

「アンダーソン選手と触れ合うことができる今回のイベントは、見に来てくれた人にも僕らにもとっても貴重な経験。間近でプレーのすごさを体感できました」(古澤)。「東京では絶対に倒さなくてはいけない相手。もっともっと上達します!」(鳥海)。アンダーソン選手は、「東京パラリンピックでは、日本対カナダの決勝戦になるはず。楽しみにしていてください」と語り、大勢のギャラリーの拍手に応えた。

選手たちのデモンストレーションの合間には、一人で参加できるボッチャと車いすバスケットボールの体験型アトラクションを実施。ダーツのように得点が異なるエリアに3回ボールを投げるゲームに、小さい子どもから大人までが夢中になっていた。

体育館ではない多くの人が集まる場所だからこそ、インパクトは大きい。トップレベルのプレーを気軽に見て、実際に参加して、パラスポーツの魅力を存分に楽しめる。新たなチャレンジとしてのイベントは、大盛況のうちに幕を閉じたのだった。

(取材・文:宮崎恵理)

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