RAV4 HEADZ HEADZ INTERVIEW

atelierBluebottle

辻岡慶・里奈

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辻岡慶・里奈

ハイカーに人気のガレージブランド「アトリエブルーボトル」の創業者。自分たちが“本当に使いたいと思うもの”“デザイン性と高機能性が両立しているもの”をモットーに、自らデザイン・縫製を行い展開している。
もともと山登りが好きで、欲しいバックパックに出会えず、自ら制作したことが創業のきっかけ。たとえ非効率でも“その人のための1本”を作るため、数か月待ちとなるが、共感し待ち焦がれる人が続出。

vol.2

使い込むほど味が出る
そんなカスタマイズを楽しみたい

  • 冬山道具一式を積んでも余裕の大容量

    ハイカーに人気のアウトドアブランド『アトリエブルーボトル』の創業者、辻岡慶さんがRAV4とともに旅に出たのは2月の中旬、目的地は那須、そして奥日光だった。残念ながら、今回はともにブランドを立ち上げた妻の里奈さんと2人のお子さんは、予定が合わずにお留守番となってしまったが、慶さんは友人と一緒に雪山でスノーシューを楽しんだという。

    「本当は磐梯山とか安達太良山に登りたかったんですが、風が強かったのであきらめました。それで、(東京との二拠点生活のために購入した)自宅のある那須から奥日光の戦場ヶ原まで足を延ばして、スノーシューをすることにしたんです」

    山登りが趣味の慶さんがRAV4でまず気に入ったのが、ラゲージスペースの容量の大きさだった。

    「冬の山道具一式となると、かなり装備が多くなるんです。男3人で行ったら、いつもはそれでパンパンになるんですけど、RAV4は余裕の大容量。まだまだ積めましたね

    その広さに満足したのは、運転席スペースも同じだ。身長190センチ。「コック帽が換気扇の風に飛ばされるし、キッチンが低すぎて腰が痛くなるし」との理由で、料理人になるという高校時代の夢を断念したほどの長身を、RAV4は難なく受け入れてくれた。

    小さい車だと膝がダッシュボードに当たったりするんですが、それがまったくない。だいたい僕が運転席に座ったら、後ろの人がほぼ座れなくなるんですけど(笑)、そこも余裕で広さを実感しましたね。車高が高くて視界もいいから、交差点で信号を覗きこまなくていいのも楽でした」

    その居住性の高さに加え、高速道路では「レーントレーシングアシスト」機能も有効活用することで、快適なドライブを楽しめたという慶さん。最初は「フワフワした感じ」だった軽いハンドルも、「これに慣れたら(現在所有する欧州車に)もう戻れないかも」と言って笑うほどお気に入りの様子だ。

  • 大ファンになった2人の子どもたち

    一方、今回遠出はできなかった里奈さんも、街乗りでRAV4の乗り心地を体感している。

    「車幅はあるけど視界が広いので、狭い道でもスムーズに走れました。運転が楽だし、例えば駐車場に停める際も想像していたよりとても簡単。細かいところまでよく行き届いたクルマだなって感じましたね」

    なかでもRAV4の大ファンになったのが、2人の子どもたちだという。

    「もう大好きになってしまって(笑)。お気に入りのポイントは、やっぱり広さ。天井も高いし、リヤの窓も大きいから、テンションが上がるんでしょうね。今乗っているクルマより、こっちの方がいいって、ずっと言ってましたね(笑)」

    「もう買い替えかな」。そう言って里奈さんが微笑めば、慶さんも「本当に考え込まれて作られた完成度の高いクルマだから、『ここをもっとこうしてほしい』っていうところがほとんどない」と話す。

    それでも、こだわりの物づくりで多くのファンに支持される2人である。今回うかがったRAV4のカスタマイズプランにも、いかにも彼ららしいディテールへのこだわりと独創的なアイデアが詰まっていた。ベースにあるのは、「クルマをより楽しむために、より快適に過ごすために必要なものは何か」という考え方。例えば、“匂い”の提案もその1つだ。

    「いわゆるクルマの芳香剤で、香りが良くて、オシャレなものってあんまりないんですよね。どこかとコラボしてつくってほしいな(笑)。特に子どもって匂いに敏案。ヒノキとか、木の香りがするディフューザー的なものがあったら、親としてはうれしいですね」

    ではここからは、辻岡夫妻流のRAV4カスタマイズ術を見ていこう。そこには山登りと自然が大好きで、クルマ選びのポイントが「見た目の可愛らしさ」という2人の好みが随所に散りばめられている。

  • 使い倒せてずっと愛せる“ハイカーズカスタム”

    ➀:ボディは自然に溶け込むアースカラーで
    外装の色は奥行きのない、マット系のカーキ。ざらっとした、アースな感じだったら、汚れも気にならなくていいですね。また、昔のクルマにあったような、レトロな雰囲気のサイドデカールをつけると、いいアクセントになってかっこいいと思います。

    ②:丸目好きの心をくすぐるフォグランプ
    さすがにヘッドランプを丸目に変えることはできないと思いますが(笑)、フォグランプを周りだけが光る“イカリング”にすれば、車幅灯を点けた時にちょっと可愛さが出ると思います。

    ③:カンガルーバンパーはあえて細身で
    みんなすごく太いカンガルーバンパーを付けたがりますけど、逆に細くて華奢なやつを付けたら面白そう。日本でカンガルーは飛んでこないですから(笑)。RAV4は見た目がいかついので、これで“ゴツカワイイ”イメージを出していけたら。本当に真っすぐでシンプルな棒が2本で、色は墨クロがいいですね。あと、必要はないかもしれませんが、リヤにもカンガルーバンパーがあったらいいかも。ちょっと足を掛けられるし、アウトドアではバックで岩とかにぶつける人も結構いますからね。

    ④:墨クロの鉄チンホイールで足元は無骨に
    ホイールはRAV4のカッコよさも残すために、鉄チンホイール(スチールホイール)に。ホイールってすぐ汚れるので、色はあまり汚れが目立たない黒。カンガルーバンパーに合わせてここも墨クロにすれば、バランスも取れそうですね。

    ⑤:登山靴の脱ぎ履きにも便利な引き出し式ベンチ
    ラゲージスペースの下から引き出せる、幅が40㎝くらいのベンチみたいなものがあったらうれしい。腰掛けられて、ちょっとした物が置けるスペース。山登りの時、ここに腰掛けて靴を履けると楽だし、車内も汚れない。トランクを締めた後に、仕舞い忘れた荷物を一時的に置いておけるのも、特に地面が濡れている場合は助かります。

    ➅:頭上から広い範囲を照らしてくれるバックドアライト
    ラゲージを跳ね上げたドアの先端部分に、スペース内だけではなく足元まで照らすような照射力の強いライトがあるといいですね。早朝の山登りでも、こうしたライトの明かりがあると準備もしやすいですし。形状はシンプルでいいんですが、できれば取り外して使えるようなライトが理想です。

    ⑦:ギアの忘れ物がなくなる機能的な収納カスタム
    ラゲージスペースの収納力は十分なんですが、もう少し機能性をプラスしたい。山に行った時に汚れたものや登山靴などを分類して置いておける小分けボックスがあれば、それこそ忘れ物もしなくなりそう(笑)。両脇のくぼみを有効活用して、小物や携帯トイレなどを入れるメッシュポケットを増設してもいい。日本人ってポーチ感覚で細かく分けて収納するのが好きですからね。あとは、ラゲージの天井部分にストックやピッケルを入れられるラックも設置したい。

    ⑧:大好きな山の木でつくる車内空間
    シフトレバー奥のオープントレイなどは、小銭もパッと置けてすごく使い勝手が良かったのですが、インパネ・ラバーは全体的にもうちょっとナチュラルな色にしたい。ステアリングやシフトレバーも含めてウッディな感じで統一したら、まとまりが出そう。木の香りのディフューザーと掛け合わせれば、車内にいながら自然を感じられる。そして、もしできるなら本物の木、例えば自分たちだったら、好きな山の木や那須の木を使いたい。きっと愛着がまるで違うでしょうから。

    ⑨:シートは使いやすく抜け感のある生地に
    合皮のシートを、電車の椅子みたいな座り心地がよくツルっとした生地に変えたいですね。子どももいるので、防汚加工のファブリック。この前、普段使い用の椅子を、同じような生地で作ってもらったんですが、それがかなり可愛かったので。色はその椅子と合わせてマスタードイエロー。最近のクルマってカッコよくまとまりすぎているから、こういったところで少し抜けるといいかな。

    ⑩:時とともに育っていくハンドルエンブレム
    メーター系のフォントがシュッとしているので、アナログ感というか、少しレトロっぽさを出すために、ハンドル中央のロゴを横文字の「TOYOTA」にする。色はホイールとかと同じ墨クロでもいいんですが、真鍮にしたらエイジングも楽しめそうでいいですね。

  • 使い込んでこそ味わいが出るクルマを

    2人のアイデアから感じ取れたのは、「クルマを楽しむ」感覚と、「クルマを“道具”として捉える」スタンスだ。使い込んでこそ、味が出る。そしてそこに、クルマの面白さを感じているようだった。

    古くなっても“いい味が出てきたね”って言われるようなクルマがいいですね。だから、年数分だけへたってしまうんじゃなくて、逆に年数を重ねて面白みとか味わいが出てくるような素材を使いたいんです」

    それはどこか、辻岡さん夫妻の物づくりにも通じる部分があるのかもしれない。
    慶さんはこう続ける。

    「商売って考えると、どこも次々と新しい商品を出して、今持っているものを古臭く感じさせる手法に走るじゃないですか。でも、飽きがこないものだったら、クルマでもバックパックでも、きっと何年も大切に使ってくれるはずなんです

    自分たちが本当に欲しいと思うものを、自分たちの手で作り上げる──。そんな2人の物づくりに対する想いも伝わってくる、RAV4カスタマイズプランだった。

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