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Ocean Adventurer 白石 康次郎 Photo
Ocean Adventurer 白石 康次郎 KOJIRO SHIRAISHI

26歳のとき、ヨットで世界最年少単独無寄港世界一周を達成。以来、単独でヨットを操縦して世界を1周するレースに2度挑戦。2006年から2007年かけて開催された「5OCEANS」ではトップカテゴリーで準優勝する快挙を達成した海洋冒険家の白石康次郎氏。2012年、日本を代表する外洋ヨットのスペシャリストの白石氏は、水平線だけでなく、地平線を目指す冒険を初めて体験した。かつてオーストラリア大陸縦断を一名の死者も出すことなく初めて達成したスチュアート探検隊の軌跡を辿る冒険を、ランドクルーザー200を駆り、行ったのである。

距離に負けない好奇心を
子供の頃、海を見るのが好きだった白石氏。海を眺めるたびに思っていたこと。それは水平線の先、海の向こうにはどんな世界が広がっているのかということ。
「そう思ったらどうしてもこの眼で確かめたくなって。どれだけ危険かとか過酷とか余計なことを考える以上に好奇心が勝っていた。僕は素直に自分の好奇心に従ったんです。ただ日本は陸でほかの国とつながっていないから、海へ出たんです」
日本から海へ出て東に行けば、本当にアメリカがあるのか。さらに東に行けば、また日本に戻ってこられるのか。学校では習ったが、白石氏は自分の眼で、自分の力で知りたかった。
「船乗りになろうと思って水産高校へ行ったんです。専攻が航海士と機関士に分かれるのですが、僕は機関士、エンジンなど機関を学びました」
その頃、世界で初めてひとりでヨットに乗り地球を1周するレースがあった。日本人がクラス優勝したことを知り、電話帳で名前を調べて電話した。何事も自分の好奇心に素直に反応した。
やりたいことをしているからひとりでも楽しい
白石氏はひとりでヨットに乗り、すでに地球を3周している。しかしひとりが好きというわけではない。2008年にはサンフランシスコから横浜までの最速記録を狙うフランス人チームより誘いがあり、クルーのひとりとして外洋に出たこともある。全長33mの巨大なカタマラン(双胴船)に乗り、11日00時間12分55秒という世界新記録を樹立した。
「仲間と乗って挑戦するのも楽しい。ひとりで乗っているときは、同時にふたつのことができないし、交代もできない。精神的には励ましてくれる人もいないわけですから。
ただひとりでいると、いろいろ創意工夫するようになる。またマンパワーがない分、道具が大事になってくる」
使いやすい工具や通信機器など道具選びは細心の注意を払う。もちろん乗るヨットも。
「ヨットは配管や電気系統がどのようになっているか、床板を全部剥がして、自分で見て覚えます。こうすることで不具合が出てもすぐ直せるし、ここが壊れたら致命的だという判断がすぐできるようになる」
こうして機械とのコミュニケーションが、冒険には重要だという。
冒険とは大胆を慎重かつ繊細にやること
もうひとつ少年時代の白石氏に冒険心を湧かせたものがある。テレビ番組のひとつのコーナー「キャラバンⅡ」だ。カローラとクラウンワゴンの2台が、あるときはポルトガル・リスボンからユーラシア大陸を渡って東京まで走り、あるときはアラスカから南米最南端のフエゴまで走って、毎朝、世界の今を見せてくれた。また世界1周編ではカローラとともにランドクルーザーが走った。
「ブラウン管に映る世界の風景や人々を毎朝見るたびに冒険心をくすぐられました」
そして自分が世界中を冒険するようになったとき、気づいたことがある。
「冒険とは、大胆を慎重かつ繊細にやることだと。調子のいいときは直感のままに行きますが、人間たまには調子の悪いときもある。そういったときは、機械に従います。自分は迷っているので正確な判断ができない。だから機械や道具は使い勝手が大事だし、乗り物は性能のよさが大事。この間、オーストラリア大陸をランドクルーザー200で縦断したとき、あらためてそう実感しました。いいクルマですね」
過酷な大地で生活必需品となったランドクルーザー
アデレードからダーウィンへ。オーストラリアを南から北へ縦断したスチュアート探検隊の軌跡を辿りながらランドクルーザー200で走った。
「10日間、3400kmの旅でしたが、アウトバックに入ると、地平線がずっと続いていました。おそらく150年前、スチュアート隊が探検していたときと風景はさほど変わっていないのだと思います。悠久の大地をランドクルーザー200でクルージングするのは快適そのものでした」
今もなお文明を寄せつけない大地が広がるオーストラリア。それでもスチュアートハイウェイには、約500kmくらいの間隔を空け、小さな町があり、人が暮らす。内陸に入れば入るほど、現地の交通手段はクルマ。しかもランドクルーザーが多い。
「世界一大きな牧場のオーナーも、自慢げにランドクルーザーを見せてくれましたよ」
きっと日本人が来たから、コミュニケーションツールのひとつとして日本製品であるランドクルーザーを見せてくれたのだろう。
「砂漠やダートも走りましたが、路面の衝撃をうまく吸収してくれるので快適だし、本当どこでも走れますね。衝撃が少ないからロングクルージングも楽。ヨットも同じで性能の差が乗り手の疲労度に関係してくる。いい乗り物は遠くまで速く行ける。このランドクルーザーならどこまでも走っていけますね」
先人たちの挑戦に敬意を。これからの子供たちに勇気を
「スチュアートさんたちが未開の地を開拓したことで、人々はその恩恵を受けた。大自然のなかで探検を続けたスチュアートさんたちは、日々の実体験から経験を積み知恵をつけ、誰よりも成長し、得るものが多かったと思います」
都会には物が溢れていて、何でも手に入るという人は多い。しかし実際には、都会にないものが自然にはたくさんある。
「海や山、砂漠、風は人間が作ったものじゃないから神秘がある。ヨットは風が吹くから前に進める。こういった自然の恵みと人間の知恵との調和を、子供たちには実体験を通して体得してもらいたいですね。だから今、海や山に子供たちを連れて活動を始めています」
地球サイズで冒険する白石氏は、次のヨットレースを目指しながら、次世代へ向けた活動を加速させている。

記事:寺田 昌弘