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Pro Driver 三橋 淳 Photo
Pro Driver 三橋 淳 JUN MITSUHASHI

大砂丘を越え、川を渡り、荒野を疾走する「世界一過酷なレース」として知られるダカールラリー。最初はバイクで参戦し、現在はランドクルーザーに乗り、市販車部門ですでに3度の優勝を果たしているプロドライバー、三橋淳選手。世界的モータースポーツで頂点に立つ、数少ない日本人ドライバーに、ダカールラリーの魅力、そして相棒のランドクルーザー200 について聞いてみた。

地平線を見ながら走るのが好き
遠くへ行きたい。乗り物に乗れば誰もがそう思う。そして最初に自分で操作して乗るのは自転車。小さい頃はシングルスピード(ギヤなし)に乗るが、ギヤ付きに乗ると、操作も増え、楽しさも増える。
「マウンテンバイクが流行って、仲間と近所の裏山に行くようになって。ちょっとした探検ですね」自転車にバッグをつけ、旅に出るようになった。16 歳になると、自転車はバイクになり、旅のスケールが大きくなる。
「カウル付きのレーサーレプリカが主流でしたが、当時の僕はまったくレースに興味がなく、オフロードタイプのバイクにして、マウンテンバイクで走っていたことを、今度はバイクでするようになって。すると軽々と走れておもしろい」意外にも最初はレースに興味がなかったという三橋氏。知人に誘われオフロードレースに出てみても、のめり込むこともなかった。その代わりバイクで旅に出ることが増えた。
予想がつかない未来より、今を着実に生きる
バイクが好きで旅が好き。国内でエンデューロレースに出場すると、優勝するまでになった。するとその活動を海外まで広げたくなってきた。三橋氏のスタイルは、いきなり大きな夢にがむしゃらに向かっていくのではなく、着実に段階を踏んでステップアップしていく。
「僕の場合はいきなりパリダカということは考えませんでした。バイクが好きでオフロードを走ったらおもしろくて。レースに出て、少しずつ順位がよくなって。それでも遊び感覚で。でも結果が出なかったときに、ひとつだけでいいから、真剣に取り組んでみようと思ったんです、レースに」
UAE、モンゴルのラリーに参戦し、着実に経験を積んだ。そして2001 年1 月1 日、21世紀の幕開けとともに三橋氏のパリダカールラリーへの挑戦が始まった。3 年計画で挑み、すべて完走するだけでなく、プライベーターとしてトップ、総合12 位に入る快挙を成し遂げた。その後四輪に転向し、総合11 位に入るほどになり、日本を代表するプロドライバーとなった。
チームワークのよさで市販車部門を制覇
2007 年1 月、ランドクルーザー100 とともにダカールラリーのスタートポディウムに立った。長年ランドクルーザーで市販車部門に挑んでいる<チームランドクルーザートヨタオートボデー>のドライバーとして。市販車部門は、一般に販売されているクルマをベースに補強をしたり、レギュレーションに合わせた装備をする。市販車自体の基本性能がとても重要な部門。そこで市販車部門優勝を果たす。翌年の大会が中止となったため、ランドクルーザー100 にとってはダカールラリーのラストランとなったが、三橋氏はしっかり花を添えた。
「バイクの時代から、何でも自分でやってきましたが、このチームはランドクルーザーを知り尽くしたスタッフばかりで居心地がいい。役割分担が明確で、走ることに集中させてくれるので走りやすいです」メカニックからは、ドライバーとして絶大な信頼を得ている三橋氏。
ランドクルーザー100 と200 の違いとは
2009 年以降、舞台を南米大陸に移したダカールラリーでは、マシンはランドクルーザー200になり2 度の部門優勝をしている。
「ランドクルーザー100 は、低速トルクがあり、砂丘ステージで威力を発揮しました。ランドクルーザー200 は重厚感が増した分、砂丘ステージでは、テクニックを要しますが、その分硬いダート路面では、圧倒的な強さがあります。あとフロントサスペンションの動きが格段に向上していますね」
ランドクルーザー100 は、トーションバー式スプリングを採用していたが、ランドクルーザー200 はコイルスプリング式となり、路面追従性が飛躍的に向上している。
「プライベートでランドクルーザー40 も2 台乗り継ぎましたが、その時代と比べれば、世界中で道路の舗装率も上がり、アスファルトこそなくても村と村とをつなぐ道も整備されてきました。当然クルマもそれに合わせ進化していくので、200 の進化は当然だと思います。パワーがあり、ダートでもクルージングするのに最強のクルマになっていますね」
三橋氏がダカールラリーで出した最高速度は180km/h を超える。それでも三橋氏の意のままに走るランドクルーザー200。
ランドクルーザーを超えるのはランドクルーザー
「僕らのチームは市販車部門に挑んでいますが、ライバルとなるのは、同じトヨタのランドクルーザープラド。軽さを活かしたショートホイールベースのタイプです。砂丘では軽いランドクルーザープラドに有利ですが、その分ランドクルーザー200 はスピードを活かしています」現在、ダカールラリーの市販車部門には多くのランドクルーザーが参戦している。これは市販車自体の耐久性の高さの証明である。
ダカールラリーを愛する多くのプロドライバー、プライベートで参戦する挑戦者たちに、ランドクルーザーは選ばれている。<チームランドクルーザートヨタオートボデー>は13 度の部門優勝をしている。うち3度は三橋氏がドライブして勝ち得た。これからもダカールラリーでランドクルーザーとともに歴史に名を刻み続けていただきたい。

記事:寺田 昌弘