CASE#4

日栄印刷株式会社
取締役社長
山本 欣志 様

経営者目線で考える
「MIRAIの未来」と水素社会

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多趣味な人は一般的に、新しい挑戦に対してのハードルが低い。「気になることはとにかくやってみる」というマインドの持ち主が多く、チャレンジ精神が旺盛だ。

横浜市で印刷会社を営む山本欣志さんが、まさにそうだ。

「身体を動かしていないとダメなんです。大学も体育学科でしたしね」

そう言って笑う山本さんは、靴や時計のコレクターとしての顔を持つ一方で、スポーツ全般への興味も尽きない。月2回のゴルフ、高校時代は俊足の二塁手として鳴らした野球、そして日々のジョギングとロードバイクは、トライアスロンの大会に出場するためのトレーニングの一環でもあるという。今年で69歳とは思えないほどアクティブだ。

クルマへの強い関心は、現在社長を務める『日栄印刷株式会社』の創業者である父と、二代目の社長だった兄の影響が小さくない。

「物心ついた頃から、いつもクルマが身近にありました。
記憶にある最初のクルマは父の『コロナRT20』。
新しい印刷機器の導入も早かった父は、
その頃から『トヨグライド』という当時では珍しい
日本初のトルクコンバータ付き
オートマチックトランスミッションを搭載したクルマに乗るなど、先進性に富んだ人でしたね。
運転免許を早く取りたいなと思ったのは、
兄のスポーツカーの助手席に乗って、港の見える丘公園に行った時かな。
ジェットコースターより断然面白いなって(笑)」

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「僕は結構、慎重派なんです」と本人は言うが、そうした時代を先取りする感覚は少なからず受け継がれている。これまで様々な車種を乗り継ぎ、A級ライセンスも取得してサーキットを走った経験もあるという大のクルマ好きが、MIRAIのオーナーとなったのも、いわば自然の流れだったのかもしれない。

興味をくすぐられたのは、やはり「水素で走るクルマ」という点だ。

「展示会で見て、まずスタイリングがいいなと思いました。
きれいなラインだなと。あとは20インチのホイール。
あれはインパクトがありますよね。
ボディは大きいけど、全体のバランスがいい。
でも、購入に至った一番の理由は、水素。
FCスタック(水素と酸素から電気を生み出す装置)とはどういったもので、どうやってモーターを回すのか。
クルマ好きからすると絶対に興味はありますよ」

・・・・・・

では、実際の乗り心地はどうなのか。現在は仕事と日常使いの両方で活躍中だ。

「出足がいいですね。
タンクなどのFCシステムが下にあるからか操縦安定性が高く、
コーナリングも思った以上に良くて驚きました。
音は静かというか、しないですね(笑)」

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MIRAIのハンドルを握るようになって、環境面への意識も高まったという。

「最初は全然気にしていなかったんです。
でも、車内のディスプレイには『空気清浄メーター』があるので、
それこそ走れば走るほど空気をきれいにしている感覚は、自然と芽生えてきますよね。
もちろん僕一人が乗っているからって、劇的に環境が良くなるわけではないんでしょうが、そういう意識を持つこと自体が大事なんだと思います」

一方で、経営者的な判断も、購入の動機付けになったようだ。

「お得意先に対して、新しいものを取り入れているアピールはもちろんあります。
環境に配慮したFCEVに乗っていれば、やはり悪い印象は与えませんからね。
『あ、これがMIRAI?』って、よく声を掛けていただけますよ」

確実に納期を守り、より良いサービスをお客様に提供することを社是とする日栄印刷。「決して大きな会社ではありませんが、提供する品質やサービスが劣っているとは思っていません」と、山本さんは胸を張る。あの会社に任せておけば安心だ──。そんな信頼を獲得する一助に、MIRAIがなっているのかもしれない。

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「FCEVとして、二代目MIRAIの完成度は極めて高い」という山本さんは、MIRAIのさらなる普及を願ってやまない。それはまさしく経営者的な視点からの提言でもある。

「赤信号で停まると、それこそ舐めるように見られることがあります(笑)。
そういった時代を先取りしている優越感も、
皆さんがMIRAIを購入する動機のひとつだと思います。
でも裏を返すとそれは、
まだMIRAIが珍しいクルマだと思われている証拠でもあると思うのです。
オーナーになって、水素への関心は間違いなく高まりましたが、
脱炭素社会を国策として推進するなら、まずはインフラの整備でしょうね。
鶏が先か、卵が先かじゃないですけど、いくらいいクルマを作っても、
水素ステーションの数が増えなければ、宝の持ち腐れです」

さらに、山本さんは今後のMIRAIについてもこんな提言をしてくれた。

「私の場合、国と地方自治体から多くの補助金が出たことも
購入の後押しになりました。
あとは外部給電機能のようなメリットも、もっと謳っていい。
災害時の電気供給源としてMIRAIを活用することも可能ですからね」

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山本さんが、本気でMIRAIの普及を、ひいては脱炭素社会の実現を考えていることがひしひしと伝わる。

「MIRAIというクルマの一番の魅力は、やっぱり水素で走るクルマだということ。
これからMIRAIが普及すればするほど、
水素社会というものを、もっと多くの人に身近に感じてもらえると思っています。
ですからそのためにも、インフラの整備を急いでほしいんです」

今後、水素ステーションがさらに拡充していけば、「まだ遠乗りはしたことがない」という山本さんとMIRAIの付き合い方も、少しずつ変化していくのだろう。トライアスロンの大会へ、MIRAIと──。そんな日も、きっと訪れるはずだ。

2021年6月取材

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