EV(電動車)の普及とともに充電スタンド(充電スポット)の設置数は増加しています。今回は、普通充電器と急速充電器の違いや充電スタンドの探し方、利用料金について詳しく解説します。自宅に充電スタンドを設置する場合の補助金についても説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
EV(電動車)充電スタンドの種類・設置場所
EV(電動車)の充電器には、普通充電器と急速充電器の2種類があります。
2種類の充電器の違いと設置場所について詳しく解説していきます。
【種類】普通充電器と急速充電器がある
普通充電器と急速充電器の主な違いは、以下の通りです。
| 出力 | 充電時間 bZ4X(Z FWD)の場合 |
特徴 | |
|---|---|---|---|
| 普通充電器 | 200V 6kW(30A) | 約13時間*1 200V 6kW(30A)の場合 |
一定速度で充電 |
| 急速充電器 | 50~150kW | 約28分*2 150kW(350A)(スタンド)出力の場合 |
満充電に近づくと 速度が落ちる |
- 駆動用電池充電警告灯の点灯から満充電までのおおよその時間。
- 駆動用電池充電警告灯の点灯から約80%までのおおよその時間。急速充電器(スタンド)が複数台同時充電する場合など、出力抑制され充電時間が長くなる場合があります。
EVの普通充電器と急速充電器の違いは出力数にあります。
普通充電は一般的に3kw~6kwの出力で、時間をかけてゆっくり充電する方法です。自宅や外出先での用事の合間に充電するときに利用します。一方、急速充電は一般的に50~150kwの高出力で、30分程度で充電を完了できます。長距離移動の合間やトラブルなどで急いで充電するときに便利です。それぞれの特性を踏まえ、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
普通充電器:自宅、商業施設、ホテルなど
EVの普通充電器は、充電に時間がかかるため、自宅や商業施設、ホテルなど長時間駐車が想定される場所に設置されるのが一般的です。
戸建てやマンションであれば、帰宅後翌朝まで充電しておくことが可能です。カーディーラーやショッピングセンターなどの商業施設では、顧客の利便性を考慮して設置されていることが多く、買い物などの間に充電することができます。さらに、ホテルなど宿泊施設でも宿泊客のために設置されることも増えています。
急速充電器:SAやPA、道の駅、SSなどの充電ステーション
EVの急速充電器は、高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)、道の駅などの長距離移動の拠点となる場所に設置されています。移動中に食事や休憩を取りながら充電できるため効率的でしょう。
また、ガソリンスタンドに充電ステーションとして併設されるケースもあり、滞在時間が短い施設で多く利用されます。急速充電は通常約30分で完了し、約160km走行可能です。
多数の人が利用できるように、充電時間が原則30分までと区切られることが多くなっています。
EVの充電スタンド(充電スポット)の探し方
EV(電動車)用充電器が設置されている場所は、「CHARGING POINT(チャージングポイント)」のマークで示されます。
普通充電器には「EV100V」や「EV200V」、急速充電器には「EV QUICK」と表示されているため、ドライバーは充電器の種類を簡単に識別可能です。
また、充電スタンドの位置を検索できる専用サイトやアプリを利用すると、現在地や目的地に近い充電スタンドを簡単に見つけられます。高速道路のサービスエリアや商業施設などの充電スタンドをドライブ前に確認しておくと便利です。
EV充電スタンド(充電スポット)の利用料金
普通充電器:約165円(30分あたり)
外出先での電動車の充電料金は、充電スポットや充電器の種類、支払い方法によって異なります。主な支払い方法はキャッシュレス決済です。6kW出力の充電器で充電したときの一般的な設定金額は55円/10分で、30分あたり約165円かかります。
たとえば、ホテルに滞在している間を利用して9時間充電する場合、料金は約2,300円です。充電スポットによって料金は変わるため、事前に確認しておきましょう。
急速充電器:1,650~3,000円(30分あたり)
EVの急速充電器は短時間で充電できるため便利ですが、料金は普通充電より高額です。
利用方法によって料金が異なり、充電カードを使った場合とビジター利用(充電カードを持たない場合)では料金体系が変わります。特にビジター利用では、30分あたり1,650~3,000円程度かかり、充電カードを登録している場合より高くなります。
急速充電は急いで充電する必要がある場合や長距離移動の途中での充電には便利ですが、料金を考慮して計画的に利用することが重要です。
急速充電は充電カードの利用がおすすめ
外出先で急速充電を利用する機会が多い場合、各自動車メーカーやe-mobility Power社が発行する「充電カード」が便利です。充電カードは事前に支払い情報を登録しておくことで、充電スポットをスムーズに利用できます。
たとえば、トヨタの「EV・PHV充電サポートカード」は、自社系列以外の充電器でも30分あたり1,980円で急速充電ができてお得です。充電カードの加入プランは、EV利用頻度に合わせて選ぶとよいでしょう。
無料で充電できる場所もある
中には、無料で充電できる充電スタンドも存在します。たとえば、自治体の庁舎や大手チェーンの商業施設などです。無料で提供される理由としては「集客のため」や「電動車や充電器の普及を促進するため」が挙げられます。
ただし、駐車料金がかかる場合や、施設利用者のみが利用できるなどの条件があるため、事前に確認しておきましょう。これらの情報は、EV充電スタンド情報サイトや専用アプリなどで検索できます。
日本のEV充電スタンド設置数の推移
日本全国のEV(電動車)用充電器の設置基数は、2023年3月時点で約3万基と、10年前の2013年の7,000基と比べると約4倍に増加しています。
しかし、これは中国の176万基や米国の12.8万基と比べるとまだ低い数です。日本政府は2021年に策定された「グリーン成長戦略」に基づき、2035年までに乗用車の新車販売を電動車100%とする目標を掲げています。
この目標の達成には、車両の普及とともに充電インフラの整備をバランスよく進めることが重要です。充電スタンドの設置は、特に高速道路のサービスエリア(SA)や主要な交通路沿いでの増加が見込まれています。2030年までに公共用の急速充電器を含む充電インフラを30万基設置するという日本政府の目標に向けて、さらに拡充することが期待されます。
自宅にEV充電スタンドを設置する費用
自宅にEV充電スタンドを設置する費用はどの程度かかるのか、気になる方も多いでしょう。ここでは、充電器のタイプ別で設置費用について詳しく解説します。
自宅用の電動車充電器は3タイプ
自宅用の充電スタンドの種類とそれぞれの設置費用は以下のとおりです。
| タイプ | 特徴 | 出力 | 設置費用の目安 (工事費用含む) |
|---|---|---|---|
| コンセントタイプ |
|
3~4kW | 10万円程度 |
| スタンドタイプ |
|
3~6kW | 20万円以上 |
| V2H機器タイプ |
|
6kW未満 | 50~100万円 |
多くの住宅で設置されているのは、コンセントタイプの充電器で、その設置費用は約10万円と最も安価です。
一方、スタンドタイプは、費用が20万円以上になり、公共施設や商業施設で多く見られます。自宅の壁と駐車場が離れていている場合に選ばれることも多いです。
V2H(Vehicle-to-Home)機器タイプは、設置費用が50~100万円と高額であるものの、災害などで停電が発生した際に電動車のバッテリーを家庭用電源として利用できることが魅力です。非常時においても家庭内の電力供給を維持することが可能になります。
設置工事は施工業者が現地調査を行い、通常半日から数日で完了します。
集合住宅であれば補助金の活用も可能
マンションなどの集合住宅に住む方は、国の補助金を活用して充電設備を設置できる可能性があります。たとえば、国が提供する「グリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」により、充電設備費は50%、工事費は100%補助が受けられ、設置費用を大幅に軽減できます。普通充電器の場合は最大で170万円の補助が受けられます。
マンションの理事会や管理会社と相談して、設置の検討を進めるとよいでしょう。
EVの充電スタンドの種類を理解して効率よく使おう
EV(電動車)の充電スタンドは、EVを充電するための設備です。ショッピングセンターや公共施設、サービスエリア(SA)などに設置されており、充電スタンドの数は年々増加しています。充電スタンドには普通充電器と急速充電器があり、料金や使い方も異なりますが、充電カードを利用すると外出先の充電に便利です。
トヨタのEV(電動車)は、環境に配慮した次世代の移動手段として注目されています。トヨタでは全国に充電スタンドを設置し、「EV・PHV充電サポートカード」を提供しています。充電カードを利用することで、スムーズな認証と支払いが可能です。
EVの購入を考えている方は、ぜひトヨタのEVをご検討ください。