スポーツカーではなく「スポーティー・パーソナルカー」を、というコンセプトから開発が始まったMR2(AW-11)は、あらゆるユーザーに対して気軽にドライブを楽しんでもらうことを目的としたクルマだった。しかし、時代とともにユーザーのニーズも移り変わり、MR2は、進化するたびにハイパワー化されていった。その顕著な例が、発売が開始されて2年後にスーパーチャージャーが搭載されたモデルが登場したことだろう。 さらに、バブル景気期に発売された2代目MR2(SW-20)は、「動力性能の点では、日本で一番早い加速力のあるスポーツカーにする」「ライトウェイトから脱皮して、ミディアムスポーツカーへ進化させる」というコンセプトから、排気量は前の、1500・1600ccから2000ccになり、ターボも搭載した。 |
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しかし、時代はさらに変わった。時代のニーズは、「環境」がキーワードとなり、クルマにおいても、それは例外ではなかった。大きなパワーを競うのではなく、低公害やリサイクルが開発における大きなテーマの一つとなったのである。トヨタでは、MR2の新世代のクルマが検討されていたが、開発にあたっては、MR2(SW-20)の後継車というものではなく、「人が楽しむためのクルマ」ということを改めて考え直すことになる。その結果生まれたのが、MR-Sなのである。 | ||
| このように時代背景と密接に関係があるMR2とMR-Sの2台は、当然、開発時における方針も大きく違いがあったはずである。データファイルでは2台のコンセプトやスペックの違いについて紹介しよう。 |