STYLES
PHEVのドライブフィールが、エモーショナルな感覚を呼び覚ます
2023.12.22
いま、世界から注目される日本人アーティストのひとりが、独創的な風景画や人物画で知られる森本啓太だ。普段は、オートバイでモチーフを探しに出かけるという森本が、クラウン(スポーツ)で箱根に向かった。
オートバイのリーンやスキーのターンに似ている
香港K11MUSEAでのグループ展、KOTARO NUKAGA六本木での個展、京都MtKギャラリーでのグループ展、そしてオンタリオ芸術大学(現在のOCAD大学)在学中からの憧れだったというロサンゼルスのナイト・ギャラリーでの個展──。直近の3ヵ月だけでも、森本啓太の作品はこれだけ幅広くアート愛好家の目にふれている。
伝統的な絵画の技法を身につけるいっぽうで、デジタル技術も駆使する森本の作風は、ほかのどのアーティストにも似ていない個性的なもの。世界中のギャラリーが、“MORIMOTO KEITA”のオリジナリティあふれる作品に注目している。
ラーメン屋や自動販売機からこぼれる光など、何気ない日常の風景を描いているのに、その絵を見ているとどこか別の世界に連れて行かれるように感じるのが、森本の絵の特徴だ。創作意欲を刺激するモチーフを探す行為を森本は「取材」と呼び、主にオートバイで出かけているという。
「もともと二輪が大好きなんですけど、限界も感じます。たとえば以前に、首からカメラをぶら下げて山道を走っていたらコケてしまったり……(苦笑)。それに、今回の箱根のように遠い場所だと、クルマのほうが安全かつ効率的に動けますよね」
こう語る森本がハンドルを握るのは、トヨタ・クラウン(スポーツ)のプラグインハイブリッド(PHEV)仕様。外部電源からも充電することができるハイブリッド車で、充分に充電されている状態だとモーターだけで駆動するEV走行も可能になる。
ハンドルのステッチなどに継承されてきたクラフトマンシップが表れているいっぽうで、デジタル技術が多用されているインテリア。伝統と革新が融合している。
「僕は16歳で大阪からカナダに渡って、31歳の時に東京へ戻ったんですが、カナダでの最後の3年間はトヨタのカローラに乗っていました。全然壊れない頼れる相棒で、だからトヨタというブランドには親しみがあります」
オートバイが好きというだけあって、森本は箱根の山道で軽快にクラウン(スポーツ)を走らせる。
「しっかりとした安定感と、軽やかに曲がることが両立しているのがいいですね。荒れた路面のカーブでもすごく滑らかで、ぎくしゃくしたり、ぎこちない感じがまるでない。気持ちよく走ることができます」
美術館や温泉など、箱根は大好きなドライブコースだという。「運転がしやすくて、しかもハンドルを握っていると気分がアガるのがこのクルマのいいところですね」と森本。
モーターだけで走るEV走行を試しながら、森本はクラウン(スポーツ)のドライブを楽しむ。
「EV走行は、アクセルを踏んだ瞬間に、音も振動もないのに加速するフィーリングが異次元ですね。ハイブリッドで走っている時は、モーターがエンジンをアシストするからレスポンスがいいと教えてもらいました。確かに、思い通りに加速して曲がるのが楽しいです。バイクで車体を倒す時とか、スキーでターンする時と同じような、エモーショナルな感覚がある。プラグインハイブリッドはエコカーの技術だと思っていましたが、クルマと一体化するように感じさせてくれる技術に感じました」
作家にとって、美術館はインプットの場
箱根のワインディングロードでのドライブを楽しんだ森本がクラウン(スポーツ)のノーズを向けたのは、箱根・仙石原のポーラ美術館。ススキの草原を抜けると、美術館の建屋が見えてきた。
「僕はポーラ美術館にかなりの頻度で来ていますね。2年前だったかな、藤田嗣治の展覧会もよかったし、いつもおもしろい展示にチャレンジする美術館なんですよ」
森本は、真剣な表情でじっくりと作品を見て歩く。森本にとって美術館とは、「インプット、吸収する場」なのだという。
クロード・モネが1907年に描いた『睡蓮』を見つめる森本啓太。伝統的な技法を取り入れることが、彼の作風の特徴だ。
「美術館というのは、絵画の技法やアイデア、作品に対するアーティストの理念を学びに行く場ですね。制作だけをしているとインプットする機会が減ってしまうので、意識して美術館に出かけるようにしています。だから美術を楽しみに行くという感覚は少なくて、純粋にアートを楽しめなくなりつつあります」
アートを吸収した後は、美術館に併設されるカフェへ。森本は、知る人ぞ知る“スイーツ男子”なのだ。カフェのシグネチャーである「チューン」というスイーツは、ベリーとクリームチーズ、フランボワーズのグラッサージュ。甘味を楽しむ様子と、作品を見つめていた時の真剣な表情のギャップが印象的だった。
ポーラ美術館に併設されるカフェで、「チューン」というスイーツを前にした森本啓太。その表情から、いかにスイーツを愛しているかが伝わってくる。チューン(ベリーとクリームチーズ、フランボワーズのグラッサージュ)は800円。
コーヒーを飲みながら、森本の作風がどのような経緯で生まれたのかについて聞く。大学1年生の時にニューヨークのメトロポリタン美術館でレンブラントの絵に衝撃を受け、そこから伝統的な技法をマスターすることを思い立ったと森本は語る。
「伝統を学びたいと感じるのは、日本人らしさかもしれないですね。北米だと、歴史を踏まえずにとにかく新しいことにチャレンジして、結局アマチュアっぽくなっているアーティストがかなりいますから。そのいっぽうで、日本人は巨匠に師事して、そこにとらわれすぎるという傾向がある。僕の場合は伝統を学んで得た技術をベースに、新しい表現にチャレンジしているつもりです。文化のハイブリッドみたいなところに、僕の作品の特徴があるのかもしれません」
スケッチブックを取り出し、食べかけのスイーツを描き始めた。
いつか、このスケッチを作品として見る日が来るかもしれない。クラウン(スポーツ)のドライブがインプレッシブだったからか、森本はさり気なくクラウンのエンブレムを書き添えた。
森本が新しい表現にチャレンジしているように、革新と挑戦というのは、クラウンというモデルのテーマでもある。16代目となる新しいクラウンも、クラウンらしさや日本のモノづくりを継承しながら、斬新な4つのスタイルを提案するという革新に挑んでいる。そして今回のクラウンからは、日本国内だけでなくグローバルに展開することになる。
グローバルに展開する、というくだりで、森本の瞳に光が宿った。
「日本のアーティストが世界で評価されているのは、それぞれ理由があると思います。ただひとつだけ共通していることがあって、みなさん海外で長く暮らしているということです。草間彌生さんも村上隆さんも、奈良美智さんも塩田千春さんも、ある程度の期間を海外で活動しています。海外の感性も吸収しながら日本人としてどういうアートを作るかを考えないと、グローバルで活躍することは難しいんじゃないかと思います」
クラウンはこれから、世界中のさまざまな道を走り、さまざまな人々に乗られるようになる。そうした経験が、クラウンをさらに進化させることにつながるだろう。クラウンがこのタイミングで海外に出るということは、今後を考えると大きな意味があることなのだ。
再びクラウン(スポーツ)のハンドルを握った森本が見つけたモチーフは、芦ノ湖スカイラインのパーキングスペースにある自動販売機。自動販売機から漏れる光は、森本が好んで用いるモチーフである。日常のなにげない景色であっても、森本のように独自の角度でトリミングし、身につけた技術を駆使して描くと、エモーショナルな表現になる。見慣れた景色であるからこそ、多くの人がその作品の凄みや素晴らしさを感受することができる。絶景を描くのではなく、ごくあたりまえのモチーフで非日常の世界に連れて行ってくれるから、森本の作品は高く評価されるのだろう。
4つのスタイルのクラウンのうち、クラウン(スポーツ)は最もスポーティなモデルとして位置づけられる。オートバイを愛好する森本啓太は、そのしなやかな乗り心地と機敏なハンドリングに感銘を受けたという。
芦ノ湖スカイラインの三国峠のパーキングスペースにて。装飾のない、シンプルな美しさを追求したクラウンのボディに、夕景が映り込んでいる。
自動販売機のそばにクラウン(スポーツ)を停めた森本は、「あまりクルマを描いたことはなかったけれど、クラウンは描いてみたくなる雰囲気がありますね」とつぶやいた。
クラウン(スポーツ)のドライブフィールが、森本のエモーションを掻き立てたのかもしれない。
夜の自動販売機から漏れる光は、森本が好んで描いてきたモチーフ。箱根山中というシチュエーションと、クラウン(スポーツ)のドライブ体験が創作意欲を刺激したのか、あまり描いたことのないクルマを描きたいと感じたという。
■ポーラ美術館
神奈川県足柄郡箱根町仙石原小塚山1285
TEL : 0460-84-2111
https://www.polamuseum.or.jp
森本啓太
1990年、大阪府に生まれる。16歳で単身カナダに渡り、2012年にオンタリオ芸術大学(現在のOCAD大学)を卒業。2014年にトロント現代美術館で個展『The Nightwatchers』を開催するなどカナダを中心に作家活動を行ってきたが、2021年に帰国。東京を拠点に、グローバルに活動する。
Produced by HYPEMAKER
Photograph by Utsumi
Text by Takeshi Sato
この記事のクラウン
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