LAND CRUISER 70 40th Anniversary

CROSS TALK Vol.02

LAND CRUISER70 40th Anniversary

志を継承する
エンジニアたち

時代を超えて息づく、
ナナマルのDNA。

信頼性・耐久性・悪路走破性。ランドクルーザーには脈々と受け継がれる開発精神がある。いかにして、この精神を守りながら、時代や環境と共存し続けてこられたのか。2023年の70再々販に携わった5名のエンジニアたちが、数々の乗り越えた難題や、開発者だからこそ味わえた喜び、開発過程で育まれた強い絆、40周年を迎えての新たな決意を語り合った。

設計室

製品の設計を担う


藤田 憲司 主幹

入社年:2003

MSプラットフォーム開発部

F-PF運動性能設計室

第2グループ

畠中 辰哉 主任

入社年:2004

MSプラットフォーム開発部

F-PFフロアモジュール設計室

F-PF排気グループ

松尾 和彦 主任

入社年:2001

MSプラットフォーム開発部

F-PFフロアモジュール設計室

フレームグループ

開発室

性能評価を担う


平尾 知哉 主任

入社年:2001

第1MS車両開発部

第12車両開発室

信頼性グループ

川野 亨樹 主任

入社年:2015

MSプラットフォーム開発部

PF性能開発室

F-PF信頼性2グループ

#01

ナナマルのバトンを
引き継ぐ同志

まずは、開発におけるご担当分野について教えてください。

藤田 主幹

はい、では私から。設計の藤田と申します。2023年の70再々販のプロジェクトではシャシーやタイヤなどを担当しました。もともと父親が40や80を所有していたこともあり、私自身ランドクルーザーのファンだったので、いつかランドクルーザーを開発したいという想いでトヨタに入社しました。今回のプロジェクトはとても感慨深い仕事になりましたね。

松尾 主任

同じく設計の松尾です。私も入社当初からシャシー設計で、2016年から70の開発に携わっています。カムリやハイランダーなど数々のクルマを経験しましたが、気がつけばキャリアの中で70が一番長く携わっている車種になりました。畠中さんは2022年からでしたよね?

畠中 主任

はい、その通りです。もともと2015年から300の吸気部品の開発を担当していて、2023年の再々販でも同様の部品を担当しています。70の開発に携わることができてとても光栄です。そういえば松尾さんと平尾さんって、同期なんですよね。

平尾 主任

そうなんです。僕は松尾さんと同期です。でも、内定式で会ってから再々販に関わるまで接点はありませんでした。同期メンバーと仕事ができてうれしかったですね。キャリアとしては、入社直後から70の信頼性を評価する部署に所属していて、その後はシエナなどのモノコックボディの開発に携わりました。2020年から再び70を担当しています。同じ性能評価の川野さんも同時期に再々販に参加しましたよね。

川野 主任

はい。私は2015年に入社し、路面干渉や飛び石などにおける部品の耐久性を調査しています。2年目から70の業務に関わり始めて、2020年から再々販のプロジェクトに参加しています。

設計室と開発室のみなさまは、70開発においてどのように関わり合ってきたのでしょうか?

藤田 主幹

私と松尾さんがサスペンションなどの足回り系やフレームを担当し、それらの強度・信頼性を平尾さんが評価しています。畠中さんは、排気管や燃料系等のアンダーボディ機能部品を設計していて、川野さんは、悪路における使用環境や路面干渉の評価をしています。企画から生産技術、製造まで関わる部署・人数は多く、他部署と連携しながら業務を推進していますが、特に設計と性能評価のつながりは強固です。

松尾 主任

藤田さんのいう通り、設計と性能評価は二人三脚の関係ですね。特に私は、平尾さんと連絡を取り合うことが多く、フレームの設計を見直す際に、強度に関してどのような視点で考えていけばいいのかについて、いつも的確なアドバイスをもらっていました。

藤田 主幹

私も新人の頃から平尾さんに強度視点での助言をもらいながら設計してきました。「こんな設計を考えられる?」「こうすれば強度をより高められるのではないか?」などの言葉をかけてくれるので、とても心強いです。 “強度・信頼性に関しては平尾さん”という印象をもっています。

平尾 主任

ちょっと、こそばゆいですね。私は設計室の皆さんには全幅の信頼を寄せています。私自身、調査する上で不明点が出てくるのですが、その時は、松尾さんや藤田さんに必ず聞いています。このクルマはトヨタ内でも特に歴史が古いので過去の膨大な資料を確認しないとわからないはずですが、二人は迅速に情報を提供してくれます。川野さんは畠中さんと共に仕事をすることが多いよね。

川野 主任

そうですね。ランドクルーザーは用途が多岐にわたります。国内外問わず情報収集しながら、評価条件を制定し、畠中さんが設計した部品を調査してきました。

畠中 主任

川野さんは、評価結果のフィードバックだけではなく、部品を改良するための+αの提案をしてくれます。それらの内容はどれも本質をついており設計のヒントになることも多いので、とても頼りにしていますね。

#02

開発精神を、
細部にまで宿す

開発過程で最も重視したポイントと、守り抜いたこだわりについて教えてください。

藤田 主幹

トヨタには「トヨタスタンダード」と呼ばれる独自の設計基準がありますが、70に関しては、さらにその上をいく性能が求められます。特に海外の過酷地では移動・輸送の道具として生活を支えている事も多く、販売中のモデルのクオリティを下回ることは、絶対にあってはなりません。それはみなさん同じ想いだと思います。

川野 主任

その通りです。たとえば、耐久性に関してはプロテクタをつけることで性能を高められるのですが、その反面、プロテクタが岩石などに引っかかってしまうと、走破性が低減するという事象が生まれました。部品の設置場所やサイズなどを検証しながら最適解を見つけるのはとても大変でした。

畠中 主任

私の領域で言うと、堅牢性を意識し、とにかく壊れないことを大切にしました。万が一、部品が壊れたとしても走行に支障をきたさないクルマをつくることが70チームに課されたミッションでしたよね。

平尾 主任

いくつもの困難がありましたね。他部署からの要望を取り入れながら販売中のモデル以上の性能を担保するためには、高い技術力と柔軟な思考、専門知識が求められます。だからこそ、部署の垣根を越えた議論を何度もしましたよね。

松尾 主任

そうですね。部署を問わずアイデアを出し合ったのはとてもいい経験になりました。たとえばリヤサスペンションの構造では、乗り心地をよくするために、リーフスプリングのばね枚数を6枚から2枚に減らしました。その中で十分な耐久性を確保するために、リーフばねの板厚変更をしました。いくつもの可能性を検証しながら、発売モデル同等以上の性能を追い求める日々でしたね。

藤田 主幹

70は持っている性能をフルに使い切り、朽ち果ててその命を全うするまで使用されることも多いクルマなので、中途半端な検証は許されません。新規設計した部品は壊れるまで評価する。ただ目標をクリアするだけではなく、限界を知った上で、壊れ方もより安全安心な方向へコントロールする。販売中のモデルよりも絶対に性能を落とさない。電子制御などに頼りすぎずに極力メカニカルな構造とし、故障時や消耗部品のメンテナンス性も考える。時代に合わせながらも、このような先代から脈々と受け継がれてきた思想を継承し、「どこへでも行き、生きて帰ってこれる」クルマであり続けることが、70にとって、もっとも大切なことだと考えています。

#03

普遍のワークホースを
これからも

ここで、今回のクロストークに寄せて、現役時代、長きにわたりランドクルーザーの開発に携わられた吉井さんと大原さんからメッセージをいただきましたので、ご紹介いたします!

現場にこそ、
進化のヒントがある。

吉井正臣 氏

プロフィール
1961年トヨタ自動車工業入社。シャシー設計課、車両設計課を経て、1981年よりランドクルーザー主査を9年間担当。

ランドクルーザーが走破する現場を見るため、私は数十カ国を訪問しました。そこで、オーナー様や販売店の方と対話を重ね、いくつもの気づきを得たことが、改良のヒントにつながりました。このクルマが活躍するフィールドは、世界中の特殊な環境ですので、みなさまも「現地現物」の精神で、ぜひアクションを続けてください。きっと、どんな時代でも求められるランクルを生み出せるはずです。

トヨタの屋台骨を開発する誇りを。

大原義数 氏

プロフィール
1970年トヨタ自動車入社。車両試験課、製品企画室を経て、1988年よりランドクルーザー70系の担当となる。以降27年間70系の開発を担当。

信頼性、耐久性、悪路走破性を堅守するため、私は企画を行う上で3つの点を心掛けました。①変更せずに済むのであれば変更しない②変更する場合は範囲を最小限にする③発売中のモデル同等以上の性能を確保する。これらを継承しつつ、70系がトヨタで一番の歴史を持ち、屋台骨を支える存在であることを強く自覚してください。皆の知恵を結集し挑戦していけば、45周年、50周年と可能な限り生産し続けられると思います。

松尾 主任

身に余る思いです。大原さんのコメントにもあった通り、70は、信頼性、耐久性、悪路走破性を維持し続けてきたクルマです。その伝統を守りつつ時代の進化に対応するクルマづくりを継続していきたいです。

平尾 主任

そうですね。質実剛健なクルマというイメージを守り続けていきたいですね。

川野 主任

私もできるだけ部品を変えないことを大切にしたいです。大原さんのコメントにもありましたが、海外には、私たちが想像を絶する環境があり、独自の使われ方があります。たえず情報を収集しながら必要最小限の変更を積み重ねて、トヨタのラインアップにずっと残していきたいです。ただ、畠中さんの担当されている部品は、排ガス規制の影響を受けやすいものばかりですよね。

畠中 主任

川野さんのいうように時代のニーズに対応するために必要に応じて変えなければなりません。70は過酷な環境で酷使されるため、一般のクルマには付いていない機能がいくつも備わっています。変えてはならない部分と変えなければならない部分のバランスをとりながら、これからの開発に取り組んでいきたいです。また、私は先輩方から開発の背景を教えていただく機会が数多くありました。今後は私が後輩たちに発信していく役割を担っていきたいです。

今年でランドクルーザー“70” は40周年を迎えます。あらためてこれからの決意を教えてください。

藤田 主幹

40周年は本当にすごい節目だと思います。1984年から基本設計を変えずに、これだけ続くというのは他に類をみないことだと思います。

川野 主任

発売から40年以上が経過して、これほど必要とされるクルマはありませんよね。

藤田 主幹

70は海外、特に開発途上国の人々の生活を支えるためにも欠かせないクルマです。このクルマで山や谷を越えて物資を運ばないと生きていけない人がいます。さらに、アフリカなどでは救急車として過酷な環境の中で人々の命をつないでいます。「70があるから送れる生活があり、会える人がいる、他に代わるクルマがない。」そういうクルマだと思います。だからこそ、どんな道でも生きて帰ってこられるために、信頼性、耐久性、悪路走破性が必要なのです。大きな期待は時としてプレッシャーにもなりますが、その性能をご評価していただき、乗り継いでいただけることは本当にありがたく思います。今後もお客様の期待に応える70づくりを、現地現物でやっていく。その信念はブラさずに開発していきたいと考えています。

畠中 主任

海外からの期待はとても大きいですよね。私が中東に行った際に、現地で70や200など、たくさんのランドクルーザーが街中を走っていました。現地でタクシーに乗車したのですが、ドライバーから「日本人か?」と質問を投げかけられ、「ランドクルーザーをつくっているトヨタに感謝したい」という熱い言葉いただきました。ちょうどその時にランドクルーザーの開発に関わり出した時期だったので、本当に海外から評価を受けているクルマなのだと実感し、誇らしい気持ちになりました。この気持ちを忘れず、これからもよりよいものをつくっていきたいと思います。

藤田 主幹

私自身ランドクルーザーを所有しているので、オーナーズミーティングに参加させていただくこともあります。そこでは、70だけでなく、40などもまだまだ現役で走っています。オーナーの皆さんの“ランクル愛”を感じ、本当に感動します。ご愛好いただいていることへの感謝を胸に、これからも70の歴史を刻んでいきたいですね。

LAND CRUISER 70 40th Anniversary

CROSS TALK Vol.01

唯一無二を
切り拓く者たち

先代の想いをつなぎ、世界の期待にこたえる。

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