THE CROWN 福岡天神 presents 水素エネルギー×モビリティサミットを開催 THE CROWN 福岡天神 presents 水素エネルギー×モビリティサミットを開催

Photo by Keiko Tanabe

EVENT REPORT

THE CROWN 福岡天神 presents 水素エネルギー×モビリティサミットを開催

2024.05.02

3月30日(土)、福岡トヨタ(クラウン専門店『THE CROWN 福岡天神』)にて脱炭素社会の実現に向けて水素活用の理解を深めるイベント『水素エネルギー × モビリティサミット』 を開催した。
本イベントは産官学が一体となり福岡における水素啓発に取り組むこと、また、FCEV(燃料電池車)普及によって水素利活用の輪を広げることが目的だ。

今回はその模様をお伝えしたい。

水素エネルギーの普及によるモビリティ社会への役割

今回のイベントの主催である福岡トヨタ 金子社長の挨拶より、第1部のトークセッションが始まった。テーマは「水素エネルギーの普及がモビリティ社会にどういった役割を果たしていくのか、また水素エネルギーの利活用の輪を地域に拡げていく意義」について、産官学の有識者をお招きして、ディスカッションが行われた。


司会は福岡トヨタ自動車の佐々木が、ファシリテーターは水素エネルギーの利活用の促進、水素エネルギーを活用した街づくりなど、様々なプロジェクトを推進されている日本総合研究所の東 博暢氏のもと進められた。

カーボンニュートラル社会の実現に水素エネルギーは必要不可欠

まずは水素研究の第一人者である九州大学 佐々木副学長が、水素への想いを語った。

「日本では発電の際、または燃料や原料を使う際に多くのCO2を排出しています。燃料を使う代表的なところでいうと、乗用車・商用車・トラック・バスなどのモビリティ。
この課題を解決するキーテクノロジーが水素なのです。

水に電気をかけると水の分子がばらばらになり、水素と酸素ができる。それを逆にするときには、水素と酸素が反応して水へ戻る。そのときに電気ができるということになります。まさにこれをやっているのが、水素で走る燃料電池自動車です。再生可能エネルギーである水素をうまく作りながら、そして足りないところは補いながら、うまく水素社会をつくっていけたらと考えています。」

日本市場におけるクラウンFCEVの意義

次に、トヨタ自動車 MIRAI・クラウンのチーフエンジニア 清水が語った。

「トヨタは脱炭素社会の実現に向けて、エネルギーの選択肢を1つに絞らない「マルチパス」の考え方をしていますが、その中でも水素エネルギーは重要視しています。燃料電池の開発には30年以上もの歴史があり、初代MIRAIに続き2代目MIRAI、クラウンFCEVへと進化を遂げてきました。MIRAIで培った優れた走行性能を継承しながら、クラウンのブランド力を活かして水素社会の牽引していくことを目指した車がクラウンFCEVです。」

水素で発電した音の立ち上がり、スピード感、生々しさに驚いた

燃料電池車のユーザーとしてだけでなく、アーティストとして表現の場でも水素電気を活用しているというSUGIZO氏は「表現や音楽の世界」における水素の可能性について次のように語った。

Photo by Keiko Tanabe

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「表現や音楽の世界で僕らは電力を必ず使います。その電力が化石燃料由来だと環境に悪影響を与えてしまいます。そこで、水素燃料電池で発電し、コンサートを運営するというアイデアが生まれました。実際に実験として水素燃料電池自動車で発電した電力を用いてコンサートで演奏してみたら、驚くほど音が良かった。水素燃料電池は目の前で発電するため、電気の鮮度が抜群なんです。音の立ち上がりが速く、劣化やノイズがないので、クリアでパワフルな音を表現できます。環境にも音質にも良い水素で発電した電力。これからもアーティストとしてみなさまと協力しながら、水素社会の実現を目指していきたいです。」

Photo by Keiko Tanabe

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水素社会の実現に向けて水素リーダー都市プロジェクトを推進

市をあげて水素リーダー都市プロジェクトを推進している福岡市の中村副市長から、行政から見たFCEVの可能性を語っていただいた。

福岡市は『水素リーダー都市プロジェクト』を通じて、市民の皆様に水素を身近に感じてもらうための取り組みを行っています。具体的には、世界初の下水を原料とした水素ステーションを立ち上げ、FCEVへの充填を実現しました。また、給食配送車やごみ収集車、救急車などのFCEVを導入しています。水素社会の実現を目指し、需要と供給を同時に拡大する取り組みを進めてまいります。

工場内での水素エネルギー活用、レーシングカーへの水素燃料供給

トヨタ自動車九州環境プラント部 弥永部長からは、実際に企業内で水素エネルギーを活用している事例が発表された。

当社では、再生可能エネルギーから製造した水素の利活用に積極的に取り組んでいます。太陽光発電で作った水素を燃料電池フォークリフトの運用に使用しています。また、水素エンジン車レースにおいて、地元で生産された水素を提供するなど、他社とも連携しながら水素利用を広げる活動を行っています。これらの取り組みは当社単独では成し遂げられるものではなく、仲間企業との協力があってこそ可能なのです。

地域と連携した福岡トヨタの取り組み

最後に福岡トヨタ自動車 金子社長より、地域と連携した取り組みについて紹介があった。

私たちは福岡マラソンなどと連携し、環境に優しい車があるんだということを広めることと、福岡県内の各市町村と包括連携協定を結んで、災害時に給電できる燃料電池車を提供しています。こうした取り組みを通じて、しっかりと燃料電池車の普及、そして地域を守る活動に取り組んでいます。

最後に日本の水素社会実現に向けた力強いメッセージで第1部のディスカッションパートは締めくくられた。

イベント運営の電力の大半をMIRAIやMoving eで賄う

今回のイベント運営における電力の大半は、MIRAIやMoving eを活用し、水素で発電した電力を音響設備・照明・映像・報道機関向けの機材などへ提供した。
イベント会場自体も水素を中心として運営されていたことは注目すべきことだ。

水素社会実現に向け取り組む企業や教育機関の参画

本イベントではトークセッションだけではなく、水素社会実現に向け、様々な取り組みを行っている教育機関や複数の企業がブース出展をしていた。

九州大学は産官学地域連携で水素利用社会の実現を目指す『九大水素プロジェクト』の取り組み内容について出展いただいた。

九州大学は産官学地域連携で水素利用社会の実現を目指す『九大水素プロジェクト』の取り組み内容について出展いただいた。

トヨタ自動車九州株式会社からは、工場における水素利活用を紹介するパネルが展示された。

トヨタ自動車九州株式会社からは、工場における水素利活用を紹介するパネルが展示された。

トヨタホーム九州株式会社からは、V2Hスタンドの特徴や導入事例を紹介するブースが設けられた。

トヨタホーム九州株式会社からは、V2Hスタンドの特徴や導入事例を紹介するブースが設けられた。

UCC上島珈琲株式会社からは、水素で焙煎したコーヒー『水素焙煎コーヒー』がふるまわれた。

UCC上島珈琲株式会社からは、水素で焙煎したコーヒー『水素焙煎コーヒー』がふるまわれた。

フォンタナからは、Moving eから電力供給した水素グリラーで焼いたお肉や野菜がふるまわれたのだが、水々しくとても美味だった。

フォンタナからは、Moving eから電力供給した水素グリラーで焼いたお肉や野菜がふるまわれたのだが、水々しくとても美味だった。

トヨタL&F福岡株式会社からは、水素を燃料としてCO2を一切排出しない次世代のエコ・フォークリフトが展示された。

トヨタL&F福岡株式会社からは、水素を燃料としてCO2を一切排出しない次世代のエコ・フォークリフトが展示された。

福岡市からは、水素で発電し、電力供給もできる燃料電池バス「Moving e」が展示され、会場への電力供給も行われていた。(Photo by Keiko Tanabe)

福岡市からは、水素で発電し、電力供給もできる燃料電池バス「Moving e」が展示され、会場への電力供給も行われていた。(Photo by Keiko Tanabe)

MIRAI SPORTS CONCEPT&クラウンFCEVカットボディも特別展示

イベント会場の傍らには、現行「MIRAI」をベースにスポーツモデルとして作り上げられたコンセプトモデルのMIRAI SPORTS CONCEPTと合わせて、クラウン FCEVの機能説明のためにボディの一部を切断したカットモデルも特別展示された。

またイベント会場の2F「THE CROWN 福岡天神」では、クラウン(セダン) のFCEVモデルが展示されていた。今回のイベントのテーマが『水素エネルギー』のため一層存在感を示していた。

イベント参加者は、各発表に熱心に耳を傾け、ディスカッションパート終了後も活発な意見交換が行われた。水素社会実現に向けた課題は依然としてあるものの、関係者の士気は高く、未来への確かな手応えを感じさせる充実した時間となった。

今回の水素エネルギー×モビリティサミットは、水素社会実現に向けた産官学の連携を強化し、未来を創造するための重要な一歩となった。行政、研究者、技術者、企業人が一丸となって取り組み続けることで、カーボンニュートラル社会はきっと実現するだろう。

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福岡県福岡市中央区渡辺通4丁目8-28 FTビル 2F

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