タイヤには、クルマを動かす、止まる、進む方向を変える、荷重を支える、路面からのショックを吸収する、といった役割を持っています。タイヤは走行により空気圧が減るとともに、摩耗します。摩耗したタイヤはブレーキの効きが悪くなり、雨天時にスリップしやすくなったり、場合によってはタイヤがバースト(破裂)したりする恐れがあるので、定期的な交換が必要です。

タイヤの空気圧について

タイヤの空気圧が減った状態で使用すると、ハンドルが重くなったり、偏摩耗が発生したり、燃費が悪化するなど、様々な影響を及ぼします。また、タイヤの空気圧は、タイヤに異常がなくても徐々に低下していくため(1ヶ月で5.5%減少)、日常での定期的な点検・整備が必要です。

タイヤの摩耗について

タイヤが摩耗すると制動距離(ブレーキをかけてから静止するまでの距離)に影響があります。新品のタイヤではの平均の溝は7.5mmですが、交換のサインとなる1.6mmまで溝が減ると、制動距離において、9mの差がでます。

交換時期の目安

  • 亀裂、損傷、摩耗
  • 溝の深さが1.6mm以下。(トレッド面にスリップサインがあらわれます)
  • スリップサインはタイヤ横にある▲のマークのある部分にあります。スリップサインが出る前に早めの交換をおすすめします。

低燃費タイヤ等ラベリング制度について

タイヤ購入時に低燃費タイヤの性能が、ひと目で分かるようにグレード(等級)分けをラベル表示したものが、ラベリング制度です。 グレーディングシステム(等級制度)により「転がり抵抗性能」の等級がAAA・AA・A、「ウェットグリップ性能」がa・b・c・dに該当するものが「低燃費タイヤ」となり「低燃費タイヤ統一マーク」が表示されます。

転がり抵抗性能

タイヤが回転するとき、進行方向と逆向きに生じる抵抗力。抵抗が小さいタイヤほどよく転がり、省燃費なタイヤといえます。最も抵抗が少ないものをAAAとして、Cまでで表示します。

ウェットグリップ性能

路面が濡れた状態でのタイヤのグリップ力のこと。転がり抵抗を小さくすると、悪化する傾向があります。最も性能が高いものをaとして、dまでで表示します。

転がり抵抗係数が12.1以上、「ウェットグリップ性能」が110以下のタイヤは、「ラベリング制度」の対象外となります。
  • 転がり抵抗とは走行中にタイヤが損失するエネルギーであり、転がり抵抗係数はタイヤへの荷重に対する転がり抵抗の比率です。
  • 転がり抵抗係数はJIS D4234:2009(ISO28580)を用いて測定しています。
  • ウェットグリップ性能は路面が濡れた状態でのタイヤのグリップ力(制動時のグリップ力)でありEU規則Wet Gripグレーディング試験法(案)[TEST METHOD FOR tire WET GRIP GRADING(C1 tireS)]を用いて測定しています。
  • 転がり抵抗及びウェットグリップ性能は空気圧や溝深さ、および使用条件等によって異なります。
  • タイヤの転がり抵抗の低減は、一般的には車両燃費の改善に寄与しますが、その低減幅は実車燃費の改善率を示すものではありません。

転がり抵抗性能「転がり抵抗性能」と転がり抵抗性能「ウェットグリップ性能」の関係について

一般的に、転がり抵抗とウェット制動距離の相関関係は相反するもので、タイヤの転がり抵抗を低減(小さく)すれば、濡れた路面での制動距離は伸びる(悪化)傾向にあります。そこで、安全性を考慮する上で「ウェットグリップ性能」が「ラベリング制度」の評価基準に盛り込まれたのです。