GRヤリス

走行性能

01

GR-DAT

GAZOO Racing Direct Automatic Transmission(GR-DAT)トヨタ初*1

実戦で鍛え、つくり上げられた新型8速AT。

この新開発ATは、GRヤリスの「1.6Lターボ×4WD」を楽しみ尽くすために生まれました。

老若男女誰しもがGRヤリスのドライビングプレジャーを体感できるATは、まさに今までの流れを一転させる「ゲームチェンジャー」に他なりません。そこにはサーキット走行やモータースポーツ参加のハードルを下げ、裾野を広げていきたい、というモリゾウの熱き願いが込められています。また、MT同様の感覚で走れるレーシングなATとして、タイムアップを狙うドライバーの満足にも応えるとともに、余裕ある運転操作によって、より速く走れる環境を提供します。

そんな新たなATの開発は、過酷なレースの現場が舞台となりました。2022年にトヨタの早川副会長が開発ドライバーとなりTGRラリーチャレンジに実戦投入されると、2023年からはプロのラリードライバーが全日本ラリー選手権に参戦し速さを追求。さらに、同年9月にはスーパー耐久シリーズでモリゾウが自らステアリングを握るなど、プロドライバーとジェントルマンドライバーがそれぞれ実戦でクルマを徹底的に鍛え上げました。そして壊しては直し、また走らせることで、より多くの人が楽しめる速さと信頼性を獲得するに至ったのです。

高性能スポーツ8速AT

世界トップレベルの変速スピード(Mモードシフトアップ時)を目指し、シフト操作に気を取られずステアリング、アクセル、ブレーキの運転操作に集中でき、スポーツドライビングの楽しさを広げる、ATモデルを新開発しました。

・高耐熱摩擦材(変速スピード実現のため耐久性向上)
・新高応答小型リニアソレノイド
・シフト最速化のため工場内でシステム特性調整
・MT同等のギヤ比設定(6速までMT同等+7、8がオーバードライブ)
・1.6Lターボエンジン用トルクコンバーター
・トルセン®LSD*2*3

6MT→GR-DAT(8AT)への多段化とクロスレシオの採用

Dレンジのままで速く走る

SPORTモード時は、ドライバーの意思を読み取ることで、プロドライバー同等のギヤ選択をDレンジで実現。これにより、シフト操作によるタイムロスを低減し、誰もが性能を引き出しやすくなります。

ローンチスタート制御*4

最大効率での発進が可能に。

ローンチスタート制御を採用し、車両停止状態からの力強い発進加速を実現。ローンチスタート制御がアクティブの時は、通常のストール発進よりもエンジン回転数が高くなります。

02

GR-FOUR

アクティブトルクスプリット4WDシステム

“GR-FOUR”としてトヨタスポーツ4WDのDNAを継承。

あらゆる路面状況において4輪へのトルク配分を即座に制御し、トラクションを余すことなく路面に伝達。発進から高速域までの幅広い速度域で、ダイレクトな操作フィールを可能にします。強烈なGが加わるコーナーでは4輪で路面をしっかりグリップ。前後輪に最適なトルクを与えることで鋭く旋回、ドライバーの意思に応じた車両姿勢へとクルマを自在にコントロールできます。スーパー耐久シリーズ、全日本ラリー選手権からフィードバックしたさまざまなノウハウを惜しみなく投入することで、トヨタ独自開発のスポーツ4WDとして運動性能を、さらに高い次元に引き上げています。

03

動力性能

1.6L 3気筒ターボダイナミックフォースエンジン(スポーツ)

勝利のために求められた、出力・トルクの向上。

WRC競技でのエンジン使用領域を分析し、ラリー常用域で最大の性能が出せるボア×ストローク(φ87.5×89.7)を決定。あらゆるシーンでリニアに応える高レスポンスを実現しています。さらに全日本ラリー選手権参戦で求められた戦闘力の向上に対応するため、ピストンなどが壊れるまで負荷を加えてエンジンの限界性能を確認。その原因を解析し対策を実施することで、出力・トルクの向上を実現しました。また、オイルクーラーを多段化して冷却性能を向上し、高負荷走行可能時間を延長しています。

■軽量かつ高出力の追求
アルミダイカスト製シリンダブロックの浅底ウォータージャケット化と細径ヘッドボルト化に加え、中空組立カムシャフトを採用。運動部品であるピストン、クランクシャフトも高精度な最適設計で軽量化し、高レスポンスを追求しています。また、全日本ラリー選手権参戦で得られた知見から、ピストンの材質変更と排気バルブスプリングの強化などを行い、高出力化を実現しました。

■高レスポンスを追求したターボシステム
大型ターボ採用の背反であるレスポンス向上対策のために、トヨタガソリンエンジンでは初*1のボールベアリングターボとアブレダブルシール構造を採用しました。通常時にはターボのウェイストゲートバルブを閉じて走行し、アクセルONと同時にターボラグなくトルクが出る制御もトヨタとして初採用*1しました。

1.6L TURBO

Maximum Power
224kW(304PS)/6,500r.p.m.

Maximum Torque
400N・m(40.8kgf・m)/3,250〜4,600r.p.m.

Power-weight ratio
GR-DAT(8AT):4.27kg/PS
6MT:4.20kg/PS

クーリングパッケージ*5

限界走行時でも安定的に高い性能を維持するための冷却対策。

エンジンの高出力化や新型8速AT「GR-DAT」の導入に伴い、さらなる冷却性能向上が求められました。スーパー耐久シリーズに参戦した際には、エンジンルームの冷却性問題によりモリゾウがアタック中に車両がコース上で停止してしまうトラブルが発生。しかし、現地現物で対策を行い開発に反映しました。その結果、空冷・水冷のATFクーラーを採用したほか、サブラジエーターやブレーキダクトなどを追加して冷却性能を高めています。

[A]サブラジエーター*6
従来のラジエーターと並列回路で追加し、車両右前方に配置。これによりエンジン冷却性能を向上し、高負荷での耐久性、連続走行を可能とします。

[B]コールドエアインテークダクト*6
インテークダクトの後方の排水開口部の形状を最適化した設計により、標準のインテークと置き換えることで、外気を取り込みやすくし、吸気温度を低減することでエンジンの性能を引き出します。

[C]インタークーラースプレー*2*6
スポーツ走行直前にインストルメントパネルのスイッチを押すとラゲージ内のタンクから水をインタークーラーに吹きかけることで吸気温度を低減。夏場など外気温が高い過酷な走行時でも、エンジン本来の高出力維持を可能にします。間欠動作の持続は、主な競技時間から150秒に設定しています。

[D]ブレーキダクト*2*6
[E]空冷ATFクーラー*7

大型エアクリーナー

高出力とスポーティなサウンドに貢献。

高回転時に空気量を増やし高出力化を実現。吸気音も増大させ、スポーティなサウンドを演出します。

縦引きパーキングブレーキ*8*9

競技中の使用性を向上。

引きやすいレバー位置への移設によって、ステアリングからパーキングブレーキまでの距離を近づけ、競技中の操作性を向上させることができます。

6速iMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)

スムーズな変速をアシスト。

iMTスイッチを押すと、6速iMTがスタンバイ状態になります。この状態で変速動作(クラッチ操作、シフト操作)を検出すると、変速後のエンジン回転数を合わせるように制御し、スムーズな変速をアシストします。

インタークーラースプレー*10

灼熱下のレースでも高出力を確保。

吸気の冷却部品であるインタークーラーに水をスプレー状にして吹きかけることで吸気温度を低減。夏場など外気温が高い過酷な走行時でも、エンジン本来の高出力維持を可能にします。

ドライブモードセレクト*11

走りのテイストを自由に選択。

ダイナミックな加速を楽しみたい時、穏やかに走りたい時、走行シーンやドライバーの気分に合わせて走りのテイストを選択できます。センターコンソール上に配置しているドライブモードセレクトスイッチで切替可能です。従来の4WDモードセレクトに加え、スポーツ走行と日常生活での使い勝手を両立するため、ドライブモードセレクトを新設定。CUSTOMモードではお客様のお好みや参戦するモータースポーツの特性に合わせ、電動パワーステアリング、パワートレーン、エアコンの設定ができます。

04

走りの追求

エアロダイナミクス

車両の運動性能を飛躍的に向上。

ラリーシーンでのダウンフォースの獲得を狙い、リヤスポイラーへと効果的に風が当たるよう、ルーフ後端を下げたアッパーボディを専用開発。さらに、フロントのロアスポイラーやカナード機能を持つコーナー部、ルーフとクォーターピラーまわりを絞り込んだリヤの造形により、ダウンフォースを増大。車速を増すほどにボディが路面に押し付けられ、コーナリングスピードが高められる特性を実現しています。また、WRCマシンと同様の手法でホイールハウスからボディに沿って空気を抜くことで、空力性能を向上。さらに、ボディ下面の広範囲をアンダーカバーで覆うことにより、空気抵抗をいっそう低減しています。こうしたエアロダイナミクスの開発は、TOYOTA GAZOO RacingのWRCチームの施設で繰り返し行われた風洞実験の結果と、彼らとの妥協のないコミュニケーションの積み重ねにより造り上げられています。

軽量化ボディ

異素材を組み合わせ軽さを追求。

フロントフードや左右ドア、バックドアにアルミ素材を使用して軽量化を図っています。またルーフには新工法のC-SMC*12を採用。炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の材料を用いることで、複雑な成形が可能となり、軽快なスポーツ走行に直結する大幅な軽量化と低重心化を実現しています。

■こだわりの重量バランス
補機バッテリーをラゲージスペース床下に配置。59:41の前後重量配分を実現しています。*13

高剛性ボディ

スポーツカーに求められる強靭さを装備。

従来モデルよりもホイールハウスやピラー、バックドア開口部まわりに専用の骨格構造を与えることで結合剛性を高め、優れたねじり剛性を確保。さらにボディ全体に使用する特殊な構造用接着剤の使用箇所を約24%拡大。スポット溶接も溶接打点の距離を短くし、約13%の打点増し打ちを行い部品同士の結合剛性を大幅に高めることで、ドライバー操作に対する高い応答性、高G旋回・高速走行での優れた操縦安定性を確保しています。

スポーツ4WDのためのプラットフォーム

俊敏さと力強さを両立。

GRヤリスでは、軽量・高剛性が特徴のプラットフォームをフロントに、リヤにはスポーツ4WDに求められるサイズや形、剛性、取付位置を確保するために、ひと回り大きなプラットフォームを組み合わせています。これにより、ハイパワー4WDの駆動力やハイグリップタイヤの入力を受け止め、さまざまな走行条件においても安定性、コントロール性に優れた足まわりを実現しています。

サスペンション(ストラット式フロントサスペンション/ダブルウィッシュボーン式リヤサスペンション)

タイヤの性能を引き出し、路面を捉え続ける。

フロントは軽量高剛性なストラット式、リヤには高い応答性とグリップ力を確保するダブルウィッシュボーン式を採用しています。サスペンションジオメトリを専用に設定し、リヤは高剛性なピロボールジョイントの採用などによってブッシュ特性、部品剛性を最適化することで、タイヤのグリップを引き出し、さまざまな路面状況での高いコントロール性を実現。さらにボディとフロントのショックアブソーバー締結ボルトの本数を1本から3本に変更し、操舵に対する車両挙動の応答性を高め、優れた操縦安定性に貢献しています。

グレード専用のサスペンションチューニング

プロドライバーとともに徹底的に探求。

スーパー耐久シリーズや全日本ラリー選手権などに参戦するプロドライバーとともに徹底的に磨き込まれたGRヤリスの足まわり。サスペンションの“味つけ”には、プロドライバーとマスタードライバーの息吹が吹き込まれ、グレードごとに異なる特性が与えられています。RZ“High performance”用は、サーキットを攻め込むことを念頭に、限界域での速さとコントロール性を追求。RZ用は、ワインディングからサーキットまで、幅広いシーンで極めて俊敏なGRヤリスのハンドリングパフォーマンスを引き出します。

ブレーキシステム*14

スポーツ走行時の制動力を確保。

RZ“High performance”とRZは、フロントアルミ対向4ポットキャリパー、リヤアルミ対向2ポットキャリパーに高μパッドを組み合わせ、高い剛性と耐フェード性を確保しました。ブレーキディスクはスリット入りの放熱性に優れた大径ベンチレーテッドディスクを前後に装着。さらにフロントは2ピース構造とし、内部構造に冷却性に優れたスパイラルフィンを採用することで、熱変形を抑えて安定した制動力を発揮させます。また、ドラム式を採用したパーキングブレーキを使うことで、巧みな車両コントロールが可能です。

GR Factory*15

匠の技が担う高精度な組み付け作業。

愛知県豊田市トヨタ元町工場のGR Factory。GRヤリスはそこで高技能者に認定された「匠」により、通常より時間をかけて一台ずつ高精度につくり上げられます。スポット溶接の打点増しや構造用接着剤の追加塗布などボディ剛性の強化に始まり、特にアライメントや車高など走りに影響を及ぼす項目に対しては、パーツをひとつずつ測定して最適な組み合わせになるようにパーツを選別して組み付けを行っていきます。モータースポーツの現場でプロドライバーによって鍛え上げられた走行性能を、極めて高い精度で製品化する。その最終工程を最先端の技術と匠の技が担っています。

05

サーキットモード

サーキットでしか味わえない特別な車両セッティングモード「サーキットモード」*16

アクティブトルクスプリット4WDシステム

“GR-FOUR”としてトヨタスポーツ4WDのDNAを継承。

あらゆる路面状況において4輪へのトルク配分を即座に制御し、トラクションを余すことなく路面に伝達。発進から高速域までの幅広い速度域で、ダイレクトな操作フィールを可能にします。強烈なGが加わるコーナーでは4輪で路面をしっかりグリップ。前後輪に最適なトルクを与えることで鋭く旋回、ドライバーの意思に応じた車両姿勢へとクルマを自在にコントロールできます。スーパー耐久シリーズ、全日本ラリー選手権からフィードバックしたさまざまなノウハウを惜しみなく投入することで、トヨタ独自開発のスポーツ4WDとして運動性能を、さらに高い次元に引き上げています。

EXPERTモード付VSC

走ることの楽しさを追求。

ドライブモードがSPORTモードまたはCUSTOMモードで、VSC OFFスイッチ短押し時にEXPERTモードが作動。自らの運転テクニックでサーキット走行を楽しめるよう、ドライバーによるコントロール領域を最大限に残しつつ、車両挙動が大きく乱れた場合には乱れを緩和させる制御が介入します。

トルセン®LSD*1*2

コーナー立ち上がりのトラクションを確保。

アクティブトルクスプリット4WDシステムの性能をさらに引き上げるトルセン®LSDをフロント&リヤデフに設定。常に変化する路面状況に最適なトルクを瞬時に配分し、コーナリングにおける鋭い立ち上がり加速や、安定したコントロール性能を確保します。

4WDモードセレクトスイッチ(NORMAL/GRAVEL/TRACK)

3つのモードから状況に合わせた走りを選択。

電子制御多板クラッチを用いたアクティブトルクスプリット4WDシステムにより、前後輪のトルク配分を「NORMAL(前輪60:後輪40)」、「GRAVEL(前輪53:後輪47)」、「TRACK(前輪60〜30:後輪40〜70で連続可変)」の3つの制御モードから選択できます。

■NORMALモード
[前輪60:後輪40]
静的な荷重配分に合わせた前輪寄りの前後駆動力配分とすることで、通常走行領域における旋回性能と安定性を高いバランスで両立。安心感のある走りが体感できます。

■GRAVELモード
[前輪53:後輪47]
加速時の荷重移動を考慮した前後駆動力配分で、トラクション性能を最大限に発揮することを狙ったモード。タイヤ摩擦円の限界領域でも4輪のトラクションを読みやすく、前へ車両を進める車両挙動としています。

■TRACKモード
[前輪60〜30:後輪40〜70で連続可変]
ドライバーの操作と車両状態に応じ、駆動力をフロント寄りからリヤ寄りまで連続的に可変させるモード。操舵に応答するフロントタイヤと、アクセル操作に応答するリヤタイヤのトラクションによるコントロール性を重視しています。

サーキットでしか味わえない特別な車両セッティングモード「サーキットモード」*1*2

抑えていた制御を解放し、車両の本来持っている性能をさらに引き出す「サーキットモード」。GPSによる位置測位より、サーキットに入ると全国のサーキット特性に合わせて、再加速時のアクセルレスポンスを向上させたり、国内主要サーキットでリミッター上限にかからないように車速を引き上げたり、車両の設定を変更できます。

スマートフォンを使用して、車両セッティング*1*2*3

サーキットモードのON/OFF切替や各種設定変更は、スマートフォンアプリで操作。GRヤリスのポテンシャルを引き出す各種制御変更、その場で細かなセッティングを行うことができます。

主なセッティング変更項目*2

サーキットモード専用メーター表示*2

エンジン回転数やメーター画面上部のLEDインジケーター等の専用表示により、車両の状態やシフトアップタイミングなどをドライバーへ視覚的に伝達し、サーキット走行をサポート。
サーキットモードの詳細はこちらから