EVENT REPORT
クラウン開発陣によるトークイベント「THE CROWN MEETING in THE CROWN 愛知高辻」開催
2024.04.08
2024年3月10日、全国3店舗目(東海地区初)のクラウン専門店として2月にオープンした「THE CROWN 愛知高辻」において、「THE CROWN MEETING in THE CROWN 愛知高辻」が開催された。
イベントのサブタイトルは、「トヨタ自動車のクラウン開発陣が集い、クラウンを語る」。THE CROWNならではのトークイベントとして、鮮やかに生まれ変わった新型クラウンの開発への想いや開発秘話をはじめとした数々の話を、開発陣より参加者にお届けした。
この日の参加者は、新型クラウンのオーナー、数世代のクラウンを乗り継いだユーザー、新型クラウンに強い関心を持つ人などおよそ30名。20代から60代まで、幅広い年齢層の参加者が集った。中には受付開始の1時間前から来場し、これから発表されるエステートを含む4台の展示車両をチェックする方もおり、新型クラウンへの関心の高さがうかがえた。
THE CROWN 愛知高辻 矢花ゼネラルマネージャー
スタートは13時30分。まずはTHE CROWN 愛知高辻の矢花慶ゼネラルマネージャーが登壇。「THE CROWN 愛知高辻」店舗について「クルマの販売をしないお店」「クラウン・ブランドの発信拠点」「クラウンを中心に人と人が交流する場というコンセプトのもと、今回のようなイベントや様々なプログラムを開催していきます」と、通常のショールームとの違いや特徴を紹介する。
クラウン チーフデザイナー 宮﨑(左) クラウン チーフエンジニア 清水(右)
トークセッションはコンセプト編とディテール編の2部構成。先に行われたコンセプト編では、チーフエンジニアの清水竜太郎、チーフデザイナーの宮﨑満則が登壇し、4つのクラウンが生まれた経緯やそこに込めた想い、それぞれに与えた個性などについて語った。
ディテール編では製品企画担当の本間裕二主査と車両性能開発担当の多和田貴徳主査も加わり、新型クラウン開発の中核を担った4人でのトークが繰り広げられる。デザイン、ボディカラー、走り、パワーユニット、そしてそれらを実現するために投入した技術など話題は多岐に渡り、予定されていた時間が短すぎるように感じられたほど。
いずれも興味深い話ばかりですべてをお伝えしたいところなのだが、さすがにそういうわけにもいかないので、開発陣一人ひとりの言葉の中から特に印象的だったところを要約してお伝えしよう。
チーフエンジニア 清水
清水チーフエンジニア。
「最初から4つのクラウンを開発しようと考えたわけではなくて、お客様が本当に欲しいと思ってくださるクルマって何だろう?と原点に立ち返るところから企画をはじめました。ボディのタイプや駆動方式といった決まりごとではなく、そういった“クラウンとは”みたいなものをいちど忘れてみて、本当に欲しいと思っていただけるクルマを開発しよう、と。結果的に色々なライフスタイルや使われ方に応じて選んでいただける、4つのクラウンが誕生しました」
クラウン チーフデザイナー 宮﨑
宮﨑チーフデザイナー。
「今の時代に合ったクラウンであるために、世代、国籍、性別の違う、多様性に富んだデザイナーを集めて議論をしながら、クラウンを変えたいという想いに向き合いました。特に若い世代の人たちに任せてみたら、何か新しいモノができるんじゃないか? というところもありました 」
クラウン 製品企画主査 本間
本間主査。
「ボディのデザインだけ変えて、走りは全部同じだろうと思われがちなんですけど、そうではありません。静粛性、快適性、上質さ。そうした歴代クラウンが大切にしてきたものを4つのクラウンすべての共通の土台として持ちながら、それぞれのキャラクターをより際立たせるような作り込みをしています」
クラウン 車両性能開発主査 多和田
多和田主査。
「例えばセダンは静粛性、快適性、上質さを徹底的に追求してきたモデルです。セダンのフロントフェンダーには縦のラインがありますよね。実はあの中にはアルミテープが貼ってあるんです。クルマが走ってるときの空気の流れって、実は静電気を持つんですね。その空気の電子とクルマの電子が反発し合って、クルマをちょっと揺らしてしまうんです。アルミテープは、その静電気を逃すためのものなんですよ。デザインの意匠の中にも走りを安定させる機能を持たせてるんです。そんなふうにそれぞれのキャラクターに合わせて最適な技術をそれぞれに盛り込んでいます」
トークセッションのあとにはQ&Aセッションも行われた。熱心な参加者が多かったこともあっていくつかの質問が投げかけられたのだが、そのうち一部をお伝えしよう。
Q:クロスオーバーのテールランプの横にボルテックスジェネレーター(註:意図的に空気の乱流を生じさせる事で空力特性を改善する装置)がついています。空気抵抗を少なくするためかと思うのですが、どれくらい抵抗が減るのか、数値的にわかるものがあれば教えてください。
A:数値としては定量化できていないのが現状なので、お答えすることができません。ただ、空気の渦がどうなっているかを可視化して、こうすると良くなるというのが把握できるようにはなってきました。(多和田主査)
これは空気抵抗を減らすというより、後ろに綺麗に空気を流してく役割でつけています。空気の流れを整えて走りを安定させる。実はジェネレーター以外でも後端にいくに従ってルーフを落としていくとか、整流のための工夫はいろいろやっています。なかなか訊いていただけないような質問なので、話す機会をいただけてありがたいです。(本間主査)
Q:トヨタの中にはもともとかなりの数の車種があり、その中でクラウンに4つのモデルを作るのは、例えば開発に携わる人の数だけ考えても、かなりの苦労があったかと思います。どういう想いでやってこられたのですか?
A:開発の人数でいうなら、数千人規模でやってきました。車体の開発、シャシーの開発、電装品の開発、と本当に多種多様な方々がワンチームとなって、今のこの令和の時代のクラウンはどうあるべきかというのを真剣に考えながら開発してきました。4つのモデルは形も違えば走りも違うんですけど、大切にしてるクラウンらしさはすべてのモデルに持たせたつもりです。これまでずっとクラウンを乗り継いで来られたお客様にも、どのモデルに乗っても“これはクラウンだね”って言っていただきたい。そういう想いでやってきました。(清水チーフエンジニア)
トークセッションの後は、コーヒーを飲みながらの懇親会。実車を前にしながらのフリースタイルで、Q&Aセッションで訊けなかった質問をされる方、ディテールの説明を受ける方、逆にクラウンへの熱い想いを伝えようとする方と実に様々、会場のあちこちでなごやかなクラウン談議が繰り広げられていた。
そんな中で参加者の何人かの方に今回のイベントの感想をうかがってみたので、いくつか御紹介しよう。
「自分自身もクラウンのユーザーですが、開発者の方々のクラウンというブランドを大切にしていくという熱が伝わってきて、非常に嬉しかったです」
「自分にとってはまだ敷居が高いかなと思っていたんですけど、開発者の声を直接聞けたことで想いが伝わってきて、クラウンを少し身近に感じられるようになりました。乗りたいという気持ちがこれまで以上に強くなりました」
「カタログを見ても乗り心地を追求したという記載はあると思うんですけど、実際にどういう乗り心地を求めて、それを実現させるためにどうしたのか、どういう乗り味が開発者の理想だったのか、そういうことを生の声で聞けたのは大きいですね」
そして、開発陣代表として清水チーフエンジニアにも感想を語ってもらった。
「我々は普段、お客様のお声を直接聞ける機会というのがほとんどないんですけど、こうしてコミュニケーションさせていただいて、お客様の生の声を聞けるというのは大変ありがたいです。想いが伝わってきたり、自分たちの想像と違っていることを発見できたり、参考にすべき声をいただけたり。我々の方が得られるモノは大きいように思います。皆さんのお言葉のすべてをフィードバックできるというのは難しいかもしれませんが、いろいろ検討させていただきたいと思っています。ありがとうございました」
全国のTHE CROWNでは、今後もこうした開発陣とユーザーを結ぶイベントなどを積極的に企画していくので、どうか御期待いただきたい。
イベント開催店舗
THE CROWN 愛知高辻
愛知県名古屋市昭和区高辻町6-8ATG南館1階
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