ICE(GASOLINE) BEV
「次はBEV(バッテリーを選ぶ」と思うほど生活にぴったりマッチした

「次はBEV(バッテリー
EV)
を選ぶ」と思うほど
生活にぴったりマッチした

2023.07.28

家電のエキスパートにして、数年ごとに輸入車を乗り継ぐクルマ好き。普段ガソリン車のSUVに乗る滝田勝紀さんは、BEV(バッテリーEV)との生活を通じてどんなことを感じたのでしょうか。

xEV長期モニタープロジェクトの最終回となる今回は、レーシングドライバーでクルマの楽しさを広く伝えるTOYOTA GAZOO Racingアンバサダーとしても活躍する脇阪寿一さんが、インタビューしました。

ご利用いただいている車種
BEV bZ4X
  • グレード
    Z
  • ボディカラー
    ブラック〈202〉× プレシャスメタル〈1L5〉[2WC]
  • 主なオプション装備
    20インチタイヤ、ソーラールーフ、ルーフスポイラー

「モニター車を返したくない」
ほど
気に入ったbZ4X

ガソリン車に乗る滝田さんは、電気だけで走るBEVと数カ月を過ごし、生活にはどのような変化があったのでしょうか。脇阪さんが深掘りします。

脇阪 : 今回はbZ4Xをモニターしていただきましたが、BEVとの生活はいかがでしたか。

滝田 : もう本当に、モニター車を返したくないほど、気に入りました。モニター車は1週間ほど前に返しましたが、今でも戻ってきてほしいほどです。100点満点でいえば、100点と言ってもいいくらい、僕はこの3カ月間でBEVに対するイメージが変わりました。

脇阪 : それはすばらしい。

「モニター車を返したくない」気に入ったbZ4X

BEVに慣れるとともに、
バッテリー残量への不安は
薄れていった

脇阪 : 世の中の方の多くは、BEVで長距離移動することに対して不安感をお持ちだと思います。そのあたりは実際に試してみて、どうでしたか。

滝田 : 慣れの部分が大きいかな、というのが率直な感想です。

目的地で充電場所を確保できるのか、充電にどのくらいの時間がかかるのか。初めてのことばかりで、最初は不安だらけでした。そこで、できるだけ事前に下調べして、充電の計画を立てておくことで不安を取り除いていきました。

脇阪 : ガソリン車も、昔は似たような感覚があったと思います。例えば山の奥深くを目指すなら、どこにガソリンスタンドがあるのか事前に調べたり、麓であらかじめガソリンを満タンにしたりするのは当たり前でしたよね。

この先ガソリンスタンドはあるのだろうか、と当時不安を感じていたあの感覚が、現在BEVに乗るときの感覚に近いのかもしれませんね。

滝田 : 確かに、そうかもしれません。ただ今はスマホのアプリで充電スポットを検索できますよね。また充電器の出力も分かりますので、おおよその充電に必要な時間も分かります。高速道路のサービスエリアなどで30分急速充電すれば、かなり走行距離が回復することも分かりました。

また、走り方、BEVの乗り方もだんだんうまくなってきました。

BEVに慣れるとともに、バッテリー残量への不安は薄れていった

脇阪 : 知識が増えることで、不安も薄れていったと。

滝田 : はい、3カ月間BEVに乗った今は、長距離に関する不安感もほとんどありません。ガソリン車で燃料が半分になったからといって不安になることはありませんよね。BEVも、最初はバッテリー残量が60%を切ると落ち着きませんでしたが、「まだこのくらい走れるな」という感覚値が身についてからは不安もかなり薄れました。今では、長距離走行にもほとんど不安はありません。

脇阪 : 「慣れ」で思い出しましたが、実は初代プリウスが発売されてすぐのころ、街中でガス欠になる人がいたんですよ。

滝田 : そうなんですね。

脇阪 : あまりにも燃費が良すぎてガソリンスタンドにいかなくなり、「給油する」という行為すら忘れてしまう方がいらっしゃったそうです。染みついた習慣を変えるには、どうしても時間がかかります。滝田さんも3カ月という長期間BEVに乗って「慣れた」ことで、BEVを上手に使いこなせるようになったのかもしれませんね。

BEVに慣れるとともに、バッテリー残量への不安は薄れていった

モニター期間中にアップデートで
クルマが進化した

脇阪 : BEVはエアコンをつけると走行可能距離が大きく変わることがありますが、そのあたりも慣れましたか。

滝田 : 初めのころはエアコンをオンにするだけで、走行可能距離が大幅に減るので少し不安になりましたが、これも慣れてしまえば「そんなもんかな」と。5月くらいになったら暑い日もあるので、つけないわけにもいきませんし。エアコンをつけた状態での走行距離が標準だと受け止めるようになりました。

実はモニター期間中にbZ4Xのアップデートがあり、バッテリー残量が数値で見られるようになり、エアコンONでの走行可能距離の変動も小さくなりました。残量が視える化されることにより正確に把握できるようになったので、不安感はほぼ解消されました。

脇阪 : そうでしたね。bZ4Xは発売当初、ガソリン車と同じような棒グラフ状の残量表示と走行可能距離しか表示していませんでした。でも実際に乗られている方々からのフィードバックもあり、5月末のアップデートでスマートフォンのようにバッテリー残量を数値で表示するようにしました。他には急速充電の制限緩和なども実施されています。乗る方にとっては、自分のクルマがアップデートでどんどん進化して使いやすくなる、そんなしくみを取り入れていますが、これは役立ちましたか?

滝田 : はい。充電についても効果を実感しました。アップデート前に高速道路のサービスエリアで30分の急速充電を試したときは、約70%の残量が80%前半程度に回復しただけでした。当時は残量の数値表示がなかったのであくまで目分量ですが。ところがアップデート後に同じように急速充電をしたところ、30分で約60%から一気に90%台まで戻りました。アップデートでは80%以上での急速充電が改善されたそうですが、おそらくその効果ではないでしょうか。長距離移動の安心感がより高まったと思います。

脇阪 : 滝田さんはスマホのバッテリー残量はどのくらいになると不安ですか。

滝田 : 実はけっこう心配性で、50%ぐらいになるともう不安です。クルマのバッテリーとなると、もっと気になりますね(笑)。

ガソリン車に乗っているときも、防災の観点からもなるべく満タンにしています。BEVになってもその辺りは同じで、70%程度になったら自宅で充電するようにしていました。おそらく他の人より早いかもしれません。

脇阪 : そんな滝田さんでもbZ4Xに満足していただけたなら、BEVの充電に不安を感じている方々にも受け入れられる素地はありそうですね。外出先での充電について、困ったことはありましたか。

滝田 : 場所によりますね。例えば高速道路のサービスエリアは、モニター期間中に4、5回利用しましたが、一度も順番待ちをすることはなく、時間のロスはありませんでした。一方で都内のショッピングモールなどでは、行ってみたらすでに埋まっていて充電できなかったことも何度もありました。

モニター期間中にアップデートでクルマが進化した

「クルマとしての当たり前」が
当たり前にできているのが
トヨタのBEV、bZ4Xの底力

脇阪 : bZ4Xの乗り味はいかがでしたか。トヨタは以前から「もっといいクルマづくり」を目指しています。電動車だからといってつまらない車にしたくない、乗る人の笑顔を作りたい、という想いで開発者はつくっていると思います。

滝田 : 僕にとって乗り味は最重要項目です。先ほど100点満点と言いましたが、これは乗り味も含めての話です。bZ4Xはとにかくアクセル踏んだときのレスポンスがよく、これに慣れると、ガソリン車がダルいと思ってしまうほどです。特に街中でストップ&ゴーを繰り返すたびに、すっと前に出る浮遊感のある走りはbZ4Xの大きな魅力です。車重は決して軽くないはずですが、重さをまったく感じさせない走りが、もう本当に最高です。後席も空間が広く、オートマのようにシフトチェンジのショックもありません。音も静かでとても快適だと、妻や娘からも高評価でした。

脇阪 : 僕らレーシングドライバーは、普段の運転では同乗者にできるだけストレスをかけないことを心がけています。キャビンをなるべく揺らさないよう、クルマの振動をコントロールします。そのときのポイントのひとつがアクセルなのですが、エンジンだとアクセルを踏んでから力が出るまでに多かれ少なかれ、時差がありますよね。踏んでからしばらく反応せず、回転が上がるにつれグワッと力が出てくるようなクルマですと、すごく運転しづらいんですね。ところがbZ4Xはモーターですから、トルクが遅れずに出てくれて、とても操りやすいですよね。もちろんトルクフルなクルマは運転操作が雑になると逆につらくなるのですが、滝田さんはその辺りを意識して運転されているのだと思います。

滝田 : 実は僕は以前、雑誌の仕事で別のBEVに乗って東京から函館までを往復したことがあります。そのBEVは確かにすごい加速をするのですが、その加速の仕方が暴力的というか、あまり心地よくなかったのです。

脇阪 : 乗り手のことを考えずに、「すごいでしょ?」というような。

滝田 : はい。数人で運転を交代しながら函館まで行ったのですが、ドライバーとしても同乗者としても、この乗り心地はキツいなと思いました。実は、今回はそういう過去のBEVの悪いイメージを引きずったままモニターをはじめました。

ところが実際に乗ってみると、bZ4Xにはそういう嫌なところが全然ないのです。BEVである前に、きちんとクルマとして設計されているな、と。「クルマはこうあるべきだ」という基本的な思想が土台にあり、その上でBEVをつくっているなと感じました。

脇阪 : 電動化によって「誰でもクルマをつくれるようになる」などと言われるようになりましたが、人を乗せて走る以上、やはりクルマとして大事な部分は守らなくてはなりません。

滝田 : 僕はクルマの専門家ではないですが、これまでに乗ったBEVと違い、bZ4Xにはユーザー視点で「厳しいな」と感じる部分は一切ありませんでした。クルマとしての当たり前をBEVでもちゃんと当たり前に実現していることは、トヨタの底力のようなものを感じました。

脇阪 : 経済性についてはいかがでしょう。ガソリン車と比べて電気代はいかがでしたか。

滝田 : この3か月間、意識してチェックしてみましたが、かなりいいという印象です。自分のガソリン車は月に2回ほど給油しており、ガソリン代は3カ月で48,000円くらいです。bZ4Xは、自宅での普通充電と外出先の急速充電を合わせて15,000円もかかっていません(※実際には約17,000円)。最近は電気代も高くなっていますが、圧倒的に得だったと思います。

「クルマとしての当たり前」が当たり前にできているのがトヨタのBEV、bZ4Xの底力

「もう自分はBEVでいいな」と
分かった
bZ4Xとの3カ月間

脇阪 : 3カ月間bZ4Xにお乗りいただき本当にありがとうございました。では最後に改めて、bZ4XというBEV、いかがでしたか?

滝田 : 本当に、返したその日に「ああ、もう戻ってこないんだな」となごり惜しくなるくらい気に入りました。そして次にクルマを買うなら、もう自分はBEVでいいなと思いました。自宅で充電しながら使うスタイルは、近場の移動が多い自分の生活にはマッチしています。次の買い換えはバッテリーEVにシフトすると思います。

脇阪 : もしユーザー目線からbZ4Xに対する要望があれば、ぜひ教えてください。

滝田 : うーん、不満が思いつかないくらい気に入ったのですが。あ、ひとつだけありました。充電口のソケットです。bZ4Xは車体前方の左右に充電口がついていますが、できればこれは後ろ側に付けてほしいですね。

脇阪 : どうしてでしょうか。

滝田 : ショッピングモールなどの駐車場で充電器のコードが届かないことが多いのです。もちろん前向きに駐車すればいいのですが、スペースに余裕がない場所で前向きに駐車するのは結構難しいですよね。後ろにクルマが並んでいたりするとモタモタするわけにもいかず、充電を諦めることもありました。

またbZ4Xは急速充電と普通充電のソケットが左右に分かれていますが、できれば片側にまとめてほしいです。どっちだっけ、と現場で迷うことがありまして。

脇阪 : なるほど。おそらく、駐車のしかたは国によっても違うので、まだ決まった正解というのがないのかもしれません。この辺りは今後の課題といたします。本日はありがとうございました。

「もう自分はBEVでいいな」とbZ4Xとの3カ月間

モニター期間中の燃費・電費

走行距離
2,219km
充電費用
16,964
モニター車の走行1kmあたりの費用
7.6
滝田 勝紀(たきた まさき)さん

滝田 勝紀(たきた まさき)さん

現在はwebメディア「Beyond magazine」のプロデューサーを務める。電子雑誌「デジモノステーション」/webメディア「ds」の元編集長。徳間書店の「ベスト・ギア」ほか、モノ雑誌の編集者として15年以上、おもに生活家電やデジタルガジェットほか、カルチャーページやグラビアページを担当。ベルリンで毎年開催される世界最大の家電見本市「IFA」は2010年頃から毎年、現地取材を続け、欧州の家電メーカーであるダイソン、デロンギ、ブラウン、フィリップス、ミーレなどの本社取材を敢行するなど、海外取材の経験も豊富。また現在、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏と、建築家前川圀男氏が昭和30年代に設計したテラスハウスをリノベしたオフィス兼「家電とインテリアのショールーム」を主宰している。

使用頻度
毎日
走行距離
8,000km/年
居住地域
東京都
住居環境
戸建て
利用目的
通勤・子供の送迎・レジャー
脇阪 寿一(わきさか じゅいち)さん

脇阪 寿一(わきさか じゅいち)さん

19歳でのカートデビュー後ステップアップを重ね、日本最高峰のレースであるフォーミュラニッポン、SUPER GTで輝かしい戦績を残す。2度のシリーズチャンピオンを獲得し「ミスターSUPER GT」の称号を得るなど黄金時代を築いた。2016年SUPER GTドライバーからの引退発表後は、監督としてSUPER GT 2019年シリーズチャンピオンを獲得。現在は、SUPER GT TGR Team SARD のチーム監督として、モータースポーツ界を牽引している。

レース活動以外にも、TOYOTA GAZOO Racingアンバサダー/イベントプロデューサー/日本体育大学非常勤講師として精力的に活動中。全国各地のイベントや販売店、大学教壇に於いて、『クルマの楽しさやモータースポーツの魅力を広く伝える』活動をおこなっている。