走行性能
プラットフォーム
TNGA*というプラットフォームをもとに、思いのままに操れる楽しい走りを追求。FCシステムの最適な配置と合わせ、理想的な前後重量配分を実現。軽量・高剛性ボディに加え、サスペンションの入念なチューニングなどにより、路面に吸いつくような、気持ちの良い走行フィーリングを可能にしました。
ドライバーズセダンとして高い運動性能を発揮するために、その基礎となるプラットフォームのクオリティを追求しました。MIRAIは、TNGAに基づく低重心パッケージを採用し、さらにFCスタックなどのパワーユニットをボンネット下に配置することで、車両全高をローダウン。重心を限りなく低くすることで車両姿勢の変化を減らし、優れた操縦安定性を確保しています。
思いのままに操れる楽しい走りを目指し、MIRAIのFRプラットフォームでは慣性諸元(重量物の配置により決まる重量配分や慣性モーメント)にもこだわりました。重量物であるパワーユニットや高圧水素タンクの最適レイアウトに加え、フロントオーバーハングを切り詰め重心位置を中央に設定することで、前後重量配分と慣性モーメントを最適化。旋回時や減速・加速時において、自然で滑らかな車両挙動をもたらします。
燃費にも大きく影響する空気抵抗の低減に向けて、フェンダーライナーをはじめとしたボディパーツなど、空力性能を高める形状としました。さらに、アンダーボディも床下全体をフルカバー化し、床下整流も徹底。空気の流れをスムーズにすることで、低燃費に貢献しながら優れた操縦安定性の確保にも寄与します。
環状骨格構造をはじめ、結合剛性を高める「レーザースクリューウェルディング(LSW)」や構造用接着剤の接着範囲拡大などにより、ボディ剛性を強化しました。さらに主要骨格部材に、アルミ材や超高張力鋼板(ホットスタンプ材*)を採用することで、強度を追求しながら軽量化も両立。ボディのねじれ現象を抑制するなど、ドライバーのステアリング操作にクルマが素直に応える走りを実現します。
ステアリングの切り始めから手応えのある、リニアなハンドリングをもたらすために、ハイマウントマルチリンク式(フロント)とローマウントマルチリンク式(リヤ)の各サスペンションを入念にチューニング。旋回時の横力に対する高い剛性を確保し、微小な操舵入力から優れた応答性を発揮します。さらに、ショックアブソーバーの摩擦特性を最適化し、しなやかな乗り心地と路面追従性を実現しました。
パワーユニット
トルクフルで力強い加速を誇りながら、驚くほど静かで滑らかなドライビングフィール。パワーユニットやモータードライブの高出力化、さらにボディ細部の静粛性を追求することで、胸のすくような新感覚の走りをもたらしました。
パワフルな加速を生み出すために、動力源である燃料電池ユニットのさらなる高性能化を追求しました。FCスタックをはじめ、FC昇圧コンバーターなどの各パワーコントロールユニットを小型・高性能化して集約。システムの高効率化を図るなど、燃料電池自動車において世界最高レベルの高出力を実現しました。
最高出力:128kW(174PS)
発進から最高速度まで途切れなくパワーをもたらす、最高出力134kWの高出力・高効率モーターを開発しました。そのレスポンスは、アクセルを踏み込んだ瞬間からトルクが立ち上がり、パワフルでスムーズな加速を全車速域で発揮。胸のすくような伸びのある走りが、かつてないドライビングフィールをもたらします。
最高出力〈ネット〉:134kW(182PS)以上
最大トルク〈ネット〉:300N・m(30.6kgf・m)
大容量リチウムイオンバッテリーを採用し、軽量・小型化を図りながら高出力化を実現しました。減速時に回生エネルギーで充電し、加速時にFCスタックの出力をアシストするなど、パワフルで高効率な走りに貢献します。
MIRAIのパワートレーンとなる、トヨタフューエルセルシステム(TFCS*)。動力源であるFCスタックをはじめ、システムを一新することで高出力・低燃費化を両立するとともに、高圧水素タンクの容量をアップするなど、航続距離を大幅に向上させました。
水素と酸素をFCスタックに取り込み発電。その電気でモーターを駆動させて走ります。
FCスタックと駆動用バッテリーの2つのエネルギー源を使い分け、モーターを駆動し、パワフルで高効率な走りを実現します。
充電・給電
ゼロエミッション*からマイナスエミッションへ。MIRAIは走行中のCO2排出ゼロはもちろん、発電のために吸い込んだ空気をフィルターでろ過し、浄化された空気を排出。PM2.5などの大気汚染物質まで取り除くので、走れば走るほど空気をクリーンにします。
発電のために走行時に空気を取り入れるMIRAIの特徴を活かし、吸入した空気をきれいにして排出する空気清浄システムを開発。ダスト除去性能を高めたエアクリーナーに加え、化学物質を除去しPM2.5の発生を抑制するケミカルフィルターを搭載することで、走るほどに大気を浄化するマイナスエミッションを実現しました。
地球温暖化を防ぐためには、温室効果ガスの一種であるCO2の放出を抑える必要があります。走行時、ガソリンなどの化石燃料は燃焼し、エネルギーとなる過程で、どうしてもCO2を発生させてしまいます。それに対し、水素には炭素が含まれていないのでCO2排出はゼロ。とてもクリーンです。
12.3インチ高精細TFTワイドタッチセンターディスプレイに、マイナスエミッションを見える化する空気清浄メーターを設定。走ることできれいにした空気量を示す「空気清浄量積算表示」や「エアピュリフィケーションゲージ」など、環境への貢献をグラフィック表示や数字などでわかりやすく示します。
発電により発生する水は、通常は排水管から自動的に排水されます。ウォーターリリーススイッチを活用すれば、ドライバーの好きなタイミングで排水することもでき、駐車場内などで排水量を減らせます。また、「ナビ連動排水機能」を使用すれば、スイッチを押さなくてもナビと連動して自宅に到着する前に排水できます。
走りの快適性
エンジンレスのモータードライブであることに加え、振動・騒音を抑える高剛性ボディ、そしてドアや窓、フロアアンダーカバーから天井に至るまで、吸音・遮音対策を実施。ボディ細部にわたり、静粛性へのこだわりを惜しみなく投入することで、高速走行時でも驚くほど静かなドライビングを叶えます。
ドライバーのアクセル操作に応じたサウンドを電気的に生成し、オーディオ用スピーカーから出力。力強いサウンドを室内に響かせ、ドライビングの高揚感を演出します。
[Z“Advanced Drive”、Zに標準装備]